第20話〜集中〜
気付けばきっと
二人は大群に向かって走っていた。というより俊也は無理矢理。
二人と大群との距離はまだお互いが米粒程の小ささで見えるくらいの距離である。
俊也は走っていた。
俊也
「なぁ!!まじどうすんだよ!」
ノゾミ
「そんなの私に聞かないでよ!!」
俊也
「はぁ!?ノゾミが行くって言ったんだろ!!」
ノゾミ
「しょうがないじゃない!!町を守るためには!」
俊也
「だからって策も無しに突っ込んだところでどうにかなる相手なのか?」
ノゾミ
「今、考えてるわ!!あんたもなんか考えなさいよ!!」
俊也は少し考えてみた。
そんなこと言われてもなぁ・・
周りは少し高低差のあるただの野原。他に使えそうなものなどない。無論隠れるところも。
どうすれば?
本当に俺が囮になるしかないのか?
でも勝つ要素もなしに囮になるのはごめんだ。
なにかいい作戦は・・・
ノゾミ
「何か、思いついた!?」
俊也
「思いつくか!!」
ノゾミ
「私、一つ思いついたんだけど、聞いてくれる?」
俊也
「本当か!?」
ノゾミ
「まずあいつらに私達をみつけさせるの。」
俊也
「はぁ!?そんなことしたら殺されるだろ!!」
ノゾミ
「ちゃんと話しは最後まで聞いて!」
俊也
「わかったよ!」
ノゾミ
「それで、思いっきり左に走って!!私は右に走るから!!」
俊也
「それで!?」
ノゾミ
「ここからは私の記憶が頼りなんだけど、左と右に森があるの。」
俊也
「なんで知ってるんだ?」
ノゾミ
「行く前に地図を見たのよ!!それでたぶん二手に別れて追ってくるはずよ。だからその森に入ったら右に曲がって真っすぐに行くと町があるの、私も同じやり方で行く、どう?」
俊也
「その森でやつらから逃げ切れる確立は?」
ノゾミ
「はっきり言ってないわ。それに森にも魔物はいる。」
俊也
「・・・・・なるほどな。」
ノゾミ
「どうする?」
俊也
「わかった。それでいこう。」
ノゾミ
「ありがとう、俊也。」
俊也
「・・・・・・」
もう町は・・・見えないな。
俊也は止まった。
ノゾミ
「どうしたの?」
俊也
「ここで待とう。」
ノゾミ
「何でよ!?」
俊也
「町が見えないとこまで来てれば、行きすぎても意味がない。」
ノゾミ
「わかったわよ、俊也を信じるわよ」
俊也
「ふぅ・・」
ノゾミ
「はぁ・・・」
俊也
「とんだ旅の始まりだな。」
ノゾミ
「本当よね、なんでこんなに悪いことばっか・・・」
俊也
「でも、それがなかったらノゾミと会うこともなかった。」
ノゾミ
「わ、私だってそうよ!!俊也と会わなきゃこんな旅には出なかったよ。」
俊也
「お前の責任だからな。」
ノゾミ
「あんたの責任よ!!」
俊也
「・・・・・・・」
ノゾミ
「・・・・・・ぷっ」
俊也&ノゾミ
「あははは!!!!!」
俊也
「・・・この笑いが二人とも最後にならないことを願おう。」
ノゾミ
「そんなわけないじゃない!!・・・かならず会いましょう?」
どうやら群れがこちらに気付いたようだ。
俊也
「またな!!」
ノゾミ
「またね!!」
二人は左右に勢いよく走りだした。
すると大群はノゾミの予想通りに二手に別れて追ってきた。
俊也
「ここまでは順調だな。」
俊也は森が見えていないので少し不安だった。
本当に森あんのか?
てか今見えてないと逃げ切ることとか無理じゃね?
くそっ!!
俊也は後ろを見てみた。
そこには、なんともいえない猪とカバと像と虎がくっついたまるでキメラみたいな獣が十数頭、奇声を上げて追ってきている。
俊也
「なんじゃありゃあ!?」
あんなん化けもんだろ!!
かわすどころか、一瞬でプチっと潰される。
俊也は必死に走ったが着実に距離が縮まっていた。
俊也
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
ぐ・・・・、
や、やばいな。
このままじゃ森とやらを見つける前に殺される。
どんどん獣共の奇声が近くなっていく。
俊也
「うわぁっ!?」
俊也は小さな石ころにつまづいた。
ドサッ。
俊也
「や、やばい!!」
獣どもは俊也の周りを囲んだ。
獣
「グルルル・・・・・・」
俊也は立ち上がった。
俊也
「さぁて・・・・どうするか。」
周りには逃げ道はない。
俺にはやつらを倒せる武器も技もない。
ましてや武器があっても体力がない。
獣どもは一歩一歩近づいてくる。
俊也
「助かる術はない。・・・・・か。でも!!」
俊也はひとつだけ思いついたわずかな希望にかけることにした。
こうなりゃ、一か八かだ!!
俊也は一頭の獣に向かって突進をした。
俊也
「あぁぁぁぁぁぁ!!!!」
獣どもは怯むことなく、突撃してくる。
俊也に一番近い獣が俊也に当たった。
俊也
「だぁっ!!!」
俊也は力の限り上に飛んだ。
獣の上に俊也は乗っかることに成功した。
獣
「グガァィァァァア!?」
獣はロデオのように暴れた。
俊也
「この野郎!?暴れんな!!」
俊也は聞くかわからなかったが、獣の頭のコブのような所を殴った。
ドカッ!!
