表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/19

14.聖王祭の栄光

 グラールス大聖堂の前の広場は、歴史上かつてない熱狂に包まれていた。法皇の来訪、そして聖女ララの功績を讃える聖王祭。この閉鎖的な州にとって、それは神の祝福そのものと受け止められていた。民衆は、長引く病の不安を打ち消すかのように歓喜し、ララがもたらした「救済」を心から信じて疑わなかった。

ヴォルフ博士は、広場の一角で冷たい汗をかきながら立っていた。彼の懐には、ララの秘薬から検出された神経毒の分析結果が隠されている。その小さな紙片こそが、この聖なる祭りの裏側にある、恐るべき真実の証明であった。しかし、群衆の熱狂は、彼の理性の声が届く余地など微塵も残していなかった。彼は、チュディ医師の運命が、まさにこの狂信的な信仰によって決定づけられたことを知っていた。

祭壇の上、豪華な装飾と聖歌隊の厳かな声が響く中、法皇が玉座に着いた。続いて、白い法衣をまとったララが、聖職者たちに付き添われながら姿を現した。彼女はまだ完治しておらず、わずかに足元がおぼつかない。その姿は、無理を押して民衆のために出席した「真の殉教者」として、一層、人々の涙を誘った。

法皇は立ち上がり、ララの前に進み出た。彼は、彼女の功績、慈愛、そして信仰の深さを称賛する言葉を述べた。

そして、運命の瞬間が訪れた。

法皇は、聖なる油をララの額に塗り、厳かに宣言した。

「神の御名において、我はここに、汝、ララ・ゲルディを、その献身と奇跡の功績により、聖なる祝福を与える。汝こそ、この時代の真の聖女である。」

広場は、割れんばかりの歓声に包まれた。民衆はひざまずき、涙を流し、「聖女ララ!」と叫んだ。彼らの希望は、今、頂点に達した。彼らの信仰は、神の代理人によって、絶対的な真実として保証されたのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