↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
15/25

第十四話 お前の知識は役に立たんがAndroidは役に立つ

 天正十一年二月──新暦なら四月らへん。


「はいこんにちは、織田信長です。マントひらひら~」


 いつものように坂本城から送られてきた転生者を面接する。今回転生者を引率してきたのはミカだった。ミカの顔をみると、今回の転生ガチャはハズレくさい。


 ミカは二年前に転生してきた令和の女子大生。当時二十歳。可愛くて愛想がいい。

 坂本城に配属して、光秀とうまくやっている。


 ミカが転生者の略歴を述べる。


「令和の高校生のタケルくんです。下野国しもつけのくに(※栃木らへん)の出身です。トラック転生ですね、はい。それから──」


 ミカは言いにくそうに続ける。


「『戦国時代の内政チート小説を読み込んでいるのできっとお役に立ってみせます』というのが自己アピールです」


 タケルが元気よくいった。


「僕の知識で、きっと信長さまのお役に立ってみせませす!」


 はは、ありがとうと俺は渇いた声で言う。

 しかし持ち込んだものが面白い。Androidにソーラーチャージャー。


 すでにパネル式の携帯用ソーラーチャージャーは二十ほどあるが、いくらあってもありがたい。こんなもの持ち歩いている奴は少ないはずだが、転生トラックが選んで轢き殺してるとしか思えん。


 で、Androidというのがいい。iPhoneと違ってAndroidは面白い機能を持つものがある。

 これも、赤外線で温度が計れるやつだもん。面白いの持ってきたな。


 タケルが一生懸命アピールしてくる。


「信長さま、実は硝石を作る方法があるんですよ。しかも原価はタダです!」

「ああ、はいはい」


 俺は無視して村井貞勝と話す。このAndroidは伊勢のサトウキビ作りの助けになるかも知れない。

 タケルは糞尿を集めてくれと言っているが取り合えず無視する。

 令和の人たちは糞尿を廃棄物だと思ってるけど、戦国では売り買いするような貴重な資源なんだよね。


 田畑に撒いて循環させなきゃいけない貴重な窒素資源を、火薬にして大気にばら撒くわけにいかんのよね。大気中の窒素からアンモニアを合成するハーバー・ボッシュ法は二十世紀のチート技術。


「君、窒素と水素を二百気圧くらいまで圧縮して、高温で反応させ続ける化学工場作れる?」

「え? は?」

「なんでもない」


 取り敢えずスマホとソーラーチャージャーは織田家で回収して、伊勢サトウキビチームに貸与するという形で、タケルにそのまま持たせておく。


「え? これ僕のじゃなくなったんですか?」

「そういうこと。俺、第六天魔王なんだから文句言ったら首はねるよ」


 適当に脅しておく。織田信長はすぐ首をはねるというイメージがあるらしく、これ言っておけばおとなしい。


「じゃあタケル、君はそれもって伊勢のサトウキビチームに配属ね。今あっちでサトウキビを育ててんのよ」


 タケルの顔が輝いた。


「サトウキビ? 任せてください! 漫画でやっているのを読みました! 理論はバッチリです!」

「実際にやったことはある?」

「もちろんありません! でも出来るイメージはあります! 是非いかせてください! 頑張ってきます!」


 うんうん、と俺は頷く。


 こういうタイプが別に戦国にいないわけじゃない。人から話を聞いただけで、自分もできると勘違いするタイプ。


 でも悪いわけじゃない。だって挑戦するから。


 どうせ無理だろう、ではなく「自分もできる!」と思って実際にやるのは、それも大切な技能なんだよね。


 タケルが退室してから貞勝が声をかけてきた。


「あんなの、役に立ちますかね?」

「立たないよ。多分、デバフ」

「そうですよね」

「でもまあ、現場に行くのを嫌がらなかったからね。『僕はここで知恵だけ出しまします!』だったら……ね?」

「ああ、いいそうですね。『織田家相談役にしてください』とか」

「そうじゃないしな。あとあのAndroidはシンジの役に立つんじゃない?」


 シンジの種キビは、伊勢で実績のある品種だと言っていた。

 だから伊勢なら、見込みはあるんじゃないかとは思うけど。


「なんつっても砂糖だもんな。投資価値はあるよ」

「来年、砂糖どのくらい出来ますかね? 1斤(約600g)くらいになるんですかね?」

「分かんない。そんなにはないんじゃない?」


 砂糖1斤は堺でかえば大体銀2匁くらい。銀2匁は米にすれば四升~五升。

 種キビを増やしていって、生産量を上げていけば──五年十年で採算が合うようになるのかなあ、と。


 俺は甘いことを考えていた。砂糖だけに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。