第68話 〜依頼〜
救急車が通りました。
四人は別段話すわけでもなく千夜は壁に寄り掛かり座り、ノゾミは寝そべりながら適当に教材のページをめくり、アメスは体育座りでどこかを見てボーっとして、ヤオはベランダでいつものように外を見ていた。
すると千夜が誰に聞くでもなく言う。
千夜
「あ〜、暇。」
三人は普通に返事をせずにそのままの状態だ。
千夜は誰も反応してくれないことに腹が立ち先程より大きな声で繰り返す。
千夜
「あ〜、暇!!」
三人はそれに驚くこともなく先程とかわらない。
千夜は奥の手を使う事にした。
千夜
「アメス〜授業中にヤオとなんか無かったわけ?」
とその声にアメスは体をピクッ、とさせこちらを目だけで見つめ、答えた。
アメス
「何もありませんよ?」
千夜はニヤつきながら続ける。
千夜
「本当〜?」
アメスはちょっと怒り気味に答える。
アメス
「本当です!!」
とアメスが答えると寝そべっていたノゾミが教材を閉じて言った。
ノゾミ
「午後の授業までどれくらいあるっけ?アメス。」
千夜は話題がかわりつまらなさそうにしていたがアメスは少しほっとして答える。
アメス
「えっと・・・確か1時でしたよ?」
ノゾミはそれを聞いて何かをぶつぶつ言っていた。
アメスは何なのか気になり聞いてみる。
アメス
「どうか、したんですか?」
ノゾミは普通に答える。
ノゾミ
「いや、ちょっとね。」
アメスが首を傾げていると千夜が唐突に言った。
千夜
「ノゾミ、隠し事は良くないよ?教えてよ。」
ノゾミは体を起こし普通に座ってから答えた。
ノゾミ
「別に大したことじゃないんだけどね?・・アール、どうなったかなぁ、って思ってさ。時間があったら探そうと思ってさ。」
千夜はふーん、と言ったがアメスの反応は違った。
アメス
「アールさん・・・会いに行きましょう!!」
二人はアメスの発言に同時に言う。
千夜&ノゾミ
「「へ?」」
そして二人は続けて言う。
千夜
「アメスってそんなんだったけ?」
ノゾミ
「確かにいるならあれだけどよく考えると探すのもバカらしいね。」
アメスは何か元気一杯で答える。
アメス
「そうと決まったら善は急げ、です!!」
アメスは立ち上がり二人に手を差し出す。
千夜
「私パス。」
ノゾミ
「私もいい、面倒だし。」
アメスは落胆することなく続ける。
アメス
「そんなこと言わずに行きましょうよ〜」
千夜
「だったらアメス一人で行けば?」
ノゾミ
「そうそう、会いたいってのもアメスなんだしさ。」
アメスは結局二人に丸め込まれてしまいアールを探すのを断念した。
時間は過ぎ時は昼になった。
千夜
「あ、飯食いに行かない?、二人共。」
千夜は先刻の二の舞にならないように付け加えて言った。
ノゾミ
「行きたいのは山々なんだけどねぇ・・・」
アメス
「何か問題でも?」
千夜は何かを思い出したように言った。
千夜
「そうだ、私ら金が無いんだった・・」
そう千夜とノゾミのお金は教材のお金で一瞬にして消えしまいには足りない分をアメスとヤオから借りているという始末だった。
アメス
「そう、でしたね・・・」
と三人が気を落としていると突然ベランダからヤオが部屋に入り言った。
ヤオ
「あの、お金が無いんでしたら依頼でも受けてみたらどうでしょうか?」
三人は不思議そうに言う。
千夜&ノゾミ&アメス
「「「依頼、って?」」」
ヤオは座ってから答えた。
ヤオ
「あのプリントに買いてあったんですけど兵士見習いができる仕事があってそれをやればお金が貰えるんです。所謂アルバイト的な事です。」
三人は個々の質問を言う。
千夜
「具体的にどんな事するの?」
ヤオ
「それは依頼主が決める事ですからこれ、とは言い切れません、でも危険はあります。」
ノゾミ
「じゃあさ、誰から依頼を受ければいいの?」
ヤオ
「さぁ?依頼というのは早々あるものじゃないですから。」
アメス
「ならどこでその依頼を受ければいいんですか?」
ヤオ
「確か食堂のボードに書いてあってそこに自分の名前を書けばいいんです。後はそこに書いてある依頼主に話を聞いてやるみたいです。」
さらに三人は続ける。
千夜
「でもよ?もしその依頼が長引いて授業に出られなかったらどうなるんだ?」
ヤオ
「たぶん、自己責任の上、教官に怒られるでしょうね。」
