第101話~魔女の一族~
過去をなぞらえることで
過去以上に不幸なことは起きない。
過去にあらがえば
過去以上に不幸なことが起きる。
幾度となく繰り返した過去を思い出す、
ということが、どれほど恐ろしいことか。
すさまじい悪寒を感じ、首を横に振り、邪念に蓋をする。
俊也「…、一つ聞いても?」
メルト「なんでも聞くといいよってね!」
俊也「いま、いつだ?」
メルト「へ?ってね?」
俊也「んーと、だから、その、、、、」
記憶をたどりながら何を確認すればいいかを考える。
俊也「…、ちなみに捕まった経験はあったり??」
メルト「ないってね!あたし悪いことしたことないよってね!」
俊也の見たものが、未来であれば、遠からず彼女は捕まる。
そして、そこで、もう一人の仲間と出会う。
つまり、これは紛れもない、記憶だ。
二つの違いを除いて。
一つ目は、メルトと出会うのは、俺が街中である騒動に巻き込まれて
牢屋に入った時のはず。これが一つ目。
二つ目は、その未来通りなら、捕まる前のメルトが
俺のことを知っているはずがない、ということだ。
つくづく嫌な予感は当たる。
危惧していたことがすでに起きてしまっていた。
未来は、この世界に来た時から、崩れ始めていたのだ。
何万回の繰り返しの中でもたどり着いたことのない、今に。
答えを出すには、知っているようで知らない今を、進むほかない。
メルト「、、、や!俊也ってね!!」
その声に我に返り、思考回路を切り替える。
俊也「あぁ、悪い、ちょっと考え事おぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!??!」
急転直下とはこのこと、浮遊していたはずが、
真っ逆さまに地面に向かって急降下しはじめる。
俊也「ちょ、おいーーー」
メルト「黙ってるってね!」
俊也はメルトの剣幕に圧倒され、続く言葉を飲み込む。
刹那―――
あきらかに自然のものではない、黒紫の光が差し込む。
メルト「掴まってってね!!」
言葉より早く、メルトに従い後ろから掴まる俊也。
???「逃げ場など、あると思うか!?」
その声とほぼ同時に、明滅する黒紫の光線が上空から放たれる。
その光線は二人のすぐ後ろを張り付くように追いかける。
メルトは蛇行し、螺旋を描きながら滑空し続ける。
???「一族の仇、呪われた魔女が、どこへ行こうというのだ!??」
その声は、張り付く光線より早く、二人の耳に響き渡った。
あらがった先に、
幸せがあるかどうか。
その選択が幸福な未来につながっているのか。
それを知るのはまた、終わりを迎えた時でしかない。




