第32話〜感謝〜
気持ちとは裏腹に。
・・・・・・
俊也はなんの前ぶれもなく目を覚ました。
俊也
「ん・・・・朝か。」
俊也の言うとおり日は変わっていた。
俊也はとりあえず外に出た。
俊也
「ふぅ。」
俊也は適当なところに腰を下ろし空を見上げた。
陽はまだ完全に上がってはおらずまだ夜更けといったところだ。
俊也
「・・・・綺麗だなぁ。」
俊也はボーっと空を見上げていた。
真美
「綺麗でしょ?ここの空。」
俊也は少し驚いた。
俊也
「そうですね・・・。」
真美
「あなたにとって一番大切なものはなんですか?」
俊也
「え?・・・・」
俊也は考えていた。
真美
「自分の命ですか?」
俊也
「・・・・・・」
真美
「仲間の命ですか?」
俊也
「・・・・違う。」
真美
「じゃああなたは何のために強くなるのですか?」
俊也
「俺は自分が二度と後悔しないために強くなる、だから後悔しないために強くなる、自分のこの手で。かならずなってみせます。それを邪魔するやつは誰一人許しはしません。それが俺が強くなりたい理由です。」
真美
「いい覚悟ですね。わかりました、それでは最後の修行を始めます。」
俊也は立ち上がった。
俊也
「お願いします。」
真美
「最後の修行では、あなた自身で見つけていくことです。それが私が教えられる最後の修行です。」
俊也
「え?」
真美
「行きなさい。あなたが目指す場所へ。」
俊也
「・・・・あの、真美さん?格好よく言ってもらった後で何なんですが、町の場所教えてもらってないんですけど・・・」
真美
「あ。」
俊也
「あはは・・・」
真美
「すいません、ちょっと待っていて下さい。」
そういうと真美は小走りで小屋に戻った。
俊也
「真美さんって、どこかがいつも抜けてるんだよなぁ・・」
すると真美は小屋から戻ってきた。
真美
「これ。持っていてください。」
俊也が渡されたのは青い宝石だった。
俊也
「これは・・・・?」
真美
「まぁ、お守りのようなものです。」
俊也
「よう・・・・??」
真美
「それとこれも。」
俊也がもらったのは小さな小包みだった。
俊也
「お弁当??」
真美
「はい。道中お腹が減った時にでも食べてください。」
俊也
「ありがとうございます。」
真美
「いいのです。久々にあなたのような人に会えて楽しかったですから。」
俊也
「で?」
真美
「まだ何か?」
俊也
「町の場所・・・・」
真美
「あ。」
俊也
「また忘れてたんですか?」
真美
「違いますよ。あなたが目指してる町はあの崖の上に行きそこから東にいったところにある町で間違いないかと。」
俊也
「崖の上に行く?ってあの崖!?」
俊也は小屋からでも見えるほどの大きさの崖の方を見た。
真美
「頑張ってください。」
俊也
「他に遠回りで行ける道は・・・?」
真美
「たぶん崖をつたって歩いていったとしても、海に出てだめでしょうね。この崖は世界でも有名な『バーラルマウンテン』と言われる程の場所ですから。ここと上ではかなり生活も文化も違うほどに。」
俊也
「その・・・・あの崖が凄いことはわかりましたけど、そんな崖どうやって登れば?」
真美
「私にはわかりません。けどなんとかなりますよ。」
俊也
「無茶苦茶だ・・・」
真美
「まずは行ってみてから考えてみては?ここにいたってどうしようもないですから。」
俊也
「・・・、そうですね。わかりました、それじゃあ、色々とお世話になりました。真美さ、・・・いや師匠!!」
真美
「いつでも来てくださいね?」
俊也
「かならず来ます!!じゃ!!」
そういうと俊也はバーラルマウンテンを目指して歩き始めた。
俊也
「どうするかねー?」
俊也はバーラルマウンテンに向かいながら崖を登る方法を考えていた。
実際俺は崖を登る術は持ち合わせてない。
かといって素手で登るなんて命綱なしでいって落ちたら死ぬ可能性もある。
なんか、ハシゴとか階段とかあったらいいんだけど・・・
そうこう考えている内に俊也は崖の前まで来た。
俊也
「これ、・・・かぁ・・」
俊也の目の前にはてっぺんが見えない崖が聳えていた。その崖にはもちろんながら階段やもってやハシゴなぞあるはずもなかった。
俊也
「無理。」
こんなん俺みたいな人間が登るなんて不可能に近い。
よっぽどなんか特別な道具とか力がなきゃ・・・
俊也
「力・・・・・?」
そうだ。
俺、師匠の下で修行して強くなったんだ!!、たぶん・・・。
とりあえず・・・
登ってみるか!!
