表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/11

第八話 転機

あれから一ヶ月くらい、私は色々な事をして過ごした。時にイマさんと出かけたり、時に一人で出かけてみたり、一人であの湖に行ったりもした。多分私は十分に《シラルトン》に慣れた(・・・)と思う。


「お嬢ちゃん、今日は何が欲しい?」


「そうだなぁ…じゃあこれとこれと……」


ある程度街の人とも仲良くなった。これから何をするかはまだ決まっていないが、楽しく暮らせている。


「ほい、楽しんで!」


「ありがとう」


もらった物が入っている紙袋を脇に挟んで、中からワタパンを一つ手に取って口に頬張る。すごく柔らかくて美味しい。それでいて溶けるように消えないで、ちゃんと口の中で食べているという感触を主張してくれる。


…………


今日はどこに行こうか……そういえば近くでショーをやるって言ってたような……


(暇だし見に行『カコ、今暇なら、ちょーっと大事なお話したいんだけどいいかな?』


突如私の脳内にイヴの声が出てきた。


(何でこのタイミングで……?初めて会った時からまだ一度も呼ばれた事がなかったのに……)


何はともあれ暇だと思っていたところだし、私は久々に玉座の間に行くことになった。





「お、来たねー」


「なん……今日はなぜ呼んだの?」


「そうそう、この子から三人で話をしたいって言われたんだ〜」


イヴが指す方向を見ると、そこにいたのはイマさんだった。


「もうそろそろ、覚悟も決まると思ったの。《シラルトン》にこのままいるかどうか」


「え……?」


それって……


「カコは儀式をしてないでしょ?」


「うん…」


私は続いて、ここに来た経緯を話した。言った事はイマさんに言ったことと全く変わらないが、イヴにとっては初めて聞いたことらしく、目を点にして話を聞いていた。


「──という事があったの」


「うん、なるほどね」


「だから言ったでしょうイヴ。彼女は色々訳ありなのよ」


「ん…カコ、これはしっかりと考えて欲しいから、基本的なところから説明するね。──ここは私が創った《シラルトン》という楽園で、ここではみんな、幸せに生きることができる。今が幸せじゃなくても、私がそういう世界にしてあげる。そんなここに入るためには、儀式をしなきゃいけなかったの。


儀式って言っても、正確には意思表示ってことなんだけど……あなたは儀式をしていない、つまり望んでここに来たわけじゃないの。だから特別に選ばせてあげることにしたんだ。《シラルトン》に残って幸せを享受するか、元の世界に帰るか」


「………!」


「ただ、実は私はこの世界じゃないと魔法が使えなくて……元の世界に戻るのはそれ相応のリスクが生じちゃうの。もしかしたら、最悪の場合死んじゃうかも……」


「この話は私から持ちかけたわ。私は儀式で形式上意思表明をした上でここに来たけれど、貴女はそれをしていない。だから大分遅いけれど、一度は聞いておく必要があるんじゃないかって」


「…………」


「幸せというものは、その人の意思なしでは成り立たないのだよ!ってことで、どうする?」


あまりにも突然。


意味がわからないような感覚に陥る。


(帰る?地球に帰れるの?帰っていいの?)


確かにこの世界には望んできたわけじゃない。訳もわからず勝手に連れて来られた。私はそう考えていた。でも本当は儀式が必要で、偶然来ちゃうなんて普通なら無いはずだった。じゃあ私はなんでこんな特例になったのだろうか。


(ここか、地球か)


望んで来たわけじゃない……けど、ここも悪くなかった。楽しい事も、美しい物も、良い人も、かけがえのない親友(イマ)も、ここにはいる。ここではなんでも揃った。私は何不自由なく暮らすことが出来た。そして何より、楽しかった。


(…………)


「……もうちょっとだけ、時間が欲しい。……明日には、決めるから……」


「うん。これだけは私もじっくり考えて欲しいと思うから急がせたりはしないよ」






































なんで?




































なんで私は、ここで悩むの?




































退屈だったんでしょう?

毎日が、日常が














私は、誰よりも常識人だったけれど……


その実、誰よりもあの日常に飽き飽きしてた。


変わらない通学路

変わらない環境

変わらない顔ぶれ

変わらない常識

変わらない不条理

変わらない法則

変わらない気持ち


《シラルトン》に来て、怖いと思った。でも、それに隠れてそれと共に存在していた気持ちも──胸の高まりも、確かにあった。


恐怖が消えた今、私に残ったのはそれだけでしょう?


それならここにいることが、私にとって一番幸せになるはずなのに…………




















『ねえ知ってる?私たちとは別の、どこか遠い世界には、だれでも幸せになれる、《シラルトン》っていう夢みたいな楽園があるらしいよ』


(……うん。知ってる)


『そこではいろんな不思議な出来事があって、毎日がすっっごく楽しく過ごせちゃうの!』


(……うん。本当に、すっごく楽しいよ)


魔法、あったよ。

どれもこれも、みんなキラキラしてるよ。

すっっごく、楽しいんだよ。


…………なのに


なんであなただけは、ここにいないの?



ミライちゃん……













































私は…………


A. 《シラルトン》に留まる

B. 元の世界に戻る





はい、分岐イベントです。


一覧に戻り、


A→次の話

B→2個次の話


に進んでください。


これはあなたの選択です。カコの気持ちになるもよし、メタ的な正しさから選ぶもよし、どうぞ好きなように選んでください。


ただし、よーく考えることをおすすめします。


《シラルトン》か地球か

イマかミライか

幸福か苦痛か

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