第5話・これが最後のゲームですから
――ああ、またか。
そんな諦めた気持ちで、わたしはとある不良三人組に絡まれていたのです。
幸いにもわたし自身を書き換えた〈プレイヤー〉のデータは残っていたのです。といっても、〈リセット〉される度に、レベル1からのスタートにはなるのですけれど。
ああ、こんなやつらさっさと倒したいところなのですけれど……。
でも、わたしは知っている。
――この冒険が、最後の冒険になるということを。
わたしはそろそろか、と思い、気持ちを切り替えたのです。
今からは、『プレイヤーのマキ』の時間なのです。
「嫌なのです! 行きたくないのです!」
「楽しいことするだけだからさ!」
「嫌っ……、誰か! 助けて!」
「声を上げるな!」
ひとりの男はわたしの顔を殴りつけたのです。
いつものことなのですが、本当にムカつく野郎なのですよ、女の子の顔を殴るなんて。
「おい、やめろ!」
だけれど、そんな怒りも一瞬で鎮静したのです。
彼の言葉を――勇者様の声を聞いて。
勇者様は、やっぱり最初ボコボコにやられてしまったのですが、そのあとも何度も何度も立ち上がって、わたしのことを守ろうと戦ってくれたのです。
やがて、ついに勇者様は打ち勝った。
わたしは勇者様の元へ駆け寄り、〈ヒール〉をかけてあげるのです。
やっぱり、〈見習い魔法使い〉で正解だったのです。こうやって、そばにいて支えてあげられる。
予定どおりというか、いつもどおりといいますか、わたしはここで勇者様と仲間になったのです。
どこへ進むのかもわからない今、わたしはさりげなく勇者様に言うのです。
「このエリアの中心地と言われる、〈紫苑街〉という街にギルドがあるらしいのです。そこでクエストとか受けられるみたいなのでいっしょに行きませんか?」
そこへ行けば、メアナさんが勇者様に呼びかけ、道をひとつ示すのです。
昔は、わたしにとってメアナさんは敵のような存在でしたが……今は違うのです。
勇者様を導き、絶対的なゲームオーバーの抜け穴を作ってくれた恩人ではあるのです。
そこはありがたく、利用させてもらうのですよ。
〈紫苑街〉 へ行くと、そこは混乱が巻き起こっていたのです。
――ごめんなさい、みなさん。
わたしは心の中で謝ります。
――この世界から出す気はないですけれど……必ず、この冒険で魔王を破壊して、ゲームのシステムだけは戻しますから。
魔王の護りは堅い。しかし、幾度と繰り返すうちに、プログラムへの侵入はできるようになっていたのです。
あとは魔王に気づかれないように、ゆっくりと確実に仕留めるだけ。
これが最後のゲームですから。
――みんなには犠牲となってもらって、一人の願いを叶える。
わたしの望む、物語のエンディングは、たったひとつ、これだけなのですよ。




