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【完結済】神風勇太はたった一人の勇者となる  作者: みおゆ
第四章・シロケシキノチ
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第21話・今だけ、限定協力プレイだ

「これは失敬。正(・)解(・)や(・)の(・)に(・)、(・)間(・)違(・)え(・)た(・)わ(・)」


 生暖かいものが口の端から垂れてきた。

 HPがどんどん削れていくのが目に見える。


「〈プレイヤー(アンタ)〉のトコの世界やと、こんなんひと突き食らったら即死らしいやん? 残念やなぁ、ここはゲームの世界やけん。アンタが強くなればなるほど、すぐに死ねずに長引いてしもうて」


 セイバーは、「やっぱり、世界を変えるには限度があるなぁ」と呟いた。


「お……お前は、誰なんだ」


 絞れるだけの力で、俺はそう問うた。


 セイバーは口を開こうとしたが、一斉に俺からセイバーを引き離そうと動き出したマキ、リアム、ケンに遮られ、その答えは聞けなかった。


 ケンはセイバーの脳を撃ち抜き、リアムは剣を引き抜き払い、セイバーの手から離れた俺をマキに渡した。マキはそんな俺に素早く〈ヒール〉をかけた。


 反射的に身体を強ばらせたが、不思議と痛みは感じなかった。ヒールの力があったからだろうか。回復が優先され、その間は痛みを感じるシステムは作動しなかったのかもしれない。


「早く! 早く元気になってなのです!」


 マキは涙を浮かべながら、必死に〈ヒール〉を唱えつづた。

 傷口はゆっくりと塞がっていくが、HPが満タンになるまでは程遠い。


 ――セイバーはたぶん、強い。俺の回復を待って、このままここにいたら、俺だけじゃなくみんなもやられてしまうかもしれない。


 一旦、ここはみんなには逃げてもらって、俺は 〈ロード〉してセーブ地点まで……。〈ロード〉が使えなければ、この剣で自決(戻る)しかない。


 そう思い、みんなに逃げるように言おうとしたが、直後、針を突き刺されたような感覚が胸に走り、言葉は引っ込んだ。痛みは一瞬で、その部分は内側からじんわり温かくなり、傷口はみるみると塞がっていく。

 何事かと思い顔を上げれば、ホースがこちらに銃を向けていた。


「たかが知れた回復量だと思うけど……」


 どうやらホースが〈ヒール弾〉を撃ち込んでくれたらしい。

 HPは微量だが、少しずつ回復しはじめている。ある程度の回復さえすれば、俺もまた戦えそうだ。


 ありがとう、と礼を口にしてみて気づく。周りを見れば、俺らの仲間だけでなく、ツリィやヨイ――グリムリーパーも、俺を守るようにして、セイバーの前に立ちはだかっていた。


「わたしらの敵を、こんな奴に倒されてはたまらんからな」


 ヨイは言った。


「よくわからないけれど、お前がわたしたちの敵だってことはよくわかった!」


 ツリィは怒りの声をぶつけた。


「あなたには勇者(彼)を殺させない。勇者を殺すのは――魔女の子(わたし)の役目よ」


 グリムリーパーはさっきまでのダメージがなかったかのような力強さでそう言った。


「どう……して……」


 ――いや、今はそんなことどうでもいい。


 みんな、逃げずに立ち向かっている。

 俺たちの目標は、ひとつに定まった。


 この展開を、逃してはならない。


「――今だけ、限定協力プレイだ」


 俺は言い、HPもだいぶ回復したところで立ち上がり、改めて剣を構えた。


「気を引き締めていけ、ユータ。コイツは、今までの敵とは違う」

「He is so a crazy guy!」

「勇者様! もうあの人は、〈プレイヤー〉なんかじゃないのです!」


 マキたちも、すでに腹は決まったようだ。


 セイバーは怠そうに剣を担ぎながら、俺らを見据えた。


「はぁ〜めんどくさ。こんなん初めて見たで」


 次に薄く開かれた彼の目は、右眼だけが赤く光っていた。


「しゃーない。せっかくやし、相手してやるわ」


 セイバーかも定かではない彼は、興味深そうに口角を吊り上げた。

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