第72話 〜目的〜
闇は大切なものを奪っていく。
ヴァルケミスト
「ちっ、まさか主自ら止めにくるたぁ、驚いたぜ・・・」
ヴァルケミストは中央に座す漆黒の何か、を見つめながら宙に浮いていた。
千夜
「っ・・・こ、こは?」
千夜は傷つく体を抑えながら燃え盛る大地に立ち上がった。
千夜は辺りの景色を見て全てを思い出したようだ。
千夜
「!!、そうだ、確かあのクソ花の攻撃を防ぎきれなく、・・・!!」
千夜は突然走りだした。
千夜
「ノゾミ!!アメス!!」
千夜はまだ見当たらない二人の名前を叫びながら炎の中、必死に探す。
千夜
「くそっ!あいつらが死ぬわけないのに・・・」
千夜は足を止めて俯いているとどこからか声が聞こえてきた。
「重い・・・助けて」
千夜
「え!?」
千夜はその声の主を探すがやはり辺りに人影はない。
千夜
「空耳?」
と千夜が訝しげに考えていると真下の地面が動いた。
千夜
「んぁっ!?」
千夜は突然の事にバランスを崩し尻餅を着いた。
千夜
「いたたた・・・ってアメス!?」
千夜は先程まで自分が立っていた場所に土塗れのアメスが座り込んでいた。
アメス
「うぅ、あ、千夜さん!」
アメスはやっと千夜がいることに気付いたようだ。
千夜
「アメス!無事で良かった!!ところでノゾミは?」
アメスは首を傾げているとこを見ると知らないらしい。
アメス
「と、とにかく探してみましょう!」
二人は立ち上がり探し始めた。
千夜
「ノゾミ!!いたら返事して!!」
アメス
「ノゾミさぁん!!どこですかぁ?」
二人は叫びながら歩き回るが一向に見つかる気配はない。
と二人が足を止めようとした時あるものが目に入った。
千夜
「何、あれ・・・」
アメス
「と、とても嫌な感じです・・」
二人が見つめる先には燃え盛る炎を寄せ付けない漆黒の何か、があった。
ヴァルケミスト
「あれは我が主だ。」
千夜&アメス
「「!!??」」
二人は背後にいるヴァルケミストに驚いたが瞬時に前に飛び距離を開ける。
ヴァルケミスト
「おっと、俺は戦う気はないぜ?さすがに主に殺されたくはないからな。」
とヴァルケミストは両手を上げて戦意がないことを示していた。
千夜
「っ、そんなこと関係ない!!でも、あれについて何か知ってるなら白状して!!」
千夜は戦闘体勢を崩さずに聞き、アメスも既に槍を構え万全を期している。
ヴァルケミスト
「俺がてめぇらに教えられることは二つ。一つはあれは我が主であって主とは異なるものだ。二つ目は俺を含め、おまえら三人は殺すなと命を受けている。」
千夜は一つ目より二つ目について疑問を問い掛けた。
千夜
「・・・私達三人を殺さないってどういうことよ。」
アメス
「そうです!さっきは本当に死ぬかもしれなかったんです!!」
ヴァルケミストは少し黙ってから口を開いた。
ヴァルケミスト
「あれは俺様の頭に血が昇っちまってつい、な。」
二人はこれ以上の追求は無駄だと思いノゾミを再度ノゾミを探し始めようとした時
ど、くん
ヴァルケミストを含め、千夜とアメスにもその音が聞こえた。
漆黒の何か、から。
千夜
「な、に?今の・・・」
ヴァルケミスト
「へっ、そういうことかよ・・・」
アメス
「なんですか!?何がそういう事なんですか!?」
アメスはヴァルケミストの言葉をしっかりと聞いていた。
ヴァルケミスト
「あれがもうじき爆発する。」
千夜
「なっ!?そんなことになったら私達死ぬわよ!?あんたの主は私達を殺さないんじゃ」
と千夜が喋っていると二人の間をヴァルケミストが通り抜け漆黒の何かの傍にいた。
ヴァルケミスト
「つまり、だこれを爆発させておまえらが死ぬ。それをほっときゃ俺は生きれるが後で死ぬ。だから俺がこの爆発で死んでおまえらを殺させないようにしなきゃいけねぇってこった。」
千夜
「つまり命令違反をしたあんたへの処罰、ってわけ?」
ヴァルケミスト
「まっ、そゆこったな。」
アメスは少しだけ不安な顔をしていた。
アメス
「そんなに、主が恐いんですか?」
ヴァルケミストは思ってもみない事を言われ驚いている。
ヴァルケミスト
「まぁな、主は恐ぇし強ぇし逆らえねぇよ。」
千夜
「・・・だからって死んでまで命を守って何になる。」
千夜は敵に情けを掛けている自分を叱りながら言った。
ヴァルケミスト
「・・・さぁな。っとそろそろ時間だ。」
ヴァルケミストは漆黒の何かを抱えた。
ビキッ、ビキキッ!!
