第十二話 ショッピングモール
第十二話 ショッピングモール
真は自分自身も知らずに半分くらい扉が開かないだろうと、心からあきらめていたかも知れない。
そのせいか、簡単に開けた扉のことで真は喜ぶより、ちょっと驚いだ。
今日は天気もいいし、外はまだ昼頃なので明るい。
それに対して、建物の中は灯がついてはいたが暗くて目が慣れるまで、ほんの少しの時間が必要だった。
そして、慣れた目に見えたのは自分の部屋くらいの広さの空間があり、前にはまた扉が見えた。
実はその他にもいくつかの椅子や壁には掲示板のようなものに貼り紙とかがあった。だが、今の真の目に見えたのは前に見える扉だけだった。
先とは違ってここの扉はノブなどはない引き押し両方ができそうな扉だ。
鍵などはなさそうな扉だから、真は前に進み扉を開いた。
真の予想通り、抵抗感もなく扉は開かれた。
開かれた扉の前には交番を思い出せそうな窓口付きの部屋があった。
多分、セキュリティー関係の担当者が務めるへやだろう。
今の真のように必ず関係者だけじゃなく、不審者が入らないとは限られないから…。
一応、自分勝手に警備室とかセキュリティー室と呼ぶことにした。
セキュリティー室の窓口みたいなところにはタイムカードとタイムスタンプがあった。
従業員が出勤、退勤の時につかったんだろう。
扉を開けたら左は行き止りの壁で、前はこのセキュリティー室の窓口、右には廊下になっている。
廊下はちょっと長く感じられる。廊下の方も明るくはないけど、灯がついていた。でも、その向こうは明かりがなく暗いままだ。真が廊下が長いと感じたのはそのせいだ。
セキュリティー室の窓口の傍にあるセキュリティー室へ入る扉は開けっ放しだった。
警備をするのであれば、ここを開けっ放しにするのはおかしいだろうと真は思った。
でも、今の状況は普通ではない。だから、何かがあって出ようと、また入ろうとしたかも知れない。
こちらも鍵穴などはない扉だったから、夜にはちょっと緩い警備をしたかも知らないし…。
開けっ放しの扉が目を引くのでセキュリティー室の中に入って見ることにした。
2-3人くらいが仕事できそうな広さの空間だった。
そこに窓口が接する方には机と二つの椅子、そして窓口からは見えなかったが、キャビネットがあった。
机の上には電話といくつかの書類、ボールペンとか小物があるだけだ。
特に気になるものはなかった。
机の下には引き出しがあったので引いてみた。
昔、ある竜王から姫をすく出すゲームとかで、主人公がかってに人の家や城に入って、引き出しや、宝箱、たんすなどを調べてやくそうなどを手に入れるのを見て、「これ本当にいいのか?」と思ったことがある。
あの後、ほかのゲームでも半分定番みたいなことになっていたから、当たり前のようになってどんどん気にしなくなっていたが、いきなり引き出しを開きながらその昔のゲームを思い出した。
今は村人も家の主人もないけど…。
真、一人だけだ。
「俺が勇者なのか?」
意味もないくだらない独り言をつぶやきながら引き出しの中を見た。
引き出しの中にはランタンと四個のバッテリがあった。
廊下の向こうが暗かったからランタンの光は役に立つと思って、真はそのランタンを借りることにした。
誰もいないのをすでにわかっていながらも「借りる」と思っている。
ゲームみたいに「手に入れた」と考えてもいいのに…。
人のモラル、良心っていうか、人のものを勝手に自分のことにする対してのその抵抗感は、生きながら学び身についたものだからすぐには変えれないことだ。
例え、今みたいなありえない状況になってもだ。
だから借りることにした。
ランタンの中にはバッテリがすでに入っているのかスイッチを入れると明るい光を出してくれた。
ほかの四つのバッテリは予備のものだったらしい。
ランタンの光も十分強いし、バッテリは結構大きいサイズだったので、入れるところがないからそのまま置いといた。
もし、ランタンのバッテリが切れても持っているスマホの光で何とか帰り道まではできると思ったからだ。
せっかく借りるのであれば、ほかにも有用に使えるものがあれば、借りろうと思ってキャビネットも開いてみた。
キャビネットの上には警備員さんのものだと思われる、私服の上着があった。
多分、退勤できなかったんだろうね。
キャビネットの下には何かの充電器みたいなのが二つあった。
「何か」と表現したのは中身がないからだ。
それがすべてだった。そんなに大きくない細長いキャビネットだったので、中身もそんなになかった。
予備のバッテリを机の上の置き、ランタンは手にもって真は廊下に出ようとしたときに、入って来た扉の後ろに半分隠された、壁にある箱を目にした。
