第十五話 地図
第十五話 地図
100円ショップの自動ドアをカートで壊そうとした時から、真はある程度覚悟を決めていた。
実際には普通なら犯罪に当たる行為だけど、今なら仕方がないと…。
でも、実際にやらかしてみたら、今までの常識では犯罪行為を犯したことに対して、真は内心では自分の行動力に驚いていた。
まあ、もちろん今は真を責める人や捕まえに来るお巡りさんもいない。
むしろお巡りさんが来たら両手を挙げて歓迎してあげたい気分だ。
とにかく、やっちゃったことだから、後悔せずに前に進もう。
これから、生きた人と出会えるかどうかわからないけど、これからは人と出会ったとき以外には品物の手に入れるのはこのように「お金を支払わずに」いただくことにした。
もともと、お金の概念は人と人の物々交換の流れで生まれたものなので、誰かと会ってからこそお金の価値がある。
今みたいに誰もいないと、お金を支払おうとしても何の意味もない。
一階の銀行もあのざまだったし。
お金の価値があるのかも疑問だが…。
100円ショップは最近はすべての品の価格が「100円」になっているわけではない。
もっと高い価格の品も結構ある。
でも、それでもすごく低価格で品揃いも充実している。
ある意味ではこれから三階とその上の階を上がって物を探すより、ここで用事を済ませるのができるのであればここで解決しようと、真は思った。
それに、そのときには真は知らなかったが、真のその考えは正しかった。
この100円ショップは思ったより「実より量」って感じで量的に品揃いがすごくて色んなものが揃っていた。
ものを探すのも大変だった。
最初に真の目に入ったのは包丁とフライパンだった。
さっき、マネキンのことで驚いてマンションから持って来た包丁は落としたままだった。
包丁を落とした後、まだその場に置いて来たままで持ってきてない。
自動ドアを壊すためにカートを押す前にちょっと探してみたが、見つからなかった。
それに実際にマネキンだったけど、目の前に何かが現れた時に包丁を真がうまく武器として使うのは無理だとその時に分かったんだ。
だから、無理して包丁を探そうとしなかった。
でも、家にある包丁はそれしかない。
気付くのが遅かったが、考えて見たらマンションに帰って料理をすることになると、やはり包丁は必要だった。
そこで目の前にちょうど包丁が見えたので手にもった。
「真は包丁を手に入れた!」
みたいなRPG的なことを真はしゃべりながら包丁を見る。
プラスチックのケース入りの包丁は20㎝くらいの長さの刃をもっていた。刃の幅は前に使っていた包丁より細身だった。ハンドルもプラスチックでも握ってみたら悪くない。
マンションから持って来たものよりは鋭くないかも知れないが、ここはこれで勘弁しよう。
ケース入りなのは怪我するのが心配で、雑誌に挟んで来たことからするとこちらはちょっと心強い。
そして、フライパン。
直径40㎝もっとだろうか、黒い金属製のフライパンはハンドルはコルクみたいなのが人手で持ってもちょうどバランスがあるものだった。
軽く、片手でスウィングしてみた。
「問題ないな」
実はフライパンは包丁の代わりに身を守るための武器にするために選んだものだ。
野球バットとかがあればもっとよかったかも知れないけど、ないものは仕方がない。
フライパンでも重量感もあって十分に役に立つだろう。
ちなみに包丁は300円、フライパンは500円だった。
100円ショップなのに…。
それからも真は次の品棚をランタンで映しながらどんなものがあるのかをちゃんと見た。
そして、真が次に選んだものは丸く丸めてある、拳くらいの大きさのものだった。
品物のには「リュックサック」と書かれていた。
ケース入りとはいえ、包丁を手に持っているのは不安なこともあるし、ランタンとフライパンまでにもっていると、やはり歩くときに両手の自由を奪われて厳しい。
それに、地図を手に入れた後、一階のスーパーマーケットから食材も持って帰ろうと思ったからどうぜ鞄は必要だった。
まあ、真も品棚でリュックを見るまでは気がつかなかったけど…。
拳くらいのサイズに丸めて、ビニルとかで包まれていたリュックサックにはここにも300円という価格がついていた。
包まれているビニルをはがすと、丸めていたリュックサックがだんだん膨らむようになった。
明るい緑色のリュックサックだった。
結構軽い。ナイロン製とかかも…。
素材が何なのかは素人の真にははっきりはしないけど、ちょっと薄い気もするので、雨とかが降ると中に入っているものが濡れるかも知れない。
