本当に、ここどこですか? ③
「それは・・・」
異世界から呼び寄せた者を、元の世界に還す方法があるのか?俺は期待をして、その言葉の続きを待つ。
「ありませんね」
「えっ・・、ないんですか?」俺は期待していた分、がっくりと肩を落とす。
「魔導士が言っていたんですが、文献でも元の世界に還す方法はどこにもなかったと。それに100年前に召喚した者も、元の世界に還ることはなく、ドギア国で一生を過ごしたそうです」
「100年前に召喚した者も、元の世界に還ることは・・・なかった。
元の世界に還す方法は・・・・・・・・ない。
そんな・・・、だったらいったいどうすれば?俺の今までの生活の暮らしに、日本に・地球に還ることが出来ない・・・・・」
一瞬何も考えられなくなり、呆然としてしまう。どうしたらいい・・・のか、どうしたら良いんだ?
せっかく松岡さんにはっぱをかけて貰って、やっとで会社を辞める決意が出来て、社長に辞表を出そうとしてたのに。イラストにも挑戦しょうと思っていたのに・・・・・。
どうしたら良いんですか、・・・松岡さん?
その時ふっと、松岡さんの言葉が頭の中に思い浮かぶ。
「松岡さん・・・」そう、言葉が自然ともれる。
俺は目の前の霧が、すうっっっと晴れていくような感じがする。
それはさっきまで憤慨していた気持ち、王女の自分本位な態度でムカつていた気持ちを、一瞬で忘れるくらいに。胸の中の暗いモヤモヤが、スゥッッと晴れていくような感じがした。
「・・・今やりたい事、今だからこそ出来る事。とにかく思いつくだけやってみろ、・・・・・・挑戦してみろ。ですよね・・・松岡さん」
そうだ、俺は何もやっていない。俺はこのよくわからない世界に来てから、俺はまだ何もやっていない。確かに俺は、この世界の事をよくわかっていない。ドギア国の事もわかっていないし、派遣されイルア村がどいう所なのかもわからないし、そのイルア村でうまくやっていけるのかもわからない。この先の未来が想像できないし、何があるのか全く分からない。わからない事ばかりだ。
だからこそ、今だからこそ出来る事をやるんだ。なぜなら俺は、まだ何もやっていないのだから。
そうだな・・・まずは第一の目標として、生き抜こう。
まずは生きるんだ、この国で生き抜こう。このよくわからない世界で生きて行こう。
そして余裕が出来てきたら、やれる事を増やして目標も増やしていけば良いんだ
俺はスウッッと息を深く吸い込んで、大空に向かって大きく叫ぶ。俺はこの世界を生き抜く決意するためにも、自分を奮い立たせる為にもにも叫ぶ。
「やりたいことをやれるだけやってみろーーーーーーーーーーー!!!」
ふっと我に返って、周りを見てみると。周りの人が俺をじっと見て「何だこいつは」「何事だ」「おっかしくなったんじゃないのか」「見たことがない格好しているな」と言う、声が聞こえてくる。
奇異な視線、かけられる言葉に耐えられる事が出来なくなり、俺はひたすら歩きだす。
「・・―ナミ、リィオ・アーナミ!」と、肩を掴まれて制止される。俺が立ち止まったことを確認してから手を離し、俺の方に顔を向き合ってから。
「リィオ・アーナミ、こっちの方向は教会の方向ではないですよ!もう何なんですか、しばらく押し黙っていたと思ったら。突然に大声で叫びだし、教会ではないほうに歩き始めるし・・・」
「そうか・・・。リィオ・アーナミって、俺の事か・・・」
松岡さんの事を思い出していたから、自分が荒波 龍人としか思っていなかった。そう、考えている間もテンダさんは、何かを話している。
「リィオ・アーナミ・・・?そうですね、この世界に来る前はリィオ・アーナミではないのでしたよね。確か・・リィーュウ・・・」
「龍人。龍人 荒波です。」
「リィーュウ・・トォ、アァナミですか」
だから、龍人 荒波だって。いやぁっっ・・・・・・・違うな。
たぶん俺が今まで生きてきた世界、地球には・日本には還れる可能性は少ない。いや、ないのだろう。
俺はこの世界で、生きて行かなくてはいけない。・・・違うな、俺はこの世界で生き抜くと決めたんだ。
この異世界で生き抜いてやる!!
リィオ・・・、リィオ・アーナミ・・か。そうだな、この異世界で生き抜くと決めたんだ。
荒波 龍人ではなく、いまからリィオ・アーナミとして生きて行こう。
「俺は、・・・リィオ。リィオ・アーナミとして・・・・・生きて行く」
「テンダさん」そう、話しかけると。「何ですか、リィーュウトォ・アァナミ」と、テンダさんが返してくる。
「良いんです、その名前で呼ばなくても。リィオ・アーナミと呼んでください」
「良いんですか、リィオ・アーナミで?」
「俺は・・・・・」
俺は決意を込めて、力強く言い放つ。
「 リィオ・アーナミです!! 」




