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あの日の春風は今も  作者: リンダ


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走らない勇気

第40章 走らない勇気


1 一段階戻る朝


右ふくらはぎに現れた小さな張りは、翌朝にはかなり落ち着いていた。


強い痛みはない。


歩いても違和感はほとんどない。


それでも柚月は、ベガルタ仙台レディースのクラブ施設で詳しい検査を受けることになった。


診察台へ横になり、右脚を伸ばす。


チームドクターは、ワールドカップ決勝で損傷した部分を中心に慎重な触診を行った。


「ここは痛みますか」


「大丈夫です」


「こちらは?」


「少し張ってる感じはあるけど、痛くはねぇべ」


足首を曲げる。


膝を伸ばした状態で、ふくらはぎへゆっくり力を入れる。


超音波検査でも、筋繊維の新たな損傷や出血は確認されなかった。


柚月は検査結果を聞くと、安堵の息を吐いた。


「じゃあ、今日からまた芝に出られる?」


チームドクターはすぐには答えず、トレーナーと顔を見合わせた。


「再損傷はありません。ただし、張りが出たということは、今の負荷が身体の許容範囲を越えかけたということです」


「一往復増やしただけだっちゃ」


「その一往復を、現在の筋肉が受け止めきれなかったということです」


柚月は診察台の上で黙り込んだ。


「数日間、リハビリを一段階前へ戻します」


「前へじゃなくて?」


「前ではなく、戻します」


「また室内?」


「はい。三メートルのパスと歩行動作から再確認します」


柚月は天井を見上げた。


一度はスパイクを履き、芝の上へ立った。


仲間たちの声を間近で聞いた。


ボールを足元で動かした。


その場所から、再び屋内のリハビリルームへ戻る。


分かっていたこととはいえ、胸には悔しさが残った。


「予選の日程、もう発表されたんです」


「承知しています」


「少しでも早く、次へ進みたいっちゃ」


「大船選手」


チームドクターの声は穏やかだった。


「今回のリハビリの目的は、予選の日程に身体を合わせることではありません。再び世界の強度で戦える身体をつくることです」


その言葉は、柚月が自分で作ったロードマップにも書いたはずだった。


予選に間に合わせるのではなく、予選を戦える身体を作る。


頭では理解している。


それでも、予定が一つ後ろへずれるたびに、代表が遠くなるように感じた。


2 もう一度、三メートル


リハビリルームの床に、二つの目印が置かれていた。


間隔は三メートル。


柚月は片方の目印の前に立ち、トレーナーと向き合う。


数日前と同じ光景だった。


「右脚の振り幅を小さくしてください。強さよりも、動作の滑らかさを確認します」


「前より弱く蹴るの?」


「はい」


「張りはもうないべ」


「ないからこそ、予定された負荷で進めます」


柚月はボールの前へ立った。


軸足となる左足を置く。


右足の内側で、ボールを軽く押し出す。


三メートル。


トレーナーの足元へ、ゆっくり転がる。


戻ってきたボールを止める。


もう一度返す。


何度も繰り返した練習。


すでに通過したと思っていた段階。


一本目。


二本目。


三本目。


身体に痛みはない。


動きにも問題はない。


それなのに、気持ちだけが落ち着かなかった。


隣の窓からは、練習場の一部が見える。


仲間たちが走っている。


芝を踏む音は聞こえないが、選手たちの動きだけは見えた。


「今ごろ、外では対人練習だべな」


トレーナーはボールを返しながら答える。


「柚月さんは、今できる練習をしてください」


「分かってるっちゃ」


次のパスは、少し強くなった。


トレーナーが足の裏で止める。


「力が入りました」


「これくらいなら大丈夫だべ」


「昨日も同じ考えで一往復増やしましたよね」


柚月は言葉を失った。


「今は、できることを見せる時間ではありません。決められた動きを、身体に不安なく繰り返せるか確認する時間です」


ボールが戻ってくる。


柚月は一度、深く呼吸した。


右足の力を抜く。


今度は、指示された強さで正確に返した。


一本を強く蹴ることより、百本を同じ動きで続けること。


進みたい気持ちを抑えること。


今の柚月に必要なのは、走り出す力ではなく、走らない勇気だった。


3 走らなかった一日


リハビリを終えた柚月は、山田羽美監督の部屋を訪ねた。


机の上には、次のリーグ戦へ向けた資料が広げられている。


山田は椅子を勧めると、柚月の表情を見た。


「検査は問題なかったんでしょう」


「再損傷はありませんでした」


「なら、よかったね」


「でも、また三メートルに戻りました」


「それが不満?」


「不満っていうか、悔しいっちゃ。一度は芝まで行ったのに」


山田はペンを置いた。


「昨日の柚月は、練習を増やしたことで一歩進んだと思った?」


「そのときは」


「実際には、今日の屋外練習を失った」


柚月はうなずく。


「はい」


「でも、今日の柚月は決められたところで終わった。何も増やさなかった」


「それが普通じゃないですか」


「今の柚月にとっては、大事な進歩だよ」


柚月は少し不思議そうに山田を見る。


「今日は走らなかった。勝手に負荷を増やさなかった。身体の状態より、予選の日程を優先しなかった」


山田は穏やかに言った。


「それも立派なリハビリでしょう」


「走ってないのに、進んだってことですか」


「そういう日もある」


山田は練習場の方へ目を向けた。


「選手は、走った距離や蹴った本数で努力を確認したくなる。でも、本当に長く戦うには、やらない判断も必要になる」


「試合中の外す勇気みたいだな」


「似ているね」


通せそうだからといって、無理に縦へ入れない。


攻められそうだからといって、急がない。


一度外し、味方が整う時間をつくる。


柚月たちがワールドカップで大切にした判断だった。


