表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕が主人公じゃないの!?  作者: 阿兼 加門
第3章 聖王国脱出
84/129

04 襲撃者の天日干し


「……さい、……なさい、いい加減に起きなさい!」


 体が揺さぶられ、委員長に起こされる。

 まだ外は暗い、朝じゃないのにどうして起こすんだろ……。


「……どうしたの?」


「まずは起きて、これを見なさい!」


 ……これ? 委員長の指差すほうを見ると、6人の男達がロープで縛られている。口も布でしっかり縛ってある。


「夜這い?」


 地域によっては、こういうのがあるんだね。


「違うわよ! 昨日の尾行のこと忘れたの!?」


 尾行……そんなこともあったね。あれ? もしかして、襲撃終わったの?


「もしかしてこれって襲撃犯?」


「そうよ、予想通り来たのだけど……」


 起こしてくれてよかったのに……。

 言いよどんでいるけど、まさか襲撃者を好きになったとか?


「うちは恋愛オーケーだよ」


 色々大変だろうけど、ちゃんと祝福するからね。


「何の話をしてるのよ!」


 違ったようだ。実はお父さんだったとかかな?


「どうやら私達は、懸賞金がかけられているようなのよ……」


 へー指名手配だ。こっちにも懸賞金制度があったんだね。


「いくら? 300万ぐらい?」


「1億3000万よ!」


 1億3000万? 元の世界ならニュースになるぐらいの犯罪者だよね。この世界では王族に逆らうことが大罪なんだろうけど。


「おおー、なかなかうちのパーティーも箔がついてきたね!」


 何故かアレッサがおとなしい。こういうのは喜ぶと思ったのに、文化の違いかな?


「アレッサは懸賞金がかかったせいで落ち込んでいるのよ」


 アレッサを見ていた僕に、委員長がそっと教えてくれる。

 しまったな、文化の違いを考えずに喜んでしまった。アレッサ達を巻き込んだのは僕達なのに……。


「アレッサ、マノン、ごめん! 僕達のせいで2人を巻き込んでしまって……」


 もしも抜けると言うのなら、甘んじて受け入れるべきだろう。


「それは構わない、構わないのだが……」


 うん? どうしたんだろう? 他にも何か問題があったのかな?

 委員長を見ると、委員長も不思議そうにしている。


「…………50万」


 アレッサがボソッと何かを呟いた。


「うん? なんて言ったの?」


「50万。……我の懸賞金は50万だそうだ」


 ??? どういうこと? 1億3000万の内訳でもあるの?


「1億3000万がニューロードの懸賞金って訳ではないの?」


「違う! 1億3000万はトーカの懸賞金額だ! 我の懸賞金額は50万なのだよ!」


 ……50万が懸賞金額? 50万ならわざわざ懸賞金なんてかけないよね? つまり僕達の……。


「アレッサもマノンも僕達のパーティーメンバーだからかけられただけだし、気にする必要ないよ」


「……マノンの懸賞金は500万なんだけど」


 ………誰だよ、この懸賞金をかけたやつは……、ちょっと気まずくなるだろ!


「きっとこの懸賞金の金額を決めた人は、アレッサの能力の高さを理解していないんだろね」


 アレッサがピクリと反応する。ここでアレッサの良いところを言って、アレッサを励まさないと!


「アレッサの魔法の命中精度の高さはさすがだと思うよ。僕にはない才能だよ」


 褒められて、アレッサが少し嬉しそうな顔をする。


「アレッサは作戦や指揮もできるし、私には真似できないです!」


 マノン、ナイスフォロー! ちょっとニヤニヤし始めたよ。最後は委員長、頼んだよ!


