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Lovey-dovey  作者: このはな
わたしのついたうそ
4/7


 実家に帰って、一週間がすぎたころ。


「ねえねえ、いつまでこっちにいるの? 向こうに帰らなくていいの?」


 何も知らない真紀が、口の中いっぱいにスナックをほおばりながらたずねてきた。わたしもこたつの上に置かれた缶ビールを手に取り一口飲む。


「うん、そのうちね。休みが終わったら、ちゃんと帰るよ」


 心配をかけないようにうそをついた。


「お母さんだって心配しているんだよ。何も言わないけど、お父さんだって」


「もう、しつこいなあ。いいでしょう、人のことは? そういうアンタだって、勉強の方は大丈夫なの?

 お姉ちゃんが教えてあげようか?」


 真紀がしつこく言ってきたので、弱点を突いた。そうしたら、真紀は怒って立ち上がった。


「ふんだ。もう知らない! お姉のバカちん!!」


 捨て台詞を残し、二階の部屋へ上がって行く。


 妹がいなくなったら、テレビのついていないリビングはシンとしていて、やけに静かに思えた。


 はあ、ちょっと油断していたな。


 いけない。家に閉じこもって酒を飲んでばかりいたら、家族に変だと思われてしまう。もうやめなければ。


 そうだ、どこかに行こう。外へ出れば、ふさいだ気分を変えることができるかもしれないから。


 わたしは彼を忘れるために行動を起こした。


 その日から、毎日化粧をして出かけることにした。


 早起きをし、シャワーを浴びて身支度を整える。化粧をいつもより濃い目にして、派手な女を演出する。


 化粧台の鏡の中には、微笑みをたたえた知らない女がいた。



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