ピッチではできたことが、自分の身体になると難しい。


柚月は小さく笑った。


「うち、自分の身体には縦パス入れすぎてたっちゃ」


「しかも、相手が待っているところへね」


「かなり危ないパスだべ」


「ようやく気づいた?」


「はい」


4 早川莉奈の壁


同じ日、代表候補合宿では、早川莉奈が厳しい指摘を受けていた。


紅白戦の前半。


早川は何度も前を向き、攻撃へつながるパスを狙った。


味方FWが背後へ動く。


早川は素早く縦へつける。


一度目は通った。


二度目も、相手DFの足元を抜けた。


しかし三度目。


相手の守備は、すでに早川の狙いを読んでいた。


縦へのコースへ身体を入れ、パスを奪う。


早川はすぐに戻ったが、カウンターを止められない。


さらに数分後。


味方が右サイドでボールを持つ。


早川は中央で受けようとした。


相手MFが背後から寄せる。


ボールを受けた瞬間、身体をぶつけられた。


早川は足元へ収めきれず、再び失う。


原町監督の笛が鳴った。


プレーが止められる。


「莉奈」


「はい」


「今、何を見ていた」


「前線の動きです」


「それだけか」


早川は答えに詰まる。


原町監督は、ピッチ全体を指した。


「前線が動いたから、縦へ出した。それ自体は間違いではない。だが相手は、同じコースを三度目には消していた」


「はい」


「目の前の選択肢は見えている。だが、試合全体の変化がまだ見えていない」


早川は唇を結んだ。


「ボールを受けたときも同じだ。背後から来る相手を確認できていなかった。見る回数は多いが、見た情報を整理しきれていない」


「すみません」


「謝る必要はない。今の課題が見つかったということだ」


紅白戦が再開される。


早川は、今度こそ全体を見ようとする。


右。


左。


前。


背後。


何度も首を振る。


しかし、すべてを確認しようとするほど、判断が遅くなった。


受けられる瞬間に受けられない。


出せる瞬間に出せない。


練習後、早川はピッチの端へ座り込んだ。


自分では、視野の広い選手だと思っていた。


だが代表では、ただ見るだけでは足りない。


何を見るのか。


いつ見るのか。


見た情報から、何を捨てるのか。


その判断が追いついていなかった。


5 柚月への質問


夜。


柚月が自宅の書斎で代表候補合宿の映像を見ていると、携帯電話にメッセージが届いた。


送り主は、早川莉奈だった。


『柚月さん。突然すみません。少し教えていただきたいことがあります』


柚月はすぐに返信した。


『どうした?』


しばらくして、長い文章が届いた。


『今日の紅白戦で、原町監督から試合全体の変化が見えていないと指摘されました。周囲を確認しているつもりでも、相手の狙いや試合の流れが分からなくなるときがあります』


次のメッセージには、率直な質問が書かれていた。


『柚月さん。試合の流れが見えなくなるとき、何を見ればいいですか』


柚月は画面を見つめた。


代表のポジションを争う選手。


自分の後継者と報じられた若手。


早川が成長すれば、柚月の代表復帰は厳しくなるかもしれない。


具体的な助言を送ることは、自分の競争相手を強くすることになる。


柚月は書斎に置かれた名取百合子の遺影を見る。


「ユリ。どう思う?」


胸の中で、すぐに返事が聞こえた。


「何を迷ってるんだべ」


「莉奈は、うちのポジションを争う相手だっちゃ」


「だから教えないのか?」


「そういうわけじゃねぇけど」


「柚月は、弱い仲間に囲まれてオリンピックへ行きたいのか」


「違う」


「なら、教えればいいべ」


ユリの声は迷いがなかった。


「莉奈が強くなって、柚月も戻って、二人でなでしこを強くすればいいっちゃ」


「もし、うちが選ばれなかったら?」


「そのときは、莉奈が柚月より必要だと思われたってことだべ」


胸に刺さる言葉だった。


だが、間違ってはいない。


「それが悔しいなら、柚月も結果出せばいい」


柚月は笑った。


「相変わらず容赦ねぇな」


「競争相手に教えたくらいで消える実力なら、最初から代表には戻れねぇっちゃ」


「はいはい。分かったべ」


柚月は早川へ返信する前に、紅白戦の映像をもう一度開いた。


6 見るものを減らす


柚月は早川がボールを失った場面を何度も再生した。


最初の縦パス。


二度目の縦パス。


そして、読まれた三度目。


背後から寄せられた場面。


早川は周囲を見ている。


ただし、見る対象が多すぎた。


すべてを一度に処理しようとし、相手が何を変えたのかを見失っている。


柚月は音声通話をかけた。


「もしもし、柚月さん?」


早川の緊張した声が聞こえる。


「映像見たよ」


「ありがとうございます」


「莉奈、首はちゃんと振ってるべ」


「でも、見えていないと言われました」


「見えてないんじゃなくて、見すぎてる」


早川は黙った。


「前も、横も、後ろも、ボールも、相手も、全部同じ強さで見ようとしてる。だから一番大事な変化を拾えなくなってるっちゃ」


「一番大事な変化?」


「その時間帯に、相手が何を嫌がって、何を待ってるか」


柚月は映像を止めた。


「最初の縦パスは通った。二度目も通った。だから莉奈は、三度目も同じ場所が空いてると思った」


「はい」


「でも相手は、二度通されたあとに立ち位置を変えてる。パスコースがあるように見せて、待ってたんだべ」


早川は小さく息をのむ。


「相手の選手だけじゃなくて、前のプレーから何が変わったかを見るんですね」


「そう。試合は、一回ごとに全部リセットされるわけじゃねぇっちゃ。さっき通ったパスが、次も通るとは限らない。むしろ、相手はそこを消そうとする」


「でも、全体を見ようとすると、判断が遅くなります」


「全部見る必要はないべ」


柚月ははっきり言った。


「見るものを減らすんだっちゃ」


「減らす?」


「自分が次に関わる場所を決めたら、必要なものだけを見る。前線へつけたいなら、受ける選手と、その周りの二人。自分が受けるなら、ボールの位置、背後の相手、次に出す場所。この三つでいい」


