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ヲタクの異世界転生  作者: マルボロ


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第7話 初めての依頼

翌朝――。


「よく寝た……。」


陽太は王都の安宿で目を覚ました。


異世界へ転生してから、まだ二日目。


昨日は変異種に襲われるという散々な一日だったが、こうして無事に朝を迎えられたことに少しだけ安心していた。


「……いや、異世界に来て二日目で命懸けってどうなんだ。」


苦笑いを浮かべながら宿を出る。


まずは金を稼がなければ生活できない。


向かう先はもちろん、冒険者ギルドだった。


ギルドへ入ると、昨日とは違う空気が流れていた。


「結局、変異種はどうなったんだ?」


「騎士団でも見失ったらしいぞ。」


「王都の中で消えたなんて聞いたことねぇ。」


「一体誰が倒したんだ……。」


酒場のように騒がしいギルドは、その話題で持ち切りだった。


(俺のことじゃないよな……。)


陽太は聞こえないふりをして受付へ向かう。


「あ、おはようございます!」


受付嬢のセリアが笑顔で迎えてくれた。


「昨日は大丈夫でしたか?」


「なんとか。」


「本当に良かったです。」


安心したように微笑むセリアは、依頼書を数枚取り出した。


「今日は街の外も比較的安全になっています。初めてでしたら薬草採取がおすすめですよ。」


「薬草採取ですか?」


「はい。危険も少なく、初心者の方にはぴったりです。」


陽太は依頼書を見る。


『回復草 二十本 報酬:銀貨一枚』


「よし、これで。」


「ありがとうございます。お気を付けて行ってらっしゃいませ!」


ギルドを後にした陽太は、昨日訪れた森へ向かった。


「さて……薬草ってどこに生えてるんだ?」


依頼は受けたものの、肝心の薬草がどんな見た目なのかすら分からない。


「これじゃ探しようが……」


その瞬間。


右目が熱を帯びた。


《転生眼 起動》


視界が変わる。


森の中で、いくつもの植物が淡い緑色に光り始めた。


その一つへ視線を向ける。


《回復草》


品質:良


採取可能


「えっ……。」


陽太は思わず声を漏らした。


「これ、薬草なのか。」


試しに近くの別の草を見る。


《毒草》


摂取注意


「こっちは毒草か。」


さらに別の草を見る。


《薬効なし》


「……。」


陽太は思わず笑ってしまった。


「めちゃくちゃ便利じゃん、この目。」


普通なら何時間も探す依頼だろう。


しかし陽太は光る薬草だけを摘み取っていく。


一本。


二本。


三本。


あっという間に二十本集まってしまった。


「これで終わり?」


まだ一時間も経っていない。


依頼は終わったが、少し物足りない。


「せっかくだし、もう少し歩いてみるか。」


森の奥へ進む。


その時だった。


転生眼が再び反応した。


《未解析物質を発見》


「未解析?」


見回しても何もない。


表示を頼りに近付くと、大きな岩の根元で青白く光る石を見つけた。


「ただの石じゃないのか?」


手に取る。


すると微かに温かい。


《解析失敗》


照合率不足


「また照合率か……。」


何なのかは分からない。


だが、転生眼が反応した以上、普通の石ではないだろう。


「とりあえず持って帰るか。」


袋へしまい、森を後にする。


王都へ戻る途中。


昨日、変異種と戦った近くを通りかかった時だった。


突然、転生眼が強く反応する。


《残留魔力を検知》


「残留魔力?」


地面に黒い線のようなものが見える。


その線は、街ではなく森のさらに奥へと続いていた。


「何なんだ……これ。」


気になって数歩だけ進んだ、その時。


ガサッ——。


草むらが揺れた。


「誰だ!」


振り返る。


しかし、そこには誰もいない。


風で木々が揺れているだけだった。


「気のせい……か?」


そう呟いた陽太は気付かなかった。


少し離れた木の上から、赤い瞳が静かに自分を見つめていたことを——。

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