第十八話 午後の探索
第十八話 午後の探索
真は食事の後、自分に必要なものについて考えていた。
誰もない。
そんな環境において今までの通りだったら、真自身が欲かったものをいろいろ考えるだろうが、残念ながら真が経験した今は前提がちょっとちがう。
真が外に出かけてみたら「誰もいない」という環境は思ったより、不便な環境だった。
だから自分が「ほしい」ものではなく「必要」なものを考える必要があった。
しかも、今すぐ必要なもの。
そう長く考えず、すぐに真の頭の中に浮かべるものは「道具」と「野菜」だった。
道具は出かけるたびに感じたけど、建物の閉められている扉とかが多い。
駅の商店街やスーパーマーケットの件から学んだけど、これからも必ずどこかに開いている扉が建物にあるとは限らない。
運がよく、スーパーの入り口が見つからなかったら、駅の商店街の書店には入ることができなかったんだろう。
まあ、駅の商店街には結果的にはガラスのドアを壊してから入ったけど…。
それにスーパーの冷蔵庫から食料を出して運ぶにも鮮度のためにクーラーボックスとかがあればいいなと思ったし、そのほかにもいろんな道具は必要だ。
これから一人だから。
そして「野菜」だ。
今までは適当にコンビニのお弁当やおにぎりで食事を済ませていた。
多分、しばらくは忙しくなりそうだから料理する時間がないし、コンビニに残されている食べものだって誰も食べないものは賞味期限が切れた後からはゴミになるだけだから、しばらくの間はコンビニのお弁当やおにぎりを食べ続けるだろう。
そのほかにもパンとかも…。
その期間は長くても2-3週くらいかな。もっと短いかも…。
でも、コンビニのものばっかり食べていると飽きるのは後にしても、栄養的にどうかなって思ってしまう。
これから動くことが多いからカロリーは気にしないけど、栄養ね。ビタミンとか…。
実際、そんな理由で異変が起こる前にも何日に2-3回くらいは自分で料理をした食事をとっていたし、そのときにはコンビニのお弁当とかでは見れないものを食べた。コンビニの弁当だって、買っておいた野菜や果物などと一緒に食べていたんだ。
真が通ったマンションの前のコンビニは果物とか野菜サラダとかの品揃いが少なかった。
ないわけでもないけど、すみっこに品棚はあったがいつも空っぽ気味だった。多分、出勤時間代とかで売れ切れちゃったかも…。
または売れないからそんなに店に入れないとか、コンビニの品揃いは場所によるから…。
そんなに活動的に動いていなかった体をいきなり動かせたせいかも知れないけど、妙に体が疲れるしだるい。
そういうわけで、道具の次は野菜が必要だと真は思ったかも…。
地図を見れば、駅前のスーパーマーケット以外にもスーパーはあった。
もちろん距離はもっと遠いけど、西の方に二店。
駅前にあるスーパーは自転車を手に入れた今にはそんなに時間がかからない距離になっていた。
でも、この西にある二店のスーパーは単純に距離を測っでも自転車で3-40分はかかる距離だった。
あくまで、地図の場所を見て地図の上で距離を比べただけに過ぎないけど…。
場合によってもっとかかるかも知れない。
今の時間から駅前のスーパーのように入り口を探すにも時間がかかるはずだから、戻ってくるまでの時間が合わないかも知れない。
できれば、日が落ちるまでには帰りたいんだ。
栄養的な面の問題もすぐに体のどこかが悪くなるわけでもないから、今はほかのスーパーよりは道具のことに集中しよう。
その代わり、どうしても栄養の方が気になるのであれば、ほかのコンビニとかで果物やせめて野菜があればとってこうと真は思った。
そして「道具」…。
西のスーパーへ行くのを躊躇うのは時間の問題以外にも道具の問題もあった。
駅に行ってから分かったことだが、誰一人いないということは思ったより結構大きい環境変化だった。
自分が自由に何をしてもいいのは言葉は人聞きにはいいかも知れない。
でも、実際には今まで普通に「人によって」開けた店のドアも自分で開けないといけない。
しかも、鍵もない状況で…。
それが結構大変だったのをやってみて真はわかった。
建物と店はいつものようにそのままの場所にある。
でも、その建物に入るための入り口はその建物のほとんどがカギがかかって閉じられている。
いつも駅前のスーパーのように都合よく入り口から入られるとは限らないのだ。
鍵がかかっているドアを開けるためにもどんな道具であろうとも真には道具が必要だった。
今持っているドライバーやハンマではやはりだめなわけではないけど、時間の浪費が大きい。
それにランタンも手に入れたけど、ランタンのバッテリーももっと欲しいし、できれば暗い空間になるときにはもっと光が必要だ。だからランタンももっと欲しい。