「三つ」


「それと、味方の表情や身体の向きも見る。パスを欲しがってるのか、相手を引きつけるために走ってるだけなのか。動いたからって、必ず出す必要はねぇべ」


早川はメモを取っているようだった。


「柚月さんは、試合の流れが分からなくなったら、どうしますか」


「一回、簡単なパスを入れる」


「前へ行かないんですか」


「行かない。自分たちの形が見えなくなったら、まずボールを失わない。横でも後ろでもいいから、みんなが顔を上げる時間をつくる」


ワールドカップで使い続けた「外す勇気」。


無理に答えを出さず、次の判断ができる場所へボールを移す。


「試合の流れが見えないときに、無理に決定的なパスを狙うと、もっと見えなくなるっちゃ」


「一度、時間を作る」


「うん。莉奈一人で試合を動かそうとしなくていい。味方にも見てもらえばいいべ」


早川はしばらく黙ったあと、静かに言った。


「ありがとうございます。明日の練習で試してみます」


「教えたからって、すぐできるとは限らねぇぞ」


「はい」


「失敗していい。何を見たか、何を見落としたかだけ覚えておけばいいっちゃ」


「柚月さん」


「何?」


「競争相手の私に、そこまで教えていいんですか」


今度は柚月が黙る番だった。


やがて、少し笑って答える。


「うちが代表に戻るために、莉奈が弱いままでいる必要はねぇべ」


「でも」


「強い莉奈と競争して、それでも選ばれる選手に戻る。その方が面白いっちゃ」


電話の向こうで、早川が息を吸う音が聞こえた。


「私も、柚月さんに勝てる選手になります」


「言ったな」


「はい」


「うちも簡単には負けねぇからな」


二人は笑った。


7 競争相手から先輩へ


翌日の代表候補合宿。


紅白戦で早川は、前日のように最初から決定的なパスを狙わなかった。


ボールを受ける前に、見るものを絞る。


自分の背後。


次に渡す味方。


その周囲の守備。


縦のコースが見えた。


前線の選手も動いている。


だが、相手MFの身体が少し内側を向いていた。


待っている。


早川は縦へ出さなかった。


一度、右のサイドバックへ預ける。


自分は中央から少し外へ動く。


相手の守備が横へ広がる。


ボールが戻ってきたとき、今度は中央が空いた。


早川は前を向き、縦へ運ぶ。


相手が寄せる。


その瞬間、左へ展開した。


攻撃はゴールにはならなかった。


それでも原町監督は笛を吹かず、プレーを見続けた。


数分後。


早川は背後から寄せられる前に、身体を半分だけ開いてボールを受けた。


ワンタッチで後ろへ戻す。


すぐに位置を変え、もう一度受ける。


今度は前を向けた。


試合を一度で決めようとせず、二本のパスで状況を変えた。


練習終了後、原町監督が早川を呼んだ。


「昨日とは違ったな」


「大船さんに教えていただきました」


「何を教わった」


「全部を見るのではなく、必要なものを選ぶことです。それから、流れが見えなくなったら、一度簡単なパスで時間を作ること」


原町監督は小さくうなずく。


「柚月らしい答えだ」


「はい」


「ただし、教わった形をそのまま使うだけでは駄目だ。今日の相手と、明日の相手は違う」


「自分で判断できるようにします」


「その意識を忘れるな」


早川は練習場を離れる前に、柚月へメッセージを送った。


『今日は、昨日より少し試合が見えました。ありがとうございました』


数分後、柚月から返事が来る。


『少しで十分だべ。明日また見えなくなったら、もう一回考えればいい』


そのあとに、もう一通届いた。


『でも、代表の席は譲らねぇぞ』


早川は笑いながら返信した。