今日は天気が良かったから、地図を手に入れた後でも大丈夫だろうけど…。
リュックサックの肩の紐の長さを調節して背負って見た。
特に問題はなさそうだ。
リュックサックに包丁を入れて、片手にはフライパン、ほかの片手にはランタンをもったまま続けてほかの品棚をランタンで映してものを探す。
そして、真の目がいくつかの隣にあった品棚に止まった。
「工具」
棚のちょっと下の方にはハンマがあった。
大きいサイズではなく2-30㎝くらいの長さのものだが、ゴム製、木になっているもの、そして普通に思う金属製のハンマもあった。
この金属製のハンマならば、商店街の自動ドアを「確かに」壊せると真は確信した。
「確実」にガラスの自動ドアを壊す手段を手に入れので、真はこれ以上このくらい空間の中に長居したくなかった。
なので、ハンマをリュックに入れて立ちあがる。
今まで来た道を戻って帰ることだから商店街の自動ドア前までの帰り道はそんなに難しいことはなかった。
商店街の自動ドア前までに着いて、真は100円ショップの自動ドアを壊すときのように、自動ドアからちょっと離れたところにランタンを置く。
暗い廊下の中でランタンがちゃんと自動ドアを映すよう、ちょっと斜めにするのを忘れずに…。
リュックとフライパンもランタンの隣へ置いといた。
リュックを背負ったままでハンマを振るには体のバランス的にどうかと思ったからだ。
鞄からハンマだけを出して手に持ったまま真は商店街の自動ドアの前に立つ。
真は深呼吸をして「せーーの」と、思いっきり両手で握ったハンマを自動ドアに向けて振った。
「カチャン」と軽く高い音がした。
ガラスのドアはちょっとだけひび割れはしたもののそのままだった。
100円ショップのときのカートとは違い、ハンマではぶつかるところが一点に集中していたからかも知れない。
また、ここのガラスの自動ドアがもっと厚くて丈夫だとか。
でも、ひび割れしたことは壊せる可能性があるってことだね。
真はもう一度、今のひび割れたところの傍のところに向けてもう一度思いっきりハンマを振った。
今度こと自動ドアのガラスのところが壊される。
でも、ちょっと尖っているところも残ったので、入るときに傷つけないようにハンマで叩いて片付けた。
真はランタンを置いたところに戻って、リュックにハンマを入れ、ランタンとフライパンを手に持って商店街の中へ入る。
商店街は駅が上にある建物の構造のゆえに一直線の縦方になっていた。
真ん中くらいに入り口やトイレ、二階からの階段の入り口などが、あるけど店のすべては一直線の廊下ですべてが通られる。
店のほとんどは食べ物関係の店が多く、その外には花屋、レコード店とか本屋とかがあった。
本当はその外にもいろんな店があるかも知れないが、真が覚えている範囲ではそうだった。
本屋は自動ドアから右に曲がってからすぐだった。
商店街の電源スイッチはまだ見つからなかったから、廊下は暗いままだ。
もっと奥に行けばこの廊下を含む、商店街の電源があるかも知れない。
真は少し悩んだが、今この商店街で必要なのは本屋の地図しなないから電源のことはあきらめ、本屋にまっすぐ行くことにした。
本屋の入り口も自動ドアだった。
でも、電源が入っていないから動かなかった。
詳しく説明すと、自動ドアの下のフレームのところに鍵穴みたいなのもあった。
真が思うにはその鍵穴は本屋の従業員とかがカギで開くためのもので、商店街の電源が戻ってもカギがなければこの自動ドアは今までと違って開かないだろうと思った。
人が慣れるということは恐ろしいことだ。
真はそう判断したらすぐに商店街の自動ドアよりも簡単にハンマをリュックから出して何の迷いもなく、本屋のガラスのドアを壊した。
チャンと癖になるほど、愉快な音がした。
真はドアを壊すことに対して罪意識がないわけざない。
ドアを壊すたびに心のとこかがちょっと重い。
多分、犯罪行為という常識からだろう。
でも、真は今の状況が状況だから今までの法律や常識がそのまま100%通用するとは思うくらい愚かな者でもなかったんだ。
そう思ったからこそ、ちょっとだけ気軽くこんな行為ができたかも知れない。
真は本屋の中に入った。
本屋の内部は入り口のレジやその傍の文房具くらい以外はすべてが本棚だった。
幸いにも天井に全体的にどんな種類の本があるのかカテゴリー表示があった。
今真が必要なのは地図…。そのほかに必要な本は特に思い出せない。
