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不穏なお茶会

オリヴェートは、ティアナを帰らせた後、窓から外を眺めていた。

すると、ルドマン執事が戻ってきた。

「早かったな」

「……はい。それが……」

「兄さん、失礼しますよ」

ルドマンを押し退けるようにして入ってきたのは、ヨハエルだった。


「……」

「もう、相変わらず無口ですね」

ヨハエルはオリヴェートの様子にやれやれと、いった雰囲気で肩を落とした。

「さっきそこでティアナさんに会いましてね。酷く落ち込んでいる様子でしたので、お茶会に呼んだんです。兄さんもどうですか?」

ヨハエルはにっこりと笑った。

「……何を考えている」

「兄さんの婚約者と仲良くしたいだけですよ」

優しく笑うヨハエルを前に、オリヴェートは眉をひそめた。


「彼女の屋敷に行ったそうだな」

「……おや、知ってましたか。出掛けたついでに寄らせてもらったんです。緑の多い、空気の綺麗な所でしたよ」

「……」

「あ、そろそろお茶会の時間なので、失礼しますね」

ヨハエルは胸ポケットから懐中時計を取り出し、時間を確認した。

「今日は貴族の令嬢を数人呼んでいるんです。ティアナさん、気に入られると良いのですがね……」

含みのある言い方をしてヨハエルは去っていった。


「あら、貴女のお父様は領主をしていらっしゃるのね」

「それで、屋敷の中に畑があるの?」

「は、はい……」

「ふふっ、そうなの」

お茶会の席には五人令嬢の姿があった。知り合いだったらどうしよう、と身構えるルオラだったが、田舎貴族であったティアナは都会の貴族との交流が全くなかったため、初対面であった。


胸を撫で下ろす暇もなく、五人の令嬢に囲まれたルオラは、質問されるがままに答えていった。

答える度に、彼女達は顔を見合わせてこそこそ話をしてはクスクスと笑っていた。

「おや、もう仲良くなったのですか?」

「ヨハエル王子!」

ヨハエルを見た令嬢は黄色い声をあげ、席を立った。慌ててルオラもそれに続いた。

ヨハエルが席につくと、みんな座り始めるので、ルオラもそれに続く。


「それでどんは話をされていたんですか?」

「ふふ、ティアナさんのお宅について話していたんですの」

「今、領主をしていると聞いたのです。他に何をなされているのかと思って」

「……え?」

「まさか、ただ領民から搾取するだけだなんて、そんな時代錯誤なことをされていらっしゃる訳ありませんものね?」

「……じ、時代錯誤……?」

学のないルオラには、いささか難しい言葉だった。


「今は貴族も自ら動いて、領地を、国を、豊かにするために質の良い素材や職人を見つけ出し、最高級の調度品を作って、他国との貿易で利益を出したりしていますのよ」

「特にタルシア様のお父様は、土地で宝石が採れるのを発見して、先日この功績を称えられて勲章を賜ったとか」

そういわれて、令嬢の中でも飛び抜けて綺麗なドレスに大きな宝石のネックレスを下げた女性が、ほほほ、と笑みをこぼした。

「お父様は国のために当然の事をしたまでです。それで、ティアナさんのお父様はどんな商事をされているのかしら?」


「え、えっと……」

ルオラは、バレッティ卿の仕事を全く知らなかった。興味すら持った事もない。この質問に答えられるはずがなかった。

「あら、答えられないのね」

令嬢達は、クスクスと笑った。

「でも、オリヴェート王子と結婚すれば、安泰ですわね」

「オリヴェート王子からおこぼれを頂けて、何もしなくても、不自由なく暮らせますわね」

「ティアナさんも、バレッティ卿も、幸運の持ち主ですわ」

令嬢達の言葉が、誉め言葉でないことくらい、ルオラにも分かった。


ルオラは、ただただ下を向いて、この話が終わるのを耐える事しか出来なかった。

ヨハエルは、そんな彼女を庇う事もせず、流れに任せるかのように傍観していた。

すると、突然令嬢達の笑い声が静まる。

誰かがこちらに来る足音がした。

ここまで読んで頂き、ありがとうございます!

特別、文章が上手な訳ではないのですが、継続する力をつけ、終わらせる事を目標に、がんばります! しゃす!

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