次は何しようかな1
まさか、NPCである少女が勝手に店員を呼ぶとは思わなかった。私達を困惑させて話が進まなかった原因の少女は我関せずで紅茶を啜っている。少女のせいでしばらく私達は頼んだ飲み物を飲んで一息つく。
一息つけたことはいいんだけどね。飲みたかったのは確かだから。でもそこはかとなくこれじゃない感が晴れないのはなんだろう。
「……で、そこの少年とこの話せない少女との関係は何なのかな」
「サカキだ。この少女に名前はない。記憶を探して欲しいと頼まれたんだ。別れるとそのまま合流できなくなりそうだったから町の外にも一緒に出た」
『私が離れたくないと言ったせい』
そう言えば、自己紹介とかせずにここまで来てしまったな。自己紹介していないことに気づくのは名前を呼ぼうとして出てこなかったからだから、少し遅いんだよね。
サカキという名前の少年は、どうしてNPCである少女と一緒に居たのか答えた。どうもすぐ虚空に書かれた少女の言葉から少女と一緒に外に出た理由は差異がありそうだ。それとは別に依頼であり記憶喪失という言葉が引っ掛かる。
この少女が記憶喪失ね。NPCとして、というか話のテンプレートではあるけどまさかこんな序盤で聞くこととなるとは思わなかった。
いや、序盤だからこそ、かな? 序盤という言葉は昨日は恋歌のせいで言うこととなったけどね。お洒落アイテムとは言え、壊れないというのは流石におかしい。貰って使っている身としては人のこと言えないけど。
「名前がないの? それは……。何て呼べばいいのかしら?」
困惑した顔をしてカリンはこの場にいる全員に問いかける。確かにそうだね。遠くにいたときに呼ぶときに不便だ。
でも、それはサカキとかも気づいているはずなんだけど。気づかないというのは正直、私がさっき自己紹介してないことに気づいていなかった並に阿呆なのかな。
サカキが答えようと口を開けるが、その前に空中に線が引かれて文字が形成されたため、少女の方に目を向ける。
『固有で私と分かる様な、名前と認識されない程度なら良い。よく分からないけど、名前があってはいけないと思ってしまっているから』
「それは、困ったわね。サカキはどうしているの?」
名前を付けてはいけない、ね。命名が駄目ということかな。名は体を表すとも言うからね、ゲームの舞台でもあるこの世界でもそれは当てはまるのかな。
こんな考察をしていても、答えなんて無いだろうし、あったとしてもまだ先だな。一つの事例で決めることでもない。
頼んだ紅茶を合間に飲みながら質問に答える少女は、何回も聞かれていたことなのか名前に関することの質問にスラスラと答えていく。
多分、名前を聞かれる度に同じ質問者がされてきたのだろう。この少女はいつから記憶を探しているのかは知らないけど。
見た目は私と同じくらいで、もし現実なら高校生か中学生と言われるくらいだ。ファンタジー系のゲームだし、世界観だから見た目なんて信用できないけどね。