するとヴァルケミストの体が砕け始めた。
千夜
「おまえ・・・」
アメス
「や、・・止めて、ください・・」
アメスも敵に情けを掛けるのがいけないことだとわかっていて言う。
ヴァルケミスト
「ちっ、命令違反ついでに教えてやる。おまえらの仲間が一人いたろ、あいつは主が連れていった。じゃあ、な。」
ヴァルケミストは言い終わるのと同時に空に飛んだ。
そしてその数秒後
ドォォォォォォン!!!!
遥か上空で大地が振動する程の爆発が起きた。
二人はそれを見て呆然と立ち尽くしていた。
千夜
「ノゾミが・・一体どういうこと?」
アメス
「主に連れていかれた、ノゾミさんが?何故・・・」
―――――――――――――――
千夜
「だからもういい!!私一人でも探しに行く!!」
ヤオ
「駄目です!!危険すぎます、罠とわかっているのに!!」
二人が何故言い合いをしているのかというと時間は数時間前に戻る。
―1時間前―
あの後戦争は敵国が余りにも不自然な撤退を始め終わりを告げた。
そして翌日、城や街では大騒ぎしている。
無論戦争の被害は尋常ではなく死者は1200人にも及び嘆き苦しむものが多数だが城の隊長達は嘆く暇もなくある人は復興作業に、ある人は兵士の治療、ある人はこの戦争の報告、と言った具合に切磋琢磨しているのだ。
が千夜は一人城の一テラスに立ち尽くしていた。
千夜
「ノゾミ・・・くっ!」
千夜は思いっきり拳を握り締めた、血が滲む程に。
あの時、私がもっとちゃんとしていれば・・
カヤだって、
ノゾミも連れていかれずに済んだのに・・・!!
するとテラスの窓が開き誰かが歩いてきた。
「隊長・・・」
と千夜は振り向かずに返事をつぶやいた。
千夜
「ナス、か・・何?」
ナスは隊長の心境を察していた。
ナス
「・・・隊長が悪いんじゃありません、どうかお気持ちを強く・・」
千夜
「・・・それでも、被害は現実にあるの。だからこそ、私は・・私はくやしい・・」
ナスは千夜が背を向けながら涙を流していることに前から気が付いていた。
ナス
「私も一緒です、マチだってそうです。・・・カヤさんは、カヤさんも隊長と同じですよ。」
千夜
「ナス、ありがと・・・」
ナス
「いえ、隊長の為ですから。」
とナスはほほ笑みテラスを後にした。
千夜はまた一人になり考える。
やっぱり弱いなぁ、
私。
ナスなんかに助けられちゃってさ。
・・・ノゾミ。
あんたは必ず助ける。
だから、
待っててね・・・!!
千夜は決意を胸に涙を拭いテラスから出ようとした時慌てて誰かが入ってきた。
千夜
「ど、どした?」
兵士
「はぁ、はぁ、あ、千夜隊長ですか!?今先程隊長宛てに敵国から手紙が・・・これです。」
千夜はそれを奪うように取り中身を読んだ。
貴女のお仲間を連れていったのは私です。
ご苦労をおかけしますがお願いします。
貴女のお仲間は今私の所にいます。
彼女には少し変わってもらいましたがそれ以上は手を出していません。
私の用は済んだのでお返しします。
本当はそちらに直接渡しに行きたいのですが彼女が嫌がるので。
彼女はガガミ岳の私の研究所にいます。
場所は下の地図を参照に。
では。
千夜
「・・・何、これ・・」
兵士
「あの、一体な」
千夜
「ヤオを呼んで。」
兵士
「ヤオ守護隊長ですか?な」
千夜
「いいから呼んできて!!早く!!」
兵士は体をビクッ、とさせ足早にテラスから出ていった。
千夜
「・・・もし、これが本当なら・・」
―数分後―
ヤオ
「千夜さん、一体何の用ですか?僕は忙しいんですが。」
ヤオは身長が伸びておりかなり硬そうな鎧を着ているほかに三年前と相も変わらない。
千夜
「これ、読んで。」
ヤオは不思議そうに手紙を読むと驚愕の顔をした。
そして現在。
千夜
「だからってノゾミの手がかりがない以上行くしかないでしょ!?」
ヤオ
「なら隊を連れて作戦を立ててか」
千夜
「それじゃ遅い!!」
???
「そうです!!」
第73話へつづく
喪失。