「懸賞金額なんて、私達が貰える訳じゃないから気にしなくていいわよ」


 委員長ー!! ここはそういうのじゃないから……。

 アレッサがまた落ち込みモードに戻った……。


「委員長……」

「カレン……」


 僕とマノンの呆れた目攻撃を、委員長に食らわす。


「え? え? 私? ……もしかして、やらかしたのかしら?」


「「はぁー」」


 落ち込むアレッサ、戸惑う委員長、ため息つく2人、そしてそれを見ている縛られた襲撃者達。カオスだねーー。


「そろそろ本題に入ろうか」


 話が全く進まないし。


「え? ほ、本題?」


 委員長はそろそろ落ち着こうか……。


「そそ、僕を起こしたのは、これからどうするか話し合うためじゃないの?」


「そうだったわね、この襲ってきた襲撃者達の処遇をどうするか悩んでいたのよ」


 僕達に懸賞金がかけられている以上、この人達は正しい行いをしていることになる訳だね。


「でも、それ相応の覚悟を決めてここに来たわけだから、ちゃんとそれに応えてあげないといけないよね」


 そう言ってインベントリからナイフを出して、襲撃者達に近づいていく。


「んんーー!」


 襲撃者達は口を布で縛ってあるため、「んーんー」と必死に騒いでる。

 五月蝿いので、ナイフのお尻の部分で襲撃者達のこめかみをぶん殴る。6人全員殴り気絶させると、ロープを解き服を脱がしていく。


「何をしているのかしら?」


「脱がせて裸にしているんだよ。僕達に手を出す恐ろしさをみんなに知らしめてやろうと思ってね」


「みんなに? 外にでも置いておくのかしら」


 さすが委員長、分かってる。

 裸にしてしまうと、手首をロープで縛り付ける。そして、2人ずつ、門の側まで運び出していく。全員を運ぶと、2メートルほどの高さの位置に物干し竿状の障壁を展開し、そこに襲撃者達の腕を通していく。最後に体を正面に向けて体を動かせないように障壁を張ってやれば完成だ。もちろん障壁は無色透明にしてある。


「針を使っていない標本のようね」


 標本って、例えが酷いよ……。ちゃんと生きてるし。


「勝手に殺しちゃ駄目だよ。僕は平和主義なんだから!」


 トンボだってカエルだってミツバチだってみんな生きているんだよ。


「これじゃあ社会的に死んでしまうわよ……。私なら今日にも、この街から出て行くわね」


 この国を出るかもしれないね。また遭遇する可能性もあるのかな。


「でもこれで、僕達に手を出す人も少しは減ると思うよ」


「無くなりはしないのね……」


 人は欲深いからね。お金に釣られる馬鹿はどこの世界でもいなくなったりしないものだよ。


「さ、寝なおそう。次は昨日のストーカー達がまた来るかもしれないけど」


「そうよね、彼らは間抜けな人達ではないでしょうからね」


 間抜け? 部屋でも間違えたのだろうか?



 ◇



 朝になりいつものように委員長にたたき起こされて、食堂で朝食をとると、馬車に乗り込む。

 街を出るため、門の近くを通ると、人が集まっている場所がある。昨夜、僕が襲撃者を干した場所だ。


「天日干しだね」


「そんな綺麗な言葉を使わないでちょうだい。あれはただのさらし者よ」


 そんな彼らが僕達に気がつくと必死に何かを言っているが聞こえない。僕は彼らに手を振って別れを告げる。

 絶望的な顔をしているが、僕達と一緒にスフランに行きたかったのだろうか?


「あれはそのままにしておくのですか?」


 さすがにそれは無理だ。


「僕が障壁から一定の距離を離れると、勝手に解除されるからね」


 ただその範囲がかなり広くなっていて、僕も把握しきれていない。展開数は変わらず3個だけど、大きさは街1つぐらいなら包み込めるんじゃないかな?


 街の門から出ると、北へ向けて走り出す。


「リノートへ向けてレッツゴー」


「「「おー!」」」


いつもお読み頂きありがとうございます。


よろしければ『ブックマーク』『評価』をよろしくお願いいたします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