第63話 〜説明〜
続きます。
千夜
「ん、ぁ・・・・」
千夜はベランダから差し込む朝日とある声で目が覚めた。
千夜は強い朝日によってよく見えにくいがベランダの方を向いた。
そこには手摺りに両腕を乗せ外を見ているヤオだった。
あいつ、こんな朝っぱらから何してんだ・・・??
するとガラス越しにヤオの声が擦れ擦れに聞こえてきた。
―・・・、・・・・?―
ヤオ
「あぁ、それはわかってる。安心しろ。」
―・・・。・・・!!―
ヤオ
「ほぉ?お前らしくもない。どうしたんだ?」
―・・、・・、・・・・・・?―
ヤオ
「あぁ、準備は順調且つ慎重に。そんなことはお前に言われるまでもない。」
?
あいつ、独りで何言ってるんだ?
まるで誰かに語りかけてるような・・・
ヤオはその時ゆっくりと振り返り千夜が目を覚ましていることに気付く。
ヤオは小さい声で舌打ちをし、その途端に人が変わったような雰囲気を放った。
ヤオ
「・・・柳本さん。ど、どうしたんですか?」
ヤオはそう言いながら部屋に入る。
千夜
「い、いや、別にちょっと目が覚めただけ。」
千夜は少しぐらいしか動揺を隠せなかった。
ヤオ
「そう、ですか・・・と、ところでそろそろお二方を起こした方がいいんじゃ?」
ヤオは急に話題をかえた。
千夜
「そろそろって・・・?」
千夜は不思議そうに聞く。
ヤオ
「今日は朝から説明会があるから、時間は・・・9:00ですから後5分、ですね?」
ヤオはいつのまにか壁に掛かっている普通の時計を見ながら答えた。
千夜
「5分!?やばっ!!ノゾミ!!アメス!!起きてっ!?」
千夜は二人を同時に揺さ振る。
ノゾミ
「ふにゃ・・・?」
アメス
「へにゃ・・・?」
二人は言うまでもなく寝呆けている。
千夜
「寝呆けてないで、早く!!着替えて説明会に行かなきゃいけないの!?」
二人はまだよく理解できていないようだ。まだ両方とも目を擦り欠伸を欠いたりしている。
ヤオ
「あ、あの・・・僕、先に行ってますね?場所は中庭ですから、それでは。」
そう言うとヤオは足早に部屋を出ていった。
千夜
「・・・今はいいか。って二人共!?寝ーるーなー!!」
二人共、布団に座りながら舟を漕いでいた。
千夜
「ってい!!」
バキィ!!
千夜は軽くではなく力強く二人の頭を叩く。
さすがの二人も意識を保ってきたようだ。
ノゾミ
「痛ぁーい!!何すんの!?」
アメス
「千夜さん、痛いです・・・」
ノゾミは憤慨し、アメスは半分涙目になっている。
千夜
「理由は後!!今は急ぎなの!!早く着替えて!!」
二人は千夜の剣幕に圧倒され言われるがままに着替え始めた。無論千夜自身もさっそうと着替え始めた。
〜 2分後 〜
三人はどうにか汚らしくも普段着(そうは言っても昨日着た服をそのまま着ただけなのだが)をなんとか着終わった。
千夜
「やばい!!後三分しかない!!」
二人は何が何やらわからないように聞く。
ノゾミ
「だから何なの!?さっきから!!」
アメス
「理由を教えてくれても・・・」
千夜はきっぱり言った。
千夜
「理由はダッシュしながら説明する!!とにかく付いてきて!!」
二人は本当にやばいことに気付きしっかりと頷き、三人は勢いよく部屋を飛び出た。
一方、中庭では―――
中庭には既にグループ、所謂各教官事に分けられた生徒達が綺麗に座って並んでいる。それぞれの列の先頭には教官が仁王立ちしながら人数を確認している。
髭の教官は前にある台の上に立っている。
髭の教官
「マリー、バルガス、サラ、ニギル、ルウ。それぞれ報告に来い!!」
まずはバルガス教官が一番に来た。
バルガス
「がーははっ!!俺の所は全員揃ってるぜぇ!!」
髭の教官
「わかった。次は?」
次に来たのはサラ教官だった。
サラ
「我の所にも問題はないです。」
髭の教官
「うむ。次。」
続いて報告に来たのはニギルだった。
ニギル
「おぅおぅ!!こっちは全員来てるぜ!?」
髭の教官
「うむ。了解した。」
次にゆっくりルウ教官が来た。
ルウ
「全員、確認した。」
髭の教官
「了解した。・・・って一人足りないような?」
その時マリー教官の体がビクッ、と反応した。
マリー教官は悔しそうに振り返った。
マリー
「・・・まだ、です。」
髭の教官
「ほぅ、兵士として時間を守れないやつをいれるとはどういうことだ?」
一同はクスクスと笑う。
その時上空から激しい音が聞こえてきた。
ゴォォォ・・・―――
髭の教官
「?何の音だ?」
教官を含め一同は上を見上げる。
マリー
「なっ・・・・!?あいつら・・!!」
一同が見上げた場所に浮遊していた、いや落ちてきている三人の姿があった。
どうやらアメスの槍で飛ぼうとしたが保てずに(他ならぬ千夜とノゾミがアメスに掴まっているからだ。)バランスを崩して落ちている。
千夜&ノゾミ&アメス
「「「あ、あぁぁぁああ――――」」」
ヒュゥ・・・・ドォォォン!!