俊也
「よし。行くぞ!!」
俊也は崖の石をつかみながら上に上がろうとした。
ガラッ・・・―――
上から音が聞こえた。
俊也
「ん?」
俊也は崖を2、3メートルの所で上を向いた。
上には小さい影が見える。
俊也
「??」
その影はどんどん大きくなる。
俊也
「大きくなってる・・・!!?」
俊也は落ちてきているものが岩だということを理解した。
俊也
「う、わぁっっ!!!?」
俊也は崖から地面に飛んだ。
ドォォォォン!!!!
岩は地面に落ちた。
俊也
「い、いきなり死ぬとこだった・・・」
俊也は間一髪の所で躱していた。
俊也
「しっかしこんな岩が落ちてくるなんて・・・」
俊也は地面に座りながら上を見上げた。
するとまた上に影が見えた。
俊也
「・・・また、落ちてくるのか・・・?」
俊也は上を見たまま立ち上がりすぐに動けるように構えた。
上に見える影は無数に増えていく。大きさを増しながら。
俊也
「お、大岩注意報発令ってか!!?」
俊也は岩を躱すために構えた。
大丈夫。
俺は修行したんだ。
あんな岩ごとき躱してみせる!!!
上から落ちてきた岩を俊也は躱す。
ドォォォォン!!!
俊也
「よっ!!」
ドォォォォン!!!
俊也
「はっ!!」
ドォォォォン!!!
俊也
「たぁっ!!」
ドォォォォン!!!
俊也
「とぉっ!!」
ドォォォォン!!!
俊也
「でりゃっ!!」
ドォォォォン!!!
俊也
「くっ!!」
ドォォォォン!!!
俊也
「わっ!!」
ドォォォォン!!!
俊也
「ふっ!!」
ドォォォォン!!!
俊也
「さすがにっ・・・」
ドォォォォン!!!
俊也
「これは・・・!!」
ドォォォォン!!!
俊也
「や、ば、・・い!!」
ドォォォォン!!!
俊也は岩を躱しながら森に入った。
ドォォォォン!!!ドォォォォン・・・――――
岩は俊也が森に入ると落ちてこなくなった。
俊也は座り込んだ。
俊也
「はぁ、はぁ、ま、まさか・・・狙われた、のか?」
まさか、無理だろ。
あんなてっぺんも見えない崖の上から人が見えるなんてありえない。
ましてや岩をあんなに投げれるなんて人間じゃないことは明らかだな・・・
ってことは素手で登るという手段すらなくなったわけだ。
俊也
「これじゃ、手のうちようがない。」
はぁ・・・
と、とりあえず・・・飯にしますか。疲れたし。
俊也は小包みを開けようと背中に手を伸ばしたがないことに気が付いた。
俊也
「れ?」
俊也は慌てて辺りの木の付近を探したが見当たらない。
俊也
「と、なると・・・」
俊也は崖の方に目をやった。
崖の方の岩の隙間に小包みが落ちていた。
俊也
「やっぱりか・・・」
小包みまでの距離はすぐ、だ。
さすがにパッと行ってパッと取ってくれば大丈夫だよな。な?
俊也は息を整えた。
俊也
「よし!!行くか!!」
俊也は小包みめがけて猛ダッシュした。
俊也と小包みまでの距離は岩一個分。
俊也
「取れ・・・――――!?」
ドォォォォン!!!
俊也と小包みの間に岩が落ちてきた。
俊也
「なっ・・・!?」
俊也はすぐに後ろに戻ろうとした。
ドォォォォン!!!
俊也の背後に岩が落ちてきた。
俊也
「くそっ!!?」
俊也は横から逃げようとした。
ドォォォォン!!!
ドォォォォン!!!
岩が左右にも落ちてきた。
俊也
「しまっ・・・――――」
俊也は咄嗟にしゃがんだ。
ドォォォォン!!!
や、られ・・・た?
俊也は目を開けた。
落ちてきた岩は四つの岩の上に俊也を閉じ込めるふたのようになっていた。
俊也
「助かっ・・・てない!!」
てか閉じ込められたぁ!!
どうする!?
この岩動かせっかな・・・??
いや、まてよ。
動かせたとしても上に乗っかってる岩が落ちてきて。
ペチャ、だ。
ドォォォォン!!!
俊也
「なっ!!?」
どうやら上の岩にさらに岩が当たったようだ。
ピキッ。
周りの岩にひびが入る。
や、やばい!!
このままじゃ周りの岩が割れると同時にペシャンコだ!!
ドォォォォン!!!
ピキッ!!
岩は今にも割れそうだ。
俊也
「くそっ!!」
どうすりゃいいんだ!!
こんなとこで死ぬわけにはいかないんだ!!
こうなったら・・・
俊也は岩の破片を掴んだ。
俊也
「カギよ!!我に力をかしたまへ!!」
俊也は力を振り絞って上の岩に投げた。
第33話へつづく
事態は悪化していくのが世の定め。