天井のカテゴリー表示のなかで「旅行」と書いてあるところへ行って見た。
国内、海外の旅行地や人気スポットなどが載せられたガイドブックとかがずらりと並んでいた。
行ったことがない国内に行くためならばこんな本も悪くないかもと真は本の表紙を見ながら思った。
でも、いまの彼には彼が住んでいるところの詳しい地図が必要だった。
もっと広い場所だとしても東京や関東くらいの広さくらいの地図。
だから、こんなガイドブックは後にしようと…。
しばらくして、本棚の底に近い下の方で地図を見つけた。
日本全国地図、道路交通地図、市の地図などなど…。
全国地図をひらりと見た感じではそんなにおおざっぱでも、詳しくもないくらいの地図だらけだ。
もっと詳しく書かれた地図は仕方なくもっと大きい本屋で探すしかない。
本当に偶然探した市の地図は正しく言えば、地図よりガイドブックの種類だったけど、いろんな店とかが出ていて役に立つからとにかくいい。
でもほかの地図はどちらがいいのか確信がなかったために、いくつかの地図をリュックに入れた。
その後、本屋を出た。
本屋を出る直前に新刊コーナーにあった単行本の漫画が真の目を引く。
まだ読んでいなかった漫画の新刊だ。
もう読んでも完結までのことはわからないだろうと思うと、次のストーリーが知りたくなるよりは「どうでもいい」との気持ちが先に走り、真の興味を急に冷めるようにした。
漫画に手を出そうとした真はそのまま振り返り本屋から出た。
「ファンだったのにあの漫画の作家…。面白かったんだよそのマンガ…。」
ぶつぶつとむかついた口調で独り言をしながら真は歩いた。
本屋の用事も済んだから真は再び、スーパーマーケットへ足を運んだ。
食材を手に入れるためである。
マンションの前のコンビニのものだけではどうしても栄養的なことが解決できないと、不安な面もあるし、せっかくここまで来たので、できるだけ食材をもっていくことにした。
缶詰、缶の飲み物、冷蔵庫の牛乳、お米などをリュックに入れた。
正確にはお米は5KGのものだったのでちょっと大きくてリュックに入らなかったが、レジにレジ袋がたくさんあったので遠慮なくそれを使った。
せっかくだから、レジ袋一つ分の食材も追加で…。
その結果、買いすぎた。いや、持ちすぎた。
真が住んでいるマンションまでは歩いて40分くらい。
スマホで時間を見ると真が思ったより時間が過ぎて午後5時を過ぎていた。
多分だが、この量の荷物をもって帰ると40分よりは時間はもっとかかるのだろう。
もうすぐ夕方になり、日が暮れる。
まだ二月だ、日が落ちるのは早い。
お腹も減って疲れた。何より今日は暗い夜の道を歩きたくない。
真は相当、さっきのマネキンの件でトラウマまではないが闇がきらいになったらしい。
日が落ちる前まで家に着きたければ、動くしかない。
そう思って歩き出す真はスーパーマーケットの前に並んでいる駐輪場が目に入った。
特にここではなくても駅やスーパーの周りには自転車でいつもあふれる。
区役所とかで無断で駐輪する自転車をもっていたりするらしいけど…。
まさかもしやと思って真は荷物を置き、スーパーマーケットの駐車場に行って見る。
ほとんどの自転車がカギがかかっている。
でも、やはりきれいではないものの、何台か鍵がかかっていない自転車もあった。
真はその中でハンドルの方と後ろの方にバスケットがついてある銀色のママチャリを選んだ。
格好良くないかも知れないけど、荷物が多い今の真にはちょうどの自転車だ。
長い間、自転車を乗ったことがない真は自転車を駐輪場から持ち出し、恐る恐ると乗ってみる。
自転車自体もパンクしていないみたいだし、ペダルをこいてみても特に問題はなさそうだ。
ブレイクもパッチリ。
しばらく乗っているとすぐに自転車を乗る感覚も戻った。
荷物を置いといた場所まで自転車を乗って来た真は前のバスケットにはお米、後ろのバスケットにはビニル袋いっぱいの缶詰とフライパンを乗せた。
そしてリュックを背負って自転車に乗る。
思ったよりハンドルが重い。
でも、何とかできそうだ。
どうせ、マンションまではほとんど一直線だし。
真は思ってより重くなった自転車を疲れた足でマンションに向かったペダルをこき始めた。
いつも読んでいただきありがとうございます。
残業で投稿が遅くなりました。
確定ではないですが、もしかしたらRLで出張を行ってくるかも知れません。
ネットとかができない場所らしいので、いい経験になれるかもです。(笑)