獣
「ブギャィァァァァ!!??」
獣はそのまま倒れてしまった。
俊也は急な事だったので野原に投げ出された。
俊也
「うわぁっ!!??」
ドサッ。
俊也は体を押さえながら倒れた獣を見た。
俊也
「気絶してる・・・・・?」
獣は完全にのされている。
あんな、パンチ一発でか?
よ、弱い・・・
だが俊也は今の状況を思い出した。
俊也
「あ。」
俊也の周りの獣がほぼゼロ距離の所に来ていた。
獣達
「グルルルルル・・・。」
あはは・・・
弱点わかっていけるとか思ってたらこのざまか・・
どうしよう?
こうなったら・・・
あれ、やってみるか!
俊也
「カギよ!!我を空へ浮かせたまへ!!」
俊也は真上に力一杯飛び上がった。
俊也
「とうっっ!!」
ポサッ。
俊也
「あ・・・・・・・・・れ?」
俊也は地面に立っていた。
ま、じか・・・?
獣
「ブヒャァァァァ!!!」
獣どもの気に障ったようだ。
俊也
「こうなったら、死ぬまで闘ってやらぁ!!!」
俊也は自分が思う戦闘態勢をとった。
俊也
「かかって来いやぁぁぁぁ!!」
ドスッ。
俊也
「え?」
後ろにいた獣の牙が俊也の腹を突き破った。
俊也
「か・・・・・はっ。」
俊也は牙が腹から抜かれていくのを感じながらその場に両膝を付いた。
やべぇ・・・・
この感じは、かなりの重傷だ。
俊也は視界が見えなくなってきた。
俊也
「へっ・・・・畜生・・・やら、れ、て、た、まるかぁ!!!」
俊也は立ち上がり一頭の獣に向かっていった。
俊也
「だぁっ!!」
俊也は獣の弱点を狙い拳を奮った。
だが当たる訳もなく獣はひらりと躱した。
獣は一度後ろに距離をとり突っ込んできた。
獣
「ブヒャァア!!」
ドカッッ!!
俊也
「ぁ・・・・・・」
俊也は紙屑のように空にかち上げられた。
俊也は数十メートル上に浮いていた。
獣どもは下で俊也が落ちてくるのを待って唸っている。
ぐ・・・やべぇこりゃ今ので骨何本かいったな。
はは、こりゃ地面に落ちただけで死ぬかもな。
俊也はおもむろに先程まで走っていた方向が見えた。
そこにはノゾミが言っていた通りの森らしき所が見えた。
距離はそう遠くない。
あのまま走っていたら間に合ったかもな・・・
俊也の体は地面に落ち始めた。
ノゾミ、どうやら会えそうにねぇや・・・
――あきらめるな。――
俊也
「え?」
――君は彼女を護るんじゃなかったのか?――
そうだ。
俺は決めたはずだ。
ノゾミを、護るって。
動け。
動け、動け、動け、動け、動け!!!!!
あきらめない!!!!
あきらめてたまるかよっ!!!
俊也は地面に落ちた。
ドカッ。
獣は今にも襲い掛かろうとしている。
俊也は立ち上がった。
その時俊也の目の色が黄色にかわった。
獣どもは俊也から放たれる異様な気に怯えて、少し後ろに下がった。
俊也
「・・・・・・」
だが一頭の獣が俊也に猛突進してきた。
俊也
「邪魔だ。」
俊也は獣を睨み付けた。
ズサッー。
獣は勢いを止め体を震わせている。
少し汗らしきものが出ている。
俊也
「・・・・・・消えろ。」
怯えていた一頭が逃げていく。
だがまだ逃げずに俊也を狙っている獣が何頭かいた。
俊也はそいつらを睨み再度言った。
俊也
「消えろと言ったのが聞こえなかったのか?ケダモノ。」
獣達は一斉に襲い掛かってきた。
それと同時に俊也の瞳の色が元に戻った。
獣
「ブギャアァァァァァァ!!!」
俊也
「か、数が減ってる?・・・ってちょっと待ったぁぁぁぁぁ!?!?」
俊也は両腕で防ごうとした。
ガキンッ!!!
???
「こんなとこで何してんだ、小僧。」
俊也はその声に腕をどけた。
俊也
「だ、れ??」
???
「ちょっと黙ってろ。」
その男は体は大きく、全身は黒いローブで、顔もフードで見えない。唯一見えているのは強靱な腕とその両手が握っている刀だった。
???
「ったくてめぇらもこんなガキ襲いやがって、死んで詫びやがれ!!」
その男は目にも止まらぬ速さでというか見えないのだが獣を切り刻んで行く。
ザシュッ!!
ズバッッ!!!
バシュッ!!
獣はことごとく倒れていった。
キン。
男は刀を鞘らしきものに戻した。
???
「けっ、話しにならねぇな。」
俊也は呆然と見ていた。
俊也
「・・・・・・・あんた、何もんだ?」
謎の男
「名乗るほどのもんじゃない。」
俊也
「助けてくれてありが・・・―――――」
ドサッ。
俊也はその場に倒れた。
謎の男
「お、おい!?小僧!?しっかりしろ!?」
第21話につづく
そこにあるのが現実。




