↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
銀狼討魔録 ~傭兵の母娘と謎の盗賊団~  作者: 松木 一
第一章 商人と盗賊

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/47

第26話 王立警備局と謎の町

 宿泊していたギルバート商会を出たロディ達が、警備局本部に着いて、一時間は経っただろうか?


 無事、上司の管理官にオーク退治の報告書を提出し、部屋から出て緊張がほぐれたロディは、広いロビーに出て小さく溜息をついた。


 管理官との打ち合わせでは、セオ商会が自分を指名する依頼を二件出し、受理されていると教えられた。

 契約内容と金額もロバート達との約束通りで、最初に請け負ったロバート達の護衛と、セオの積み荷の奪還および、奪還後の納品先迄の護衛となっている。


 さらにラングドン一家との約束も守る為、事が大きくなってテロを警戒する騎士団が動かないよう、奪われた品が当たり障りのない物に変更されていた。

 奪還後は、オーク退治の時と同じく警備局に報告書を提出せねばならないが、その報告書はアリシアに言われた通り、一家の事を誤魔化した物を出す予定だ。




 頭を切り替えたロディが広いロビーを見回すと、窓から差し込む晴天の光の下、十数名の警備局員達が随所に置かれた歓談用の椅子に座り、仲間や依頼者と熱心な相談を繰り広げる姿が目に入った。


 一緒に来たアリシア達も、遠慮するようにロビーの片隅に座っている。

 彼女達は警備局が珍しいのか、時折、興味深げにロビー内を見回しながら雑談をしているようだ。

 彼女達の方へ歩いて行くと、ロディに気付いたのかマーシアが雑談を止め、笑顔で小さく手を振る。


「どう? 何か情報はあった?」


 マーシアが、期待の眼差しでロディを見上げた。


「いえ……さっきタイレル傭兵団で聞いた事と同じで、テッド商会もヴェルゴーの町も、めぼしい情報は何も……」



 全国に展開する、王立警備局の情報網の規模と情報の速さは、騎士団に次ぐ国内二番目と言われている。


 それに期待したロディは、管理官にオーク退治の報告が終わった後、一家の秘密を守る為に余計な事は何も言わず、警備局にヴェルゴー等の情報が無いか調べてもらったのだが、無駄に終わったのだ。


 期待が不発に終わった上に、管理官との気を遣う長話に疲れたロディは、疲れたようにテーブルを囲む椅子の一つに座り、管理官からもらったヴェルゴーの地図をテーブルに広げた。


 椅子に座っていたアリシア達が腰を浮かせ、期待の目で地図をのぞき込んだが、それがすぐに失望に変わっていく。



「傭兵団の地図と同じで、簡単なものね」


 期待外れと言った感のアリシアが、鞄から地図を出して机に並べた。

 先程タイレル傭兵団でもらった地図だが、どちらも主な道や建物等の、最低限の情報しか書かれていない。


「ヴェルゴーは、遠すぎて精霊が偵察に行けないし……これは、アネットさんから聞いた情報で、準備を進めるしか無いわね」



「ええ。誰も行った事の無い町ですし、持って行く武器や道具は、念の為に多めに用意した方が良いと思います。それと、これらの地図よりアネットさんがくれた地図の方が色々細かく書かれてますし、それを使いませんか?」


 その言葉で、マーシアが鞄から地図を取り出して机に並べた。

 ラングドン一家の親分となったアネットが、全員にくれた地図だ。

 地図に書かれた地形に大きな違いは無いが、小道や路地、建物の配置といった内容の細かさは、一家が不測の事態に備えて作成していたという、アネットの地図の方が圧倒的に詳しい。


「……そうね」


 アリシアが、机に広げられた三枚の地図を見比べながら、真剣な表情で頷く。




「ねぇ、ロディ君」


 マーシアが、不思議そうにロディを見た。


「なんで、警備局にもテッド商会やヴェルゴーの町の情報が無いの? さっき傭兵団で、警備局は騎士団に次ぐ国内二番目の情報収集力だから、警備局なら情報がある筈って言われたでしょ?」



「……それは……警備局の情報源は、局員が任務を終えた時に書く報告書が主なんです。警備局員は全国を走り回ってますから、任務や道中で見た怪物や異変の情報が早くて数も多いですけど、誰も行ってないと報告自体が無いでしょう? 報告を探したけど一件も無かったそうですから、警備局は、今まで一度もヴェルゴーやテッド商会に関わってない筈だそうです……」


 ロディの言葉を、マーシア達が興味深げに聞いている。


「それと、テッド商会は盗みを依頼するような奴だから、盗品を扱う商人だと思います……そういう違法な品を扱う商人は、騎士団に正体がバレるのを警戒して、騎士団と関係が深い警備局を使わないんです……だから、テッド商会の情報が無いのは予想通りだったんですけど、まさかヴェルゴーの町の情報まで無いとは……上司も少し変だなって言ってました……」



「……変よねぇ」


 腰を浮かせていたマーシアが座り、腕を組みながら訝しげに呟く。


「ヴェルゴーは、山奥の小さな町って話でしょ? そんな所なら怪物も多そうだけど、よく今まで傭兵や警備局に怪物退治を頼まなかったわねぇ……強い傭兵とか衛兵達でもいるのかしら?」



「……どうでしょうね? 仮に、そんな人達がいたとしても、長年テッド商会に潜む怪物に気付かないんだから程度は知れてると思うけど……戦いの腕だけは、凄く良いとかかしらね……?」


 アリシアも椅子に座り、脚を組んで怪訝な表情を浮かべた。

いつも読んで下さり、誠にありがとうございます。

明日からの投稿は、都合により、毎日12時から12時20分の間にさせて頂きます。

もしそれが難しい場合、申し訳ございませんが17時から22時までの間に投稿させて頂きます。

ご迷惑をおかけして誠に申し訳ございませんが、何卒よろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。