真がセキュリティー室に入るときには扉を押して見えなかった。
扉を閉めて、真の胸から首あたりの高さにある箱を見ると「端子箱」と書いてあった。
その端子箱を開けてみると、廊下、ホール、入り口、動力などなどの名前のラベルがついているスイッチがたくさんあった。
廊下とほかのいくつかのスイッチはすでにオンになっている。
多分、これが建物の電気を入れるスイッチだろうと真は思った。
セキュリティー室に入って見なかったら、暗い廊下の向こうをスマートフォンの光だけを頼りにして進むしかなかったんだろう。
そう思ったら、「ランキー」って感じより「助かった」の単語が真の頭の中に浮かべた。
確かに運が良かったのも事実だ。
でも、素人の真にはその運に助けてもらった気分だ。
そんな考えをちょっとしながら真は、セキュリティー室の扉を開けて、廊下に出た。
廊下の明かりはそのままだった。端子箱のスイッチをすべて入れてももっと明るくはならなかった。
見積もって10-15メータくらいの長さだろうか、長くも短くもない廊下を真は歩く。
光がある廊下だから、ランタンは使ってない。バッテリも節約しないと…。
でも廊下の向こうは先とは違い、ちょっと明るくなった気がした。
廊下の隅の行き止りまで来たら左側にまた扉があった。
ここもドアノブはあるけど鍵はないタイプの扉だった。
ドアノブを回して扉を開き、真は中に入った。
その中には、歩いて来た先の廊下よりは幅はちょっと広いが、長さは短い空間があった。
左の壁側には自販機もあり、座るところもある部屋みたいな空間があった。壁には休憩室と書かれていた。
その休憩室の傍には高さも幅も結構大きい扉があって「納品」と書いていた。
真が入って来た扉の一直線の前には、入って来た扉と全く同じ形の扉があり、右側の方はいくつかの扉があって、それぞれ扉の上に名前が書かれていた。
冷凍庫、在庫倉庫、加工室など…。
真はここはスーパーマーケットの品を管理するところだろうと直感した。
もしやと思って、確認のために加工室と冷凍庫と書かれている扉を開いてみた。
名前通りの部屋が扉の向こうにはあった。
多分、ここから品を準備してスーパーマーケットの棚へ出すんだろう。
じゃ、一直線の前にある扉は前に真がスーパーマーケットで買い物をするときに見た覚えがある新鮮コーナーの傍にあった扉だ。
確信をもって真は前に進み扉を開いた。
扉を開いたら今までより明るい光が眩しい。
売店内だからもっと光が強くて明るい。
しばらくして目が慣れた後、見えて来た景色はいつも真が駅の帰りに買い物をしていたスーパーマーケットの様子そのままだった。
ただ、違うのは今は真一人でその場で立っていること。
いつも人で混んでいて耳が痛いほどうるさかったその場所が自分の息の音さえも大きいと感じるほど静かな場所になっていることだ。
ふっと見ると、新鮮コーナーの棚は空っぽだった。
弁当や、パン、魚や肉など、きれいに空っぽだ。
いつも夕方には半額セールとかをしていたから、在庫が残らずに前日にすべてを売ってるんだろう。
ほかの棚の方はそのままだった。
帰りにちょっと買い物をして帰ろう。
コンビニの食べ物だけを食べていればすぐ飽きてしまうし、賞味期限の問題もある。
また、スーパーマーケットでは買えないものもあるから…。
そんな後のことを考えながら、真はスーパーマーケットの入り口の方へ行った。
残念ながらスーパーマーケットのシャッターはまだ下ろされているままだった。
セキュリティー室のスイッチをすべてオンに入れたけど、そこにはシャッターのスイッチはなかったらしい。
真は入り口の方でシャッターのスイッチを探した。
時間がかかったが、真はやっと入り口の傍の柱でセキュリティー室と同じ箱を見つけることができた。
開けてみたら、シャッターA、B、Cなどなどが書かれているスイッチがたくさんあった。
すべてのスイッチをオンにする。
すると、ジャジャジャジャと結構大きい機械の作動音をしながら今まで動いていなかった下ろされていたシャッターが上がり始めた。
上がるシャッターの向こうから入ってくる眩しい日差しを浴びながら真は妙にドキドキした。
その眩しさに目が鳴れると、真の目にはバス停と駅の入り口が見えてきた。
いつも読んでいただきありがとうございます。
だんだん寒くなりますね。
風邪を引かないようにみんな気をつけてください。
そういえば、スーパーマーケットの新鮮コーナーとかで半額セールとかをしても実際はちょっと売れ残りはあるんだそうです。(笑)




