第十一話 もう一つの入り口
第十一話 もう一つの入り口
平日の昼頃を過ぎてまで営業をしない銀行はない。
ATMがメンテナンス中なのは多分、管理する人がいないからだろう。
管理する担当の人がいないからシステムが深夜のままか、または途中で止まったかも。
最初に駅についたころの真は誰もいないことにショックでめまいまでしたが、今になって「ここに誰もいない」ことを事実として受け入れると、メンテナンス中のATMを見てちょっとイライラした。
理由を分からない、そのイライラする気分を抑えるために真は深呼吸を何回かする。
数十秒くらい過ぎたんだろうか。
真は財布をズボンの後ろポケットに入れ、銀行から出た。
お金をおろすのを諦めた。
いや、止めた。
どうぜ、誰もいないからお金の使い道がないと思ったからだ。
コンビニのときのように自分で払う気になった時以外には…。
再びバス停の広場まで歩いて来た真は目の前にある、一つとしてつながっている三軒の建物の一階をゆっくりと見た。
駅がある建物は登る階段からの入り口しかいない。
真ん中の建物の一階の建物は銀行、ファストフード店、ファミリーレストランがあるが、内部に入られるのは銀行たけで、しかもATMまでだ。普通の業務後の銀行のようにそのほかのところはシャッターが下ろされている。
商店街のシャッターも自分の力で何とかできなかったから、お金を扱う銀行の丈夫なシャッターはなおさらだ。言うまでもなく、無理だろう。
しかも、無理やり手を出して、あるかも知れない防犯アラームなどが鳴ってもこまる。
真は残った左にある建物をみた。
スーパーマーケットが一階にあり、同じ系列会社のショッピングモールが二階からある。
スーパーの中に入れば、エスカレーターで二階へ行けるし、ほかの入り口からまっすぐ二階へも行ける。
正直、真はショッピングモールには行ったことがない。真が買い物をするものがなかったからだ。
左の建物と真ん中の建物がつながっているところの入り口には真ん中の建物の二階へ行けるエスカレーターや、銀行、ファストフード店、ファミリーレストランの後にする、駅の商店街までの通路もあった。
ただ、左の建物にも今目に見えるのは丈夫なシャッターだ。
すべての建物を見ても開いている入り口は見えない。
少なくとも建物の「前」はそう見える。
結局、建物の「後」に行って見るしかない。
今まで真は駅やスーパーマーケット、銀行は利用しながら彼の性格のせいで、用事がない、ここは買い物することがないとかの理由で行ったこともないところが結構ある。
多分、スーパーマーケットの二階にあるショッピングモールより銀行がある真ん中の建物の二階にあるゲームセンターにもっと通ったはずだ。
商店街からつながる通路もある日、偶然行って見て分かったくらいだった。
その日、偶然でも行って見なかったら、今までもつながる通路など知るはずもなかったんだろう。
真はちょっと考え込んでた。
駅の方とスーパーマーケットの方、どちらかの裏側を先に行くのか。
凹形に建物が囲まれているから、場合によっては建物一周することになる。
できれば最短距離で入り口を探したい。歩くのは面倒なのだ。
でも、真はそう長く悩まず駅の裏側から行くことにした。
駅の入り口の反対側には確実に商店街の入り口があるからだ。
そこの入り口が開いてあるかどうかは別にしても…。
今までの状況を見ると多分、こちらの入り口にもシャッターが下ろされているだろうと、真は思ったのでそんなに期待はしない。
そして、歩いて5-8分くらいでやっと着いた商店街側の入り口はやはりシャッターで固く守られていた。
ある程度、予想していたことだったので真はそんなに気にせず、シャッターのスイッチが周辺にあるのかだけを確認した。
こちらもスイッチなどはない。
多分、内部からスイッチがあるようだ。
真は仕方なく、また歩く。
ここから先の方はここに何年も住んでいる住民なのに行ったことがないところだ。
もしかしたら、自分が住んでいる町をあまりにも知らないからちょっと恥ずかしいと思うべきだろうか。
そんな、今になってどうでもいいことを考えながら商店街の建物の方にほかの入り口があるのかを見ながら歩く。
ちなみに道路の向こうは何軒か結構高いビールがある。
会社とかホテルとかがあるらしい。でも行ったことがない。
ビールを見て、そこも行って見たいと思う興味は真の心にはあったが、今の状況が状況だから後にしようとすぐにあきらめた。
そんなに長くない時間を歩いたら建物の隅が見えた。道路と歩道は横断歩道があってまっすぐに続いてあるが、建物はそこで終わりだ。
左に曲がろう。
すぐに見えたのは自転車がたくさんある駐輪場だった。
スーパーマーケットの前の方にも結構、自転車があったが、ここがもっとある気がする。
ここもシャッターが下ろされている。
隣には同じく、シャッターが下ろされた駐車場があった。
結構、大きい駅やスーパーマーケットだから駅を利用する人や、スーパーの来客用の駐車場がないのがおかしい。
真自身が自転車と車を持っていないから気にしなかっただけのことだった。
駅の建物の裏側にあったために知らなかったものの、結構高さがある駐輪場だ。
もしかしたら、建物の階数と同じかも知れない。
ここも入り口のシャッターを開けるスイッチなどは見えない。
歩きながら見ると、真ん中の建物の裏側すべてがこの駐輪場と駐車場だそうだ。
そして駐車場の隅が見えた。
また左へ曲る。
ここからはスーパーマーケットの裏側になるはず。
駐車場区画を共有するのか、最初に見えたスーパーマーケットの裏側はシャッターが下ろされている駐車区画だった。
先の駐車場とは違って、天井が高い駐車場だった。真はすぐにスーパーマーケットの品物を運んでくる納品トラックのための駐車場なのを気付く。
建物の前にあったシャッターとは違って、ちょっと細い鉄棒のシャッターだった。
素手では無理でも道具があればなんとかできるかもと思った。
入り口を探せない最悪の場合はここを攻めろう。
でも、真のそんな考えはすぐ終わった。
なぜなら、もう少し歩いたら灰色の扉があったからだ。
そこには「業務用、関係者以外立ち入り禁止」と書いてあった。
真はその扉の前に立ち、扉を見た。
銀色のドアノブには鍵穴などはない。
扉の周辺にも特にベールなどもない。
真はドアノブを回してみた。
回る。
そのまま引いてみた。
扉はロックされていないか、抵抗感なくそのまま開いた。
扉が開けた瞬間、真の目が大きくなった。
沢山の方々が読んで頂いて嬉しいです。
ちなみに市役所で勤めていた知り合いの話によると、実際は駅や建物などの入り口は本当に小規模な広さではないと一つではないんだそうです。
一応、モチーフとした実際の駅の環境とは変更されて書かれています。