ノゾミ
「なるほど・・じゃあ貰ったお金は全部自分の物になるの?」
ヤオ
「確か半分は城の方にいきますが半分は貰えます。」
アメス
「依頼は何人で受けてもいいんでしょうか?」
ヤオ
「うん、基本的に依頼は分けられた班単位で受ける四人一組だから。」
三人はふむふむと納得したようだ。
千夜
「何か面白そうだね。」
ノゾミ
「うん!暇で死にそーだったし。」
アメス
「お二人のご飯代の為にも。」
千夜
「うっし!じゃ、食堂に行って見ますか!!」
三人は立ち上がったがヤオは座ったままだった。
アメス
「あれ?ヤオ君は行かないんですか?」
ヤオは普通に答えた。
ヤオ
「別に依頼は班単位でも人数は関係ないから僕は行かない。」
すると残りの二人が言う。
ノゾミ
「いーじゃん、折角なんだし。やろーよ?」
千夜
「別にやることなんか無いんだろ?」
ヤオ
「でもどうせ後一時間くらいしかないから行っても依頼をやる暇なんかないよ。」
するとアメスが言った。
アメス
「も、もしかしたらすぐ終わる依頼があるかもしれないじゃないですか!」
ヤオは少し驚きながら答える。
ヤオ
「・・・はぁ、わかりました。行きますよ。」
ヤオは渋々立ち上がった。
アメス
「ありがとう!ヤオ君!」
ヤオ
「べ、別に・・・」
千夜
「さて!全員揃った事だし食堂に行こっか!」
四人は食堂に向かった。
千夜
「これが依頼板かぁ。」
四人は今食堂にある大きな依頼板の前にいた。
その依頼板には古ぼけた紙から真新しい紙までいろんな依頼用紙が貼られていた。
ノゾミ
「じゃ、手分けして短時間で終わりそうなの探しますか!」
四人はバラバラになって探し始めた。
10分後
千夜
「何か見つかったぁ?」
ノゾミ
「全然見つからない・・・」
アメス
「こっちもです・・・」
ヤオ
「あの・・・これ・・」
ヤオは三人の前に真新しい紙を見せた。
そこにはこう書いてあった。
依頼主:マリー
依頼内容:りんご配り
依頼日時:〇月×日12時半から12時55分まで。
場所:城下町の果物屋『フルーシェ』
依頼料金:10000バルス
補足:出来るだけ人数をお願いします!
千夜
「・・・まさか、ね。」
ノゾミ
「別人だよ・・・たぶん。」
アメス
「ですね、でももし教官だったら・・・」
ヤオ
「どうしますか?」
千夜
「りんご配り、で、10000バルスの半分だから5000バルスだろ?時間的には急げばなんとか。」
ノゾミ
「違うよ?、四人なんだから一人1250バルスよ。」
アメス
「あ、でも城下町には許可証がないと・・・」
ヤオ
「大丈夫ですよ、依頼の場合は門番の兵士にその依頼用紙を見せれば出れます。」
千夜
「っと言ってる間に時間が・・」
四人が時計を見ると時刻は12時20分を指していた。
ノゾミ
「急がないとやばいわね。」
アメス
「行きましょう!!」
四人は急ぎ門に向かった。
門番
「何の用だ。」
千夜
「これだよ、こーれ。」
千夜は誇らしげに依頼用紙を見せた。
門番
「・・・・よかろう、行け。」
四人は門を出て一、二歩で足を止めた。
千夜
「なぁ、果物屋ってどこだ?」
ノゾミ
「確かに・・・」
アメス
「私もわかりません・・」
ヤオ
「・・・三人共、こっち。」
ヤオはそう言うと一人で走りだした。
千夜
「あっ、ちょっとヤオ!!」
ノゾミ
「と、取り敢えず後を追おう!?」
アメス
「はい!!」
三人は急いでヤオの後を追って走りだした。
ヤオ
「はぁ、はぁ。こ、ここです・・」
四人は何とか時間ギリギリで果物屋に着いたのだった。
すると店の奥から一人の赤いワンピースに白いエプロンをしたおさげの少女が出てきた。
少女
「あの・・もしかして依頼の?」
千夜とノゾミが答えた。
千夜
「うん!りんご配りをやりに来ました!」
ノゾミ
「時間は間に合ったよね?」
少女
「はい。それではこちらへ。」
四人は店の奥に入った。
案内された場所には山積みにされたりんごが並べてあった。
少女
「皆さんには時間までりんごを配ってもらいます。」
千夜
「よーし!!って配るのか?代金は?」
少女
「入りません。困ってる人に上げてください。」
四人は少し疑問に思いつつもりんごの箱を手にした。
第69話へ続く
救急車が去っていきました。




