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転生(仮)  作者: 成宮レイ
ベルシャーク
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薔薇

煙が晴れたそこに待っていたのは薔薇を片手に庇うようにして持ち、サーペントに締め上げられるフォルド。氷柱から薔薇を取り出すことはできたらしいが、見た感じほっといたら危なさそうだ。よく見たらサーペントの体表からわずかに液体が染み出ている。どうやら毒を吐くだけが能じゃないらしい。

ただし、もう不安要素の氷柱はない。きちんと薔薇を取り出すことはできたんだからもう俺が遠慮する必要はなくなった。あとは今まで通り毒に注意していればいいだけだ。


「まっずはーっと。」


サーペントの頭部付近に火の粉を飛ばして注意をそらす。バタバタ暴れだしたが肝心のフォルドは余計締め上げられて苦しそうだ。


「何やってんのよ!」


ある程度近づかないと回復魔法が使えないためか、必死でフォルドの方へ近づこうとしているティムに怒られる。これって奴の頭を闇か何かで吹き飛ばしちゃだめなのか?切ったりするんじゃなければ問題なさそうだが・・・。


「一部だけ破壊なんかしたらサーペントは自爆するわよ。だから倒すのが面倒なんじゃない。サーペントは致命傷を受けて戦えなくなったら周りを全部巻き込んで死ぬの。眠らせるとか一時的に昏倒させる以外に対処法はなかったのよ。まあ、ソーマの魔力ならそれでもイケてたけどここまで巨大なのとは戦ったことがなかったしね。」


どっちにしろフォルドがつかまってる状態で全身吹き飛ばしたりなんてできるわけがない。取りあえず一瞬でも動きを封じれたらティムかフォルドがどうにかするだろ。

サーペントの体を一本の線に見立てて電流を流す。雷を少し応用して肉体にはあまり負担をかけないレベルで。普通のやつならこれだけで即死だろうけど何分あのデカい体躯だ。それにフォルドに影響を与えてしまっても困る。一応フォルドは雷も使えるからある程度の耐性はもってると思うが、他人の魔力だし、フォルドがさっきから受けている毒がどういうものかもわからないからできるだけ威力を落とした。


「ギシャァァァァァァァ」


ピクッピクッ


「ギュヨォォォォォォォ」


あれっ?最低でも4,5分は昏倒してもらうはずだったのに数秒で復活しやがった。まさかサーペントも一応雷系の魔力が備わっているとか?

でもあのフォルドとティムには数秒あったら十分だったようだ。あっさり抜け出して、復活の雄叫びがあがるころにはこっちに合流した。


「ソーマッ!あなたフォルドまで殺す気?魔法耐性持ってるサーペントを昏倒させるような魔法使うなんて、もしフォルドが雷持ってなかったら即死よ、そ・く・し。しかもフォルドが受けてた毒、魔力を落とす類のものだったわ。フォルドの魔力量に感謝しなさい。あのレベルなら普通の人なら魔法使えなくなるレベルよ。」

「まあまあ。ティムもその辺にしておけ。幸いお前の魔法ですべて回復したのだから。」

「おかげで私のMPはピンチですけどね。」

「MP回復薬いるか?」


そう言ってポーチに手を伸ばすと、睨まれる。


「精霊に人の回復薬は効かないわ。ソーマが持ってる回復薬はかなり高価で人間にも魔獣にも魔人にも使えるものだけど、私たち精霊は魔力の流れが少し違うの。」


ギシャァァァァァァァ


こんな会話してる場合じゃなかったし。すぐに意識を取り戻したサーペントはこちらにどんどん攻撃を仕掛けてくる。


「ソーマ!その薔薇を完全にソーマの魔法で凍らせてから手で砕け!」


フォルドの言葉に一瞬戸惑ったが、サーペントの攻撃をすべてギリギリで相殺したり避けたりしているフォルドとティムを見ると、なんだかよくわからないがその通りにしさえすればどうにでもなる気がしてきた。

こんなもんかな

右手に魔力を込めて触れたモノはすべて凍らせることができるようにし、左手で持っていた薔薇を持ち替える。


「嘘だろ!?」


全力ではないがそれなりに魔力を込めたつもりなのに冷たくすらなっていない薔薇。

仕方ない。俺はどうなっても知らないからな。

薔薇を握った右手にかなりの魔力を集中させ、薔薇を凍らせることだけに意識を向ける。


パキッパキパキッ


少しずつ薔薇は凍りはじめ、30秒ほどで完全な氷の彫刻と化した。

意外と時間がかかったな。


本当はこの量の魔力は2,3秒維持できれば一流の魔術師と言える。というより、どんな魔術師だろうが3秒も維持すれば魔力が枯渇して暫くは何もできない状態に陥る。つまり、30秒も維持した挙句に涼しい顔をしている蒼真は異常でしかないのだが本人に全く自覚はない。


「凍ったのならば、早くそれを砕け!」


焦ったフォルドの声に急かされて思い切り握りつぶす。


パリーン


思っていたよりも澄んだ音が響き渡る。そして砕けた薔薇の破片はそのまま地面に落下することなく、風に巻き上げられるように渦を巻いて吹き上がる。


「なんだ?」


どこからともなくふいた風の強さに思わず目を瞑る。そして再び目を開けると、目の前には見知らぬ美少年が立っていた。


「もう一度会えてうれしいよ、ソーマ。」


そう言って俺の前に跪く。


「え?え?何言ってんだ?ってか何で俺にそんな傅くんだよ。」

「そんなことやってる場合じゃないでしょう!?さっさとこのデカブツ倒すの手伝いなさいよ!」


そういやそうだったな。


「僕とソーマの感動の再会を邪魔するとは。ほんと、脳筋のクズ野郎だな、クソ蛇め。」






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