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【完結済】神風勇太はたった一人の勇者となる  作者: みおゆ
第一章・アンノウンダイチ
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第13話・今回勝てなかったとしても、次回絶対打開する!

「新しい武器ゲットなのです!」


 マキは新しく手に入れた杖を振りながらそう言った。実にかわいらしいのである。


 テオドロス王女から施しを受けた(お小遣いをもらった)俺らは、早速新しい武器や防具を買い揃えて装備した。


 俺も、ついにボロボロの衣装から、ちゃんとした衣装にチェンジした。着心地がさっきまでと段違いだ。


 リアムも今まで素手の攻撃だったのが、今回を機に、魔力を附随させることのできるメリケンサックを購入。物理攻撃力、魔法攻撃力がともにアップしたようである。


 早速武器を試そうと、俺らは城下町を出てすぐの場ところで、モンスターと戦っていた。

 マキもリアムも、武器が強くなったことで、より戦いやすくなったようだ。

 俺自身も、テオドロス王女からもらった剣の扱いにはだいぶ慣れてきた。もうこのあたりのモンスターなら、十分に対応できる。


「リアム、パーンチ!」


 最後に残っていたモンスターを倒したリアムは、新しい装備を見つめてご満悦だ。


「これ、サイコーってやつだ! 今すぐあのWolfにTryしたいところだな!」


 それはいい、早速そうしよう……と言いたいところだが……。


「狼男……魔女の子一人目、どう倒すかだよな」


 俺ら三人で戦いに挑んだにせよ、ハンドレディのときもまったく歯が立たなかったし、まだレベル差が埋まらないこの状態で、勝てる気がしない。

 戦闘スキル事態、狼男のほうが遥かに上だろうし……。


「ユータ! I got it!!」


 考えていると、リアムは閃き顔で挙手をしたので、俺は「はい、どーぞリアムくん」と促した。


「HerbsとかPotionとかを買えるだけ買ってひたすら粘るのはどうだ?! いつか、ゼッタイ勝てる!」


 回復薬を飲みつづけてひたすら粘る作戦か。

 ……うん。実にリアムらしい、脳筋作戦だな。


「アリかもしれないけど、俺は勘弁だぜ。使うタイミングを間違えたらゲームオーバーだし、それに、攻撃を受けるのだって痛いんだからよ……」


 毎度毎度、銃弾を打ち込まれるなんてごめんだ。それこそ、蜂の巣になっちまう。

 何より、めちゃくちゃ痛いわけだ。


「テオドロス王女は知恵を使えって言ってたけど……。弱いなりに戦う、か。マキはなんか思いついたりするか?」


 マキは悩みながらも、話し出す。


「前回は山火事を起こしてなんとか切り抜けましたが、もうその手は使えないのです……。それに、自然破壊はよくないし、なのです。……あ! 案が浮かんだわけじゃないのですが、わたし、ここでちょっと戦ってみるうちにレベルアップして、新しい呪文を覚えたのですよ!」


 新しい呪文か。

 それは気になる。俺とリアムは興味津々にマキを見た。


「いくのですよ! ……〈ミラーネ〉!」


 マキは呪文を唱えた――だが、特に何も起こらない。


「……Nothing happens……マキ、それはなんなんだ?」


 マキはニヤリと笑った。そして、


「……Nothing happens……マキ、それはなんなんだ?」


 と、リアムそっくりの声でオウム返しをした。

 リアムそっくりというか……もうリアムそのものである。

 こんなかわいい顔から、野太い声が出てくるなんて、一体何が起きているんだ!?


 驚く俺たちに、マキは杖をクルクルと振ると、こう説明する。


「これは、モノマネができる魔法なのですよ」


 もう、マキの声は戻っていた。


「モノマネ……今ので言うと、声帯模写か」

「そうなのです! 一度聞いたものは完璧にマネっこできちゃうのですよ! ちなみに、この呪文の上位互換に〈ミラネジャ〉っていう、姿まで変えられる魔法もあったはずなのです!」


 へー、そりゃあすごい。

 魔法が使えるって、本当に面白いな。


 ……だがしかし、だ。


「それが魔女の子を倒す打開策には……ならないよな」


 俺が苦笑い混じりに言うと、マキはシュンと項垂れた。



「――まさかこんなところにいるとはな、勇者よ」



 空気がピンと張りつめる――木々から現れたのは、あの狼男だった。


 魔女の子の、ひとり。


「僕の予想だと、城下町から出て、素直に来た道を戻ってくるのだろうと思っていたんだが……まさか、こんなところで道草をくっているとはな」


 コイツ出会わなかったところにいれば遭遇しないだろうと高を括っていたけど……そりゃあそうか、コイツだって俺らを探しに動いているよな。


「……ちょっと気分が変わったんだよ」


 俺は返答しながら、剣を構えた。

 マキとリアムも、臨戦態勢に入る。


「そこの魔法使いの娘、それと格闘家の男……貴様らには用はない。僕が仕留めるのは〈勇者〉ただ一人だけだ。下手に手を出すなよ」


 狼男は二人を一瞥しながら言った。


「断るのです! わたしたちは勇者様の仲間なのです!」

「Yes! テキゼントーボーなんてしない!」


 狼男は無言で睨みを利かせた。


「なら、しかたないな」


 言うや、狼男はホルダーから銃を取り出し、流れるような素早い動きで銃弾を放った。


 キン……と金属が響く音。


 俺はゆっくりと剣を下ろして、目の前の奴を睨んだ。


「さすが勇者というべきか。このくらいの銃弾は大したことないんだな」


 俺は鼻で笑い返す。


「ああ。今回ばかりは事前学習済みだしな」


 ――さて、ここからどうするか、だ。


〈SKILL〉は――使えそうだ。

 一回目と同様、最初の銃弾(挨拶)はまだ戦闘フェーズには入っていないってことか。


 だったら、また〈ロード〉で逃げるのもひとつの手だが……。


 ――あ! 俺、最後に〈セーブ〉したの、初めて城下町を出たところだ!


 王宮を出たあと、大金に喜ぶあまり〈セーブ〉するのを忘れていた……!

 ……まあ、どっちにしろコイツの戦闘スタイルを見なきゃ、対策の打ちようもないしな。


「マキ、リアム! わりぃけどちょっと踏ん張ってくれ。……今回勝てなかったとしても、次回絶対打開する!」

「もちろん、何回でも付き合うのです!」

「Roger! ユータらしいセリフだな」


 狼男は前回と同じように、今度は二丁の拳銃を持った。


「三対一とは、格好がつかないな」


 俺は答える。


「うるせぇ! 格好ばかり気にしてんじゃねぇよ!」


 ――どんな汚い手でもいい。勝てればいいんだ。


 啖呵を切ってしまった以上、もう、〈ロード〉で逃げることはできない。


 魔女の子一人目との、戦闘が始まった。

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