04 再会
色々あったけど無事薬草もそれなりに取れたのでギルドに帰還した。
ギルドの中に入ろうとすると、思いがけないセルフが……。
「おまえみたいなひよっこが登録するんじゃねぇ! 冒険者が安く見られるじゃねえか!」
まさか絡まれイベントが発生しているではないか!?
すぐに中に入ると見覚えのある顔がいた、秋人だ。すぐ側には天沢もいる。
え? なぜ僕は絡まれないのにこいつは絡まれているんだ? 鎧だって秋人は騎士の鎧を着ているのに絡まれるんだ? 何故だ!?
僕が入ると絡んでいたスキンヘッドが「え、いや、これは、その……」と動揺しながらぶつくさ言っている。
「初宮? どうしてここにいるんだ?」
「初宮さん!」
僕と秋人が知り合いだと知るとスキンヘッドの顔が真っ青になり「終わった……」と呟いている。
「そんなことよりこれはどういうこと?」
僕が秋人とスキンヘッドの男を交互に見ながら間に立つ。
「俺が登録をしようとするとこの男が絡んできて、登録するなって言われたんだ」
僕だと絡まれないのに秋人だと絡まれる。これがモブと主人公との違いか……。
秋人を指差す!
「秋人、お前が悪い!」
「「ええー?」」
秋人とスキンヘッドが一緒に驚いている。仲いいな。
「おい、何で俺が悪いんだよ!」
秋人が愚かにも抗議してくる。
「分かってないな秋人、これは万人の意見だ!」
「いやいや、そんな訳ないだろ。俺はただ冒険者の登録をしようとしただけだぞ」
そんなことは分かっている。だから許せないんだろ。
「じゃあここにいるみんなに意見を聞こう。みんな秋人とこの人、どっちが悪い?」
ギルドにいる冒険者達に笑顔で問いかける。
「そりゃアキトが悪い」
「アキト、お前が悪いぜ」
「アキトに決まってるじゃないか」
「悪いのは全部アキトだ」
「いや、みんなお前に脅されているだけだろ!」
別に脅してはいない、勝手に怖がられているだけだし。
「ほら、馬鹿なことしてないで、さっさと薬草を納品しなさいよ!」
「あ、委員長もいたんだな……」
「あら、私は影が薄いと言いたいのかしら?」
委員長の剣呑な雰囲気に、周囲の温度が下がり始める。
「おっと納品、納品」
僕はさっさと安全圏に逃げていよ。後はよろしく。
「いや、そういうのじゃなくて、初宮が原因で……その」
「桜堂さん昨日ぶりです。まさか2人が王都にきているなんて驚きました」
天沢が出てきて空気が和み始める。
「あの後すぐに王都に跳んだのよ、2人の時間を作ってあげようとしてだそうよ」
「そ、そうだったんですね、ありがとうございます。ところで後ろにいる人達は?」
天沢の視線が委員長の後ろにいるアレッサとマノンに向く。
「新メンバーよ、こっちに来てすぐ奴隷を買ったの」
「我が名はアレッサ。混沌より生まれし最古の魔術師の生まれ変わりよ」
天沢と秋人がそれを聞き苦笑いする。
そんな設定があったんだ。
「マノンです! 弓が得意です!」
マノン可愛い。2人もマノンを見て笑顔になる。
「私は空音、空音天沢よ。2人とは一緒にパーティー組んでいたの」
「俺は秋人、秋人黒氏だ。俺はパーティーは組んでないけど友達かな」
「ふふん、なかなか面白いメンバーでしょ」
薬草を納品したので、会話に参加する。
「トーカ様、薬草の納品の確認が終わりました、それでトーカ様方のパーティー名はどうなさいますか?」
「パーティー名?」
「はい、パーティーを組む以上名前がありませんと呼び方に困りますので」
『断罪の剣』みたいなやつか、なんでもいいよね。
「じゃあ『断罪の槍』で」
「ちょっと待ちなさい、今適当に決めたでしょ!」
あれ? 駄目だった?
