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【完結済】神風勇太はたった一人の勇者となる  作者: みおゆ
第二章・バンゲッデトウ
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第20話・いくぞ、お前ら! 戦闘開始だ!

 木の枝の門を抜ければ、木々の隙間から夕日の光が零れる、幻想的な森の中という風景へ移り変わった。中心には、例の大木がそびえ立っている。


「――っ!!」


 そして、その大木の前には、三メートルほどはあるんじゃないかってくらいの、現実離れした巨漢が木に凭れて座っていた。両手で棍棒を抱えながら、スヤスヤと眠っている。言葉だけ聞くと、かわいらしい姿を想像するかもしれないが、実際はまったくそんなことはなく、むしろ恐怖を感じた。

 座っている状態でその大きさだ。立ち上がれば、これ以上に大きいだろう。まん丸に膨れた腹が、さらにその巨大さを強調していた。


「……ドンキーフールだ」


 ケンは呟いた。


「……んぁ」


 俺らが来たのを察したか、ドンキーフールはゆっくりと目を開いた。


「……姐サン?」


 ドンキーフールは呟き、俺らを見るや、驚いた様子で飛び起きた。


「アダダ! チガウ! 勇者ダ! 姐サンノ言ウトオリ、ホントニ来タンダ!!」


 ドンキーフールは慌てて立ち上がった。


「聞け、ドンキーフール! 俺らは、そこの木の実を取りに来たただけなんだ。素直に取らせてくれるなら、とりあえず今だけは倒さないでおいてやるぜ?」


 俺は言うと、ドンキーフールは「へへ」と不気味に笑った。


「木ノ実、ナイ。オデ、全部食ベダ。姐サン、全部食ベテイイ、言ッタ。ミンナ、助カラナイ、スルタメ!」


 ――けっ。ここまで想定済みってわけかよ。


 さっきから姐さん、姐さんって……もしかして、ハンドレディのことか?


「食べ……!? じゃあ、お姉ちゃんはどうやって助けるのよ!!」


 ソラちゃんは声を荒らげた。

 そんなソラちゃんにケンは言う。


「問題ない。奴を倒し、腹を裂いて木の実を回収すればいいのだ。消化されてようと、その成分を採取できればいいだろう?」

「Ew……結構エグいこと言う、ケン……」


 リアムは心底引いているようだった。


「何、オ喋リシテル! ボコボコ、サレタイカ!」


 ドンキーフールは怒り、持っていた棍棒を構えた。


「……こんなすぐにバトルが始まるなんて、最悪ね」


 ソラちゃんは呟いた。


「Just in caseで、作戦決めといてよかったな、ユータ!」


 リアムは俺の肩をポンと叩きながら言った。


「勇者様。わたしとムギちゃんとケンちゃんは後方から援助するのです。みんなもそれでいいですよね?」

「了解した」

「もちろんだニャ!」


 ケンとムギちゃんは頷いた。


「じゃ、残ったガッツリ攻撃型の俺たちは、ガンガン前方から攻めるとしようぜ」

「Roger!!」

「指図しないでほしいものね。わかったわ」


 リアムとソラちゃんも戦闘準備に入った。

 ソラちゃんだけは相変わらず塩対応だが、それも上等だぜ。


「倒サナキャ! 姐サンニイイトコロ、見セナクチャ!」


 巨人は大きく棍棒を振り上げた。

 俺は剣を抜き、巨人を見据えて叫んだ。


「いくぞ、お前ら! 戦闘開始だ!」

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