そんな理由で真は西にあるスーパーよりは先に道具を手に入れようと決まり、ホームセンターへ行くことを決めた。
真のマンションから一番近くにあるホームセンターは東北に自転車で20-25分くらいの距離にあった。
ちなみにマンションからホームセンターの中に駅があって経由するようになる。
ホームセンターは駅からじゃ10分くらいかな…。
距離的にも動線もホームセンターから駅前のスーパーによるのができるので、帰り道に手が余ったらスーパーにもう一度よってみようと真は思った。
スマートフォンにホームセンターの場所を入れたあと、いつもの準備物をリュックに入れ、自転車に乗ってホームセンターへ向かった。
午後になっても町の風景はそんなに変わらない。
慣れてきた自転車で道を走りながら真はあることに疑問を持った。
「本当に人だけが消えてしまった」だろうかと…。
彼が住んでいる町は埋め立て地の上に建てられた計画都市だった。
都市と言われるよりは希望は小さいけど…。
町は最初から計画的に区画を決め、道を作り、道の周りには木がちゃんと植えていた。
海の近くにあることもあってたくさんの木が植えられてはいないが…。
幸いにも今まではいろんなことがあって、真が気が回っていなかっただけで、気付いたら道に植えられている木や建物の前の花壇とかには枯れているものもあるけど、確かな緑が真の目に見えていた。
枯れているのは2月だから冬に冬眠する種類とかだろう。
まさか、緑の方が偽物ではないだろうね。
すべての木を偽物で飾る方が見るにはいいから、わざと枯れた木と一緒に偽物の木を植えることはありえないだろうし。
そうだとしたら木は大丈夫だろうな。消えてない。
それじゃ、人だけかな…。それとも動物類だけ…。
そんな考えや周りの木を見ながら自転車を走っていると、駅前のスーパーを過ぎてホームセンターへ着いた。
着いたよりは見えて来たというのが正しい表現だろう。
埋め立て地でできている町の海辺にあったホームセンターは思ったよりも相当の希望で広かった。
特に駐車場の広さがすごかった。
こちら辺には高い建物もないし、住宅地もない空き地も結構あった。
海辺だから、台風の時に風当たりが強いからかなと真は思った。
一階建てのホームセンターの建物と広い駐車場は真の胸くらいの高さのフェンスで守られていて、入り口までの20メートルの表示が矢印が書かれていた。
ショットカットでそのままフェンスを越えて行こうかと真は思ったが、自転車に荷物を載せるためにもそのまま入り口まで行った。
入り口にはここのホームセンターもやはり閉店の時のままだったのか、可動式のフェンスで閉じられていた。
でも、スーパーの時のように従業員用なのか、人が通られるくらいの入り口が開いていて、警備員室だと思われる交番みたいな建物がフェンスの隣にあった。
ここまで来てフェンスを越える無駄な働きをしなくても済むようだったので真はほっとした。
真は入り口の前に自転車を止めて歩いて入り口から入り、警備員室の扉を開くとあっさりと開けた。
ホームセンターの警備員室はスーパーの警備員室よりは広くなかった。
二人くらいが座ればちょうどいいくらいの広さで、ここも引き出し付きの机とキャビネットとかがあった。
ある意味、警備員室の定番家具かも…。
ホームセンターの敷地が広い割に警備員室がそんなに広くないのは警備員自体がそんなになかったからかも知れない。駐車場が広いだけだし…。
机の引き出しを調べたらここにもランタンとバッテリーがあった。
ランタンがもっと必要だと思ったところだったのでちょうどいい。
真はランタンとバッテリーをリュックに入れた。
引き出しにはそのほかには特に目に入るものはなかった。
勤務日誌とかの書類くらい。
机の上にも特になかったと思ったが、窓辺の近くにスイッチがいくつかあった。
ラベルを読んでみると、フェンス、シャッター、電源だった。
シャッターのスイッチがあってよかった。
本屋のときのように入り口を取り壊しながら入らなくてもいいから…。
真はすべてのスイッチをオンにした。
「jagajagajagajaga」と音を出しながら入り口のかどうしきフェンスが動き始めた。
フェンスの音で最初は気付いていなかったが、向こうに見えるホームセンターのシャッターも音を出しながら上に上がって行く。
いつもたくさんの方が読んでいただいてありがとうございます。
出張の際にノートに書いた部分です。
まだまだゆっくりペースでいきます。
実はRLの仕事に追われて今の時間にやっと書けます。
OTL 涙
今後もよろしくお願いします。




