A. 箱庭デ、幸セヲ求メタ少女
A:
「私は……ここに留まります!」
「ほんと……?」
「……よく考え抜いた末の、結論なのよね?」
「はい、私はこれまでずっと日常に退屈してて、いつも何かを求めながら、それでも無理だって、現実的じゃないって思っちゃうから、何をしようともする気になれなかったし、何をしたって楽しくなかった……。でも魔法はすごく綺麗だったの……みんなすごく優しくて、楽しい物も、場所も、私の望んでいたものは全部ここにあって……」
私は頬に伝う涙にすら気付かずにそのまま続ける。
「私はこの世界が好きです。私を受け入れてくれた。喜ばせてくれた。私を包み込んで、優しく守ってくれた……今なら、なんとなくだけど、イヴがここを創った時の気持ちがわかります。そして、イマさんが私に伝えたかった事も、なんとなく分かるんです。その中で私は、きっと人生で一番笑顔だった。……だからこの世界に留まりたい、これからもずっと、イマさんやイヴと一緒に楽しみながら過ごしたい!」
「…………」
「…………」
「だから、お願いします!これからも、私をここにいさせてください!」
私は頭を深々と下げて次の言葉を待つ。
…………
沈黙が流れる。これでよかったのだろうか?何か気分を損ねたりする事をしてないだろうか?
何を言われるかわからない。
不安だ。
だけど……きっと間違いじゃない。
「……決まりね」
「うん!じゃあ改めて……ようこそ《シラルトン》へ!」
不安なんて感じる必要はなかった。
二人の声はいつも通りのはず、だけど、私にはそれがより一層特別に感じる。
「……ありがとうございます!!」
「じゃあまずは敬語を外すとこから!」
「あれっ、またついてた……!?」
ほら、もういつもの軽口に戻った。自然と私たちの中で笑みが新しく生まれる。
(ああ……やっぱりこの世界は良いな……)
この雰囲気が好きだ。
この世界の魔法が好きだ。
私はこの判断で停滞を選んだ。
これは悪い事じゃないと思う。
だってほら……
私今、心の底から笑ってるよ。
ただ一つ心残りがあるとすれば……この場にミライちゃんがいてくれないことだけど──
「どうかしたの?」
「ううん、何も……イマさん、ありがとうございます」
「なぜかしら?」
「この世界に対しての恐怖を消してくれた。私がここまでこの世界で幸せになれたのは、イマさんのおかげだったから」
イマさんがいるのもまた、心地良かった。
「はぁ〜。私、これでも少し怖かったのよ?ここに来て、こんなに仲良くなった友達に会えたのなんて初めてだったからね……」
「もう私はどこにも行かないよ」
「だね……ありがとう」
「そうだ!私、ちょっと前にすごく綺麗な洞窟を見つけたの。今度一緒に行かない?」
「ええ、行きましょう」
「私もついてって良いよね?良いよね!?」
「うん!三人で行こう!」
(……あれ、誰だったっけ……もう一人ここにいて欲しい人が……まぁいっか)
私はこれからも、この世界で笑い続ける。
もっと多くの場所を見つけて、何度も幸せな景色を眺める。
その中で、一生を通してやりたいと思う事が見つかったら、私はここの住民としてこの世界に溶け込む。
それってとっても、良い事じゃない?
END A. 幸せな少女達
「絶望の世界で、───────」
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