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【完結済】神風勇太はたった一人の勇者となる  作者: みおゆ
第二章・バンゲッデトウ
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第15話・ウチ、こう見えてお姉ちゃんなんだから

「Poisonか……ムギ、どっかで毒でも食べたのか?」

「たっ、食べるわけないニャ! ウチは毒をわざわざ食べるようなバカじゃないニャ!」


 リアムは「そーだよなー」と大きな声で笑った。


 まったく。リアムという奴はすぐに食べる発想に行くんだから……。

 毒といったら、普通はモンスターから受けるモノだろう。

 ……いや、でもその可能性もある……のか?


 前回、ムギちゃんとソラちゃんは同じ宿に泊まっていたわけだし、パジャマ姿だった二人はこれから外へ出かけるなんてこともしないだろう。つまり、モンスターから攻撃を受けるなんてこともない。


 ただし、魔女の子だけは別だ。魔王によって生み出されたアイツらは、俺らと同じように好きな場所へと行ける――ケンが、こうして俺らと冒険できているように。


「毒使い……なんて奴は、魔女の子の中にいたりするのか?」


 俺はそっとケンに耳打ちするも、ケンは首を横に振った。


「知らないな。しいて言えば、僕の魔法弾で毒状態にさせること、だな」


 これで実はケンがやっていたとしたら、とんだオチである。


 まあケンの口振りからそんなことはなさそうだし、それに、繰り返す中で過ごしてきた信頼もある――ケンは、そんなことなんてしない。


 魔女の子ではないとしたら、食べ物に毒が混入していてそれを食べた……とか?


 この村には多くの料理がある。俺たちはいくつかその料理を口にしているし、もちろん二人だってそうだろう。もしその中のどれかに毒を混ぜられていたとしたら……?


 すでに料理を食べてしまっている。この中に毒料理が入っていたとすれば、それを食べてしまった誰かが、今夜――。


「……俺、今から〈ロード〉して〈ノスティモ村〉に来た時まで戻るよ。毒の可能性、もしそれが事実だったなら、その毒が、料理に混入していたとしたら……もう俺らは食事のあとだ。今からじゃ間に合わない」

「で、でも! 毒を治す魔法とか……! ウチらは使えないんだけど……魔法じゃなくても、薬とかがあれば、ユータは戻る必要なんて、まだないんじゃないかニャ?」


 ムギちゃんは言った。確かにそうである。だが、そんな薬は見かけていないし、状態異常を治す魔法を所持している者は、この中にはいない。


 だったら、もういっそ〈ロード〉してやり直すほうが堅実だ。


「――ちょっと待ってほしいのです」


 俺がメニュー画面を開いた時、マキは声を上げた。


「わたし、ひとつ思うのですが、そもそもわたしたち〈プレイヤー〉は〈STATUS〉で状態異常を確認できるのです。前回毒死だとして……気づかないものなのですか?」


 マキはそんな疑問を口にした。


「もし、料理を食べて毒にかかってしまった……のなら、〈STATUS〉に異常が表示されるはずなのです。今までも、何か〈STATUS〉異常があれば、確認できていたはずなのです」


 言われてみれば、そのとおりだ。毒にかかったのならムギちゃん自身異常を感じて〈STATUS〉で確認できそうなもの。今までも、〈SLEEP〉や〈DEAD〉など、確認ができている。


 しかし、これが即死のパターンだったら別だ。そして、あの時のソラちゃんは狂乱状態。姉の死を目の前に冷静な判断を失っていた。おそらく〈STATUS〉の確認なんてしていない。

 魔王も、ソラちゃんの行動を『決めつけ』と言っていたし。


「冷静になれる状況じゃなかった。俺も前回、ムギちゃんの〈STATUS〉を確認しに行けたわけじゃない」

「一応、ウチの今の〈STATUS〉も見てみたけど、特に何もニャいよ? このとおり、元気いっぱいなのニャ!」

「……そうなのですか。それなら、今は話し合っていても埒があかないのです。今夜、何が起こるか見守るしかないのでしょうか……」


 行き詰まった空気感が漂う。

 その様子を見ていたムギちゃんは、それを打ち消すかのように、パン、と手を叩いた。


「もう! せっかくゲームの世界にいるのに、そんなに暗くなったらもったいニャいニャ! こうしてお友達が増えたんだもん! みんなで遊ぼうニャ!」


 ムギちゃんはみんなに笑いかけた。


「ウチのことは気にしないで! もしダメでも、ユータは何度でもやり直せるんでしょ?」

「……でも」

「大丈夫。ウチ、こう見えてお姉ちゃんなんだから」


 ――ムギちゃんって、強い子だな。


 俺も見習わなくちゃならねぇ。


「あ! そうだニャ! うっかりしてたけど、ウチ〈占い師〉なんだよね! 占い師の〈SKILL〉にはね、〈ミライヨチ〉っていうのがあるの。それで未来を占えば、これから起こることもお見通しニャ!」


 ムギちゃんは言って、水晶玉を取り出した。


 しかし、初めて出会った時、すでに占ってもらっている。占いの内容が変わるとは思えないが……。


 だが今は、前回と条件も変わってきているし、聞いてみるのもいいかもしれない。


 ムギちゃんはすぅ……と息を吸って、意識を水晶玉に集中させた。ムギちゃんの詠唱とともに、水晶玉に光が集まり出す。


 次の瞬間、ムギちゃんは目を開いた時にさっきまでとは雰囲気がまるで違っていた。

 その瞳は――青(・)い(・)瞳(・)か(・)ら(・)赤(・)い(・)瞳(・)へと、色が変わっていた。

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