15.聖女の告白
祝福を終えた法皇が席に戻ると、ララは静かに、しかし確固たる足取りで、演台の前に進み出た。彼女の頬は依然として青白いが、瞳の奥には、もはや慈愛ではなく、すべてを見透かす冷徹な輝きが宿っていた。
ララは、まず感謝の言葉を述べた。その声は、感動で震えているように聞こえたが、ヴォルフには、それが感情の制御による震えだと分かった。
「...私は今日、神の慈悲と、皆様の信仰によって、この上ない栄誉をいただきました。しかし、今こそ、私は皆様に、この救済の真実をお話しなければなりません。」
ララの声は、静かであったが、誰もが息を詰めて耳を澄ませた。
「私をこの道に追いやったのは、神ではありません。私をこの舞台に立たせたのは、悪魔でもありません。それは、皆様自身です。」
群衆の歓声が、一瞬、戸惑いのざわめきに変わった。
ララは続けた。その声には、徐々に冷たい皮肉と、抑圧された憎悪が混じり始める。
「1782年6月13日。この広場で、皆様は私の母、アンナ・ゲルディを処刑しました。皆様は、病と不作の責任を、一人の弱い女性に押し付け、熱狂的にその死に喝采を送りました。私は、その日、誓いました。母を魔女にした、皆様のその脆く、卑しい心を、永遠に罰してやると。」
広場は静寂に包まれた。何人かの信者が不安げに顔を見合わせたが、誰もララの言葉を遮ろうとしなかった。彼らはまだ、これが聖女の、何らかの深い懺悔だと信じようとしていた。