「我のお勧めの『闇に漂う者』というのはどうだろうか?」
それはただのアンデッドだよね。
「私は『大盛りランチ』がいいです!」
それは可愛い。
「それで、委員長のお勧めは?」
「や、闇鍋……」
「……それはアレッサとマノンの意見を合わせただけだから」
委員長はネーミングセンスがない人なのか。
「い、言われてみればそうね……」
あ、落ち込んだ。
「いっそのこと合わせて『断罪の闇鍋』にしようか」
「それはもうただの罰ゲームじゃない!」
名前なんて覚えやすければなんでもいいと思うけどね。
「じゃあ新しい道で『ニューロード』とかはどう?」
「まともじゃない」
適当に言っただけなんだけどね。
「ふむ、新しい道か、悪くはないな」
「私もそれでいいです!」
受付嬢へ振り向き決まった名前を伝える。
「じゃあ僕達のパーティー名は『ニューロード』でよろしく」
「かしこまりました。パーティー名は『ニューロード』、メンバーはトーカ様、カレン様、アレッサ様、マノン様の4人でよろしかったですか?」
「うん、それで問題ないよ」
「承りました」
これでしばらくは王都のギルドに予定はなくなったね。
「秋人たちはこの後どうするの?」
「俺達は明日の朝、王宮に行こうと思う。そこでみんなと話し合ってどうするか決める」
「そっか、じゃあ2人とも頑張りなよ」
「このやりとり昨日もやったよな、次に王宮にいても驚かないからな!」
王宮には興味がないから行くつもりはない。
「このあとラビリポルタに行くからしばらくは会えないかな。でもそろそろ王宮のクラスメイトがラビリポルタに行くかもしれないけど」
「そうよね、王宮に戻ったときに1ヵ月後に迷宮に行くという話しが出ていたわね」
「そうなのか、もしかすると迷宮で会えるかもしれないのか」
「いや、迷宮には長居するつもりはないよ。その後、国外に出るかな」
同じ迷宮に何度も潜っても面白くないからね。
あくまで今回の迷宮は新メンバーの経験を積むためでしかないから。
「そっか、じゃあまたな」
「4人とも気をつけてね」
「ばいばーい」
「あなた達も気をつけてね」
「ではまた会おう」
「さよならー!」
ギルドを出て、王都の入口に向かい歩いていく。
「あの? 今からラビリポルタに行くのですか?」
マノンが不思議そうな顔で聞いてくる。
「もちろん、今夜はラビリポルタで泊まるつもりだからね」
「ん? 何を言っておる。もうすぐ夜だぞ、着く前に日が暮れるわ!」
普通に行けばそうなるよね。
「大丈夫よ、ちゃんと着くから」
入口の門をくぐりながら、どこか適当な場所を探す。幸いこんな時間だから人は少ない。
「このあたりでいいか」
「そうね」
インベントリからコアつきの杖を取り出す。
「変な形の杖を出して何をするのだ?」
「テレポート!」
◇
ラビリポルタの入口近くに跳んだ。
「それじゃあ宿に行くよ」
杖をインベントリに放り込み、ラビリポルタに向かって歩いていく。
アレッサとマノンが周りをキョロキョロ見回す。
「あれ? 王都じゃないです!」
「テテテ、テレポート!? そ、そんな高度な魔法を簡単に使われたのですか!?」
お、アレッサが素になった。
高度と言うより魔力をめちゃくちゃ使うから制御も難しくなるだけなんだよね。僕もあの杖なしで使うのは10メートルが限界だ。
「私達が良く使う宿は、料理の量が多くてマノンにはお勧めよ」
冒険者達が良く使うから、どの料理も量が多くて食べきれないんだよね。
「楽しみです!」
「ちょっ、ちょっと聞いてよーー!」
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