三人は豪快な音と共に一同の前に落ちた。
余りの勢いに土埃が舞っている。
マリー
「けほっけほっ・・・貴方達!?大丈夫!?」
マリー教官は倒れている三人に駆け寄る。
千夜
「な、なんとか・・・」
ノゾミ
「平気です・・・けほっ。」
アメス
「し、死んじゃうかと思いました・・・」
三人はそれなりにボロボロだが怪我はないようだ。
すると髭の教官が台から飛び降り三人の下へ駆け寄る。
髭の教官
「貴様ら!!どういうつもりだ!!」
千夜&ノゾミ&アメス
「「「すみません・・・」」」
三人は立ち上がり頭を下げた。
マリー教官も一緒に頭を下げる。
マリー
「申し訳ございません。私の力が及ばず・・・次からはもうしないわよね?」
マリー教官は物凄い殺気を込めた横目で三人を見た、というよりも睨んだ。
千夜&ノゾミ&アメス
「「「も、もう二度としません・・」」」
三人はかなり反省したようだ。
髭の教官はため息をついてから言った。
髭の教官
「ったく、まぁ今回は時間的には間に合っているからな。か、な、り。大目に見て許してやろう。」
三人は反省しながら顔をあげる。
マリー
「ふっ、三人共早く自分達のグループの所へ座りなさい?」
マリー教官は自分の列の後ろの方を指差しながら言った。
千夜&ノゾミ&アメス
「「「はい・・・・・・」」」
三人は言われるがまま列の後ろ、(一人淋しく座っているヤオの所)に座った。
すると髭の教官はもう一度台に上がり言った。
髭の教官
「諸君!!とりあえずは合格おめでとう!!さて今日はこれからの予定を話す。まずは各グループ事に配布するプリントを代表者が各々の教官にもらいに行ってくれ!」
皆ちらほらと何人かが各教官の所に行きプリントを貰っている。
千夜
「代表者って誰?」
千夜は当然の疑問を三人に聞く。
ノゾミ
「さぁ?」
アメス
「わかりません・・・」
下より期待していなかった二人を後に千夜はちらりとヤオの方を見る。
ヤオ
「た、確か。一様、たぶん・・・僕?のはずだよ。」
三人は何とも不思議と疑いの目でヤオを見つめる。
千夜
「何で」
ノゾミ
「ヤオなの?」
アメス
「選ばれたんですから良いじゃないですか?二人共。」
アメスは二人を宥めながらヤオの方をちらりと見てプリントを取ってくるように呟く。
ヤオ
「は、はい!!」
ヤオは立ち上がりダッシュでプリントを貰ってきた。
ヤオ
「三人共、これ・・・」
ヤオはそっと三枚の予定がびっちり書いてあるプリントを置いた。
三人はそれぞれ一枚ずつそれを手に取る。
すると髭の教官が
髭の教官
「よぉーし。全員に行き渡ったな?それでは大まかな事を説明する。まず今月、4月は主に兵士見習いとしての基礎を学んでもらう。大体の予定はプリントに書いてあるから目を通しておくよーに。で、次の五月には四月に学んだ事のペーパーテストが主だ。で、次の六月は七月にある夏期合宿に備えての基礎体力を養ってもらう。そして七月は言った通りの合宿だ。ぴったり十五日まである、その後は九月まで夏期休業期間とする、田舎に帰ろうが修業しようが自由だ。それから・・―――」
その後一時間程語りがありわかったことと言えば3年間の末兵士見習い、から兵士になれる。ということだけだった。
髭の教官
「うむ。これで説明会は終了とする。各自教官の支持にしたがうように。」
ヤオを含め三人はマリー教官の所に集まる。
マリー
「ふふっ、明日からは地獄よ?今日は部屋に戻り休息とします。じゃあ解散。」
それだけ言うとマリー教官はどこかに行ってしまった。
千夜
「地獄、かぁ・・」
ノゾミ
「と、とにかく戻ろう?」
四人はため息を付きながら寮に戻っていった。
第64話へつづく
まだまだ。