『私も譲っていただくつもりはありません』


8 止まることで見えたもの


仙台のリハビリルームでは、柚月が再び三メートルのパスを続けていた。


前日と同じ距離。


同じ強さ。


同じ本数。


以前なら、変化がないことに焦りを感じていた。


この日は違った。


軸足の向き。


右足がボールへ触れる位置。


蹴ったあとのふくらはぎの反応。


一つひとつを丁寧に確かめる。


走らないからこそ、見えるものがあった。


「昨日より、足首の力みが少ないです」


トレーナーが言う。


「自分でも分かるっちゃ」


「張りは?」


「ないです」


「それでも今日は、ここまでです」


柚月はボールを止めた。


「はい」


トレーナーが少し驚く。


「延長をお願いしないんですか」


「今日はしねぇべ」


「成長しましたね」


「何歳だと思ってるんですか」


「二十八歳です」


「ユリと同じこと言うなぁ」


柚月は笑いながら、右ふくらはぎを冷却するための椅子へ向かった。


窓の外では、仲間たちが走っている。


羨ましい気持ちは消えていない。


予選の日程も近づいている。


早川たちは、代表候補として先へ進んでいる。


それでも今日は、走らないことを選べた。


無理に一本増やさなかった。


予定どおりに終えた。


競争相手へ助言を送り、自分は自分の課題へ戻った。


前へ進むことだけが、強さではない。


立ち止まり、状況を見直す。


必要なら一度後ろへ下げる。


そして、もう一度正しい場所から始める。


それは、柚月がピッチで何度も選んできたプレーだった。


今度は、自分の人生と身体に対して、その判断を使う番だった。


書斎へ戻った柚月は、ロードマップの端へ新しい言葉を書き込んだ。


走らない勇気も、復帰へ向かう力。


名取百合子の遺影へ目を向ける。


「ユリ。今日は余計にやらなかったよ」


胸の中で、ユリが笑う。


「それだけで報告するのか」


「今のうちには、大きな一歩だべ」


「んだな。よく止まれたっちゃ」


「莉奈にも、ちょっとだけ教えた」


「競争相手を強くしてどうすんだべ」


柚月は驚いて遺影を見る。


「ユリが教えろって言ったんだべ!」


「冗談だっちゃ」


「天国から紛らわしい冗談言うなぁ」


ユリの楽しそうな笑い声が聞こえた気がした。


「強い相手と競った方が、柚月も強くなれるべ」


「うん」


「だから今は、ちゃんと治せ」


「分かってるっちゃ」


柚月は今度こそ、迷いなく答えた。


次回予告


第41章「三十秒のジョギング」


数日間の慎重な調整を終え、柚月に次の段階が許可される。


芝生の上を、三十秒だけ走る。


速度は全力の三割。


直線のみ。


急な停止も方向転換も禁止。


誰かにとっては準備運動にもならない三十秒。


しかし柚月にとっては、ワールドカップ決勝以来となる最初のジョギングだった。


走ることへの喜び。


再び痛むかもしれない恐怖。


その両方を抱えながら、柚月は一歩目を踏み出す。


一方、代表候補合宿では、早川莉奈が柚月の助言を実践し、攻撃の流れを変えるパスを通す。


原町監督は、柚月の復帰状況について初めて具体的な報告を受ける。


「予選には間に合うかもしれない。ただし、急がせれば間に合わなくなる」


代表スタッフとクラブの間で始まる、慎重な復帰計画。


次回、

第41章「三十秒のジョギング」


世界へ戻る最初の走りは、三十秒。


短い時間の中に、止まっていた日々と、これから進む未来のすべてが詰まっている

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