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転生(仮)  作者: 成宮レイ
ベルシャーク
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サーペント

炎で敵を焼き尽くして作った道は、やはりそう長くはもたなかった。加速してはいたもののやはり数十メートル進んだところで両脇+後方からどんどん襲ってくる。幸い前から襲われることはないから進行が極度に妨げられることはない。別に炎の壁を作ってもよかったけど、炎に挟まれた場所を走るのってかなり暑そうだったからやめた。ティムから一々応戦(というより一方的に吹き飛ばしてるだけだが)をするのは効率が悪いと言われたけど、結局炎壁を作っても維持するのにそこそこ魔力を消費するから大した差はない。この層の敵は毒を持ってる分戦闘力自体はそんなに高くない。倒し方にさえ気を遣えばあまり苦労はない。

ある程度進んだところでフォルドの言っていた分かれ道に差し掛かる。先頭を歩くフォルドは迷わず左に曲がる。道を作っていた炎は壁にぶつかっても困るので少し前に消滅させた。

曲がってしまえば段々敵は少なくなってきた。だからわざわざ再び道を作る必要もないだろうと適当に襲ってくる奴に対処しながら進む。


「なんだよここ」


フォルドが足を止めたため、視線を前にやるとそこには驚くべき光景が広がっていた。


「これはいったい何だ?」

「私もこれは初めて見たわ。」


そこは円形状の広場のようになっていて、無数の氷柱が立っている。氷柱は、ただの柱もあれば中に獣が入っているようなモノ、植物が入っているようなモノ、アイテムのようなものが入ってるモノなど様々だ。


「下手に手出しをするではない。正確な封印解除を行わねば中のものは毒にも爆薬にもなる。それにこの氷柱は幻覚系の魔法もかけられているらしく、中に入っているように見えるものが本当に入っているとは限らん。」


いかにも「宝箱です」「お宝詰まってます!」みたいなものが凍り付いている氷柱に手を出そうとしていた俺はサッとひっこめる。

どうやらここには敵がいないようで迷わず氷柱の間を進んでいくフォルドに大人しくついて行く。暫く進むと、ぽっかりと空いた空間に出た。その真ん中には祭壇のように厳かな雰囲気を醸し出す1本の巨大な氷柱があった。その中には小さな青い薔薇が一輪だけ封印されているように見える。


「・・・。」

「も、もしかしてあれがキースが封印されている氷柱?」

「・・・そうだ。」

「この状態っていうことをフォルドは知ってた?」

「何かいるかもしれんとは思っていたがさすがにこれは不測の事態だ。」


俺たちの目の前には何があるのかというと、キースが封印されていると思われる巨大な氷柱に1匹の巨大な蛇が巻き付いているのだ。およそ体長5メートル、幅50センチメートルってところか。毒々しい紫と赤の斑模様、絶対毒を持ってるのは確実だ。


「で、あれ何?」

「サーペント」

「誰も名前を聞いてるわけじゃないんだけど。」

「儂にも詳しいことはわからん。だがキースの匂いに惹かれてやってきたのだろう。サーペントは約数10種の毒をもつと聞く。それにあの大きさ、キースの魔力の影響でも受けているのだろう。普通のサーペントにあのサイズはいない。」


そんなもんどうやって倒すんだよ。一気に燃やせばいいのか?


「厄介だな。この状態で下手に奴に攻撃を加えるとキースに影響を与えかねん。こちらの攻撃が当たるのもまずいが、奴の攻撃や毒が氷柱に当たっても困る。封印を解くには儂が氷柱に触れて特定の魔法を使う必要がある。サーペントの気をそらして儂が近づけるようにサポートしてくれ。」


いやいや、サポートとか言われましても・・・

俺の返事を聞く前に氷柱の方へ向かっていくフォルド。そして徐々に近づくフォルドを睨みつけるサーペント。あと数メートルで触れる、というところでフォルドに向かって何かを吐き出すサーペント。一瞬反応が遅れたフォルドは後方に飛んで避ける。


「何やってるのよソーマッ!あなたも手伝って。」


どうやらフォルドが反応が遅れた割に上手く避けれたのはティムのおかげらしい。攻撃を警戒しながらも近づくフォルドにイラついた様子を見せるサーペント。これは行けるんじゃないか!?と思ってみていると「ソーマ、あれ」というティムの言葉に注意をひかれる。どうやらサーペントが使っているのは強酸性の毒らしく、今までフォルドが避けた場所には溶けたような穴が多数あいている。


「もしあれがキースの氷柱にでも当たったら危険よ。それに、他の氷柱に当たっても危険だわ。さっきフォルドが言ってたじゃない。氷柱は適切な封印解除を行わないと毒にも爆薬にもなるって。あんな攻撃が当たって爆発でもしたらキースの氷柱だけでなく私たちの身も危ないわ。」


た、確かに・・・。それによく見たら戦いで神経が高ぶっているのかサーペントは巻き付いている氷柱をギリギリと締め上げている。これって危ないんじゃねえの?俺は少し考えてから指先に小さな火を灯し、サーペントの尾の先に火をつける。フォルドに夢中のサーペントの尾に正確に火を当てるのはそう難しいことではなかった。突然の痛みに驚いたサーペントは一瞬力が抜ける。とりあえずこれで絞めつけられたせいで氷柱が砕けるなんて間抜けなことにはならなさそうだ。

そしてその一瞬のスキを見逃さないのがフォルドだ。すかさずサーペントの頭の反対側に回り込んで氷柱に触れる。

その瞬間4本の雷が氷の柱を貫く。


パリーン


大きな何かが割れる音がしたかと思うと今までサーペントとフォルドがいた場所から盛大に煙が上がっている。背後のティムが魔法を使った気配がすると、一気に煙が吹き飛ばされる。


「「フォルド!!!」」

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