第2話・ニャニャ! アンタもしかして、ウワサの勇者かニャ!?
〈バンゲッデトウ〉にひとつだけある大きな村、〈ノスティモ〉。
そこへ訪れると、美味しそうな匂いに包まれていた。
食の大陸とも呼ばれるこの島。村ももちろん例外ではなく、屋台で賑わい活気に満ちていた。
「Awesome! I want to stay here forever!!」
リアムはたくさん並ぶ料理を目にして、はしゃいでいた。
「なあなあ、ユータ! あれ美味しそうだぞ! 食べよう!」
「そうだな! せっかくモンスターを倒して手に入れた……それと、テオドロス王女からもらった小遣いが余ってるし!」
「わーいなのです! わたし、あのソフトクリームみたいなのが食べたいのです!」
俺たちはまずマキの食べたがっているソフトクリーム屋台へと並ぶことにした――ひとりを除いて、だが。
「おーい、ケン! お前は食べないかよ!」
俺が聞くと、ケンは小さなため息をついて答える。
「……ユータ。さっきまで何を話していたのか覚えているのか? 僕たちは一刻も早く魔女の子を――」
「あーはいはい。ちゃんとわかってるよ」
俺は言いながら、ソフトクリームをまとめて四つ購入した。
マキとリアムは嬉しそうに受け取り、ソフトクリームにかぶりついた。
残り二つを持って、屋台から少し離れた場所に立つケンの元へ行き、俺らの輪に馴染もうとせず、ただそこにいるケンに、ソフトクリームをひとつ差し出した。
「――でもさ、息抜きは必要だろ? せっかくゲームの世界に来たんだから、楽しまないとな! ……って、お前の場合はちょっと違うか。……お前の場合はそうだな……せっかく、この世界に生まれたならよ! ……か!」
ぐいっとソフトクリームをケンに押し出す。
ケンはソフトクリームと俺を交互に見やった。
「食えよ。うめぇぞ?」
ケンはそっとソフトクリームを手に取り、その先端をペロリと舐めた。
「……おいしい」
「だろ? ゲームの世界でこんな濃厚なソフトクリームが食べられるなんて思ってもみなかったぜ」
俺がそう言って笑いかけ、
「俺らはもう仲間なんだからさ。そんな端っこにばかりいるなよ、ケン」
と言うと、ケンは照れくさそうに目を逸らした。
向こうでリアムが、今度は〈コガシノキツブ〉というのを食べたいと大声で俺ら呼んでいる。
「コガシノ……? ああ、見た感じ、焼きとうもろこしみたいだな。よし、ケンも食べに行こうぜ」
俺はケンにそう言い、リアムとマキの元へ歩き出した。
「……まったく、呆れた勇者御一行様だ」
ケンはそう言いつつも、その口元は綻んでいた。
◇
屋台巡りを楽しみ、だいぶお腹も膨れた(感覚がある)俺たち。
「結局、うまいもん食べただけで、魔女の子に関する情報なんて得られなかったなー」
「残念無念なのです」
「オラは、オイシーもの、いっぱい食べられてよかった!」
「こういったことも旅には付き物だろう。とりあえず、村のギルドに行くことにしよう。あそこなら、多くの情報も得られるかもしれない」
俺らは、最後にケンが言ったことに従い、ギルドへと移動することにした。
ギルドに到着すると、その前にはちょうど二人の少女がいた。
どうやら二人とも、〈プレイヤー〉のようだ。
そのうちのひとりが、こちらに気づき振り向いた。
そして、俺を見て目を輝かせると、こう言うのだ。
「ニャニャ! アンタもしかして、ウワサの勇者かニャ!?」




