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第8話 評議会

(10月18日に改稿)

緋色はいつもの反対方向、雅羅(がら)駅行きの電車に乗り込んでしまう。

電車はいつもの反対方向へ動き始めた。

人は乗っていない。

ちょっと不安になったので後ろの車両も見に行った。

寝ている乗客が一人いるだけだった。

緋色は自分のいた席に戻った。


この電車の良いところはフリーネットワークがあることだ。

いくらでも暇つぶしできるので想志も朝喜んでいた。

山手線方式であればかなり時間が掛かりそうなので緋色はSNSを見て暇つぶしを始めた。


かなり電車は走っただろうか。

やっと、颪駅の次の駅にまもなく着くようだ。

列車は止まった。

すると後ろの車両に乗っていた寝ていた乗客が降りているのが見えた。

つまりここから先は自分一人。

恐怖を感じたので緋色もここで降りることにした。


切符を改札に通して階段を登っていった。

登りきった先にはものすごい光景が広がっていた。


商店街…!?


築地市場のようなたくさんの商店が上から見下ろせた。

ものすごい賑わい方。

陰陽師社会にこんなものもあるのか…

静かだった駅とは大違い。

だが学生などの姿は見えず、大人が酒を飲んで盛り上がっているところが多数だ。

通りすがる人からも冷たい目線が送られている。


なんと人間ではない動物もおり、人のように二足歩行して歩いている。

これは夢なのか?


小夜の話ではここはごく一部の人しか行けないエリア。

俺はそのごく一部になったのか?


緋色はそうではない気がした。

だから、この商店街が本質ではない。

商店街の地下か上にごく一部の人しか行けない理由があるはず。


しばらく遊歩道を歩いているとエレベーターがあった。

すでに地下なのにさらに地下に行くのは気が引けるのでとりあえず上ボタンを押した。


2分後、エレベーターがやってきた。

かなりの階数があった。

地下50階から地上100階まであった。

緋色は最上階のボタンを押した。

そこにはどんな景色が広がっているのだろうか。


10分近くエレベーターに乗っただろうか。

やっと最上階に着いた。

エレベーターの扉が開くと、そこは下にある質素で庶民的な商店街と違い、近未来感を感じる作りになっていた。


すると、人型ロボットがするすると近づいてきた。

<館内をご案内いたします。私についてきてください>

緋色はそのロボットに早速尋ねた。

「この階はどういう目的で使われているのですか」

ロボットは沈黙。案内目的のためにただただ動き続けていた。

全てのロボットにAIが搭載されているわけではないことに気づいた。


しばらく移動するとロボットは止まり、音声を流し始めた。

<ここは陰陽師資料館です。資料館を見ていくか、私の手元のタブレットを操作してお決めください>

タブレットには、はいといいえのボタンがあった。

あまり時間に余裕はないのでいいえを押した。


<分かりました。次のところへご案内します>

ロボットは再び動き始めた。


ロボットについて行っていると、自分たちの向かう先から複数人の声がした。

その声は徐々に大きくなっていった。

そしてロボットは止まった。

<ここは評議会です。見ていきますか?>


評議会!?

もしかして今日の杣締先生の授業で習ったあの陰陽師評議会の本部がここにあるというのか!?

そして昨日の記憶。

おぼろげながら、鴉丸オジイが移動陣で訓練所から家まで連れて帰ってくれた記憶がある。

そして移動陣を学校内で自由に使えるのは評議会メンバーだけ。

ということは鴉丸オジイは評議会メンバーだということか!?

ここで働いているのか。

道理で忙しいわけだ。

少しオジイが働いているところを見てみたかったので緋色はタブレットのはいを押した。


<分かりました>

ロボットが半透明のドアをノックした。

すると部屋の中から野太い声が聞こえた。

「なんだ」

<客人でございます、平部(ひらべ)様>


声を聞き分けられるのかい!

まったく期待外れのロボットだな。


「入れろ」

そしてロボットはドアを開けた。

緋色は中に入った。


<おぉぉ>

評議会メンバーが総立ち、そしてどよめきが起こった。

<どうして苑がここにいるのか?>

<弦刀(げんとう)!これはどういうことだ!説明しろ!>

席に座っているオジイが目を丸くしているのが見えた。


評議会メンバーがざわついている間に緋色は部屋を見渡した。

かなり大きな空間だ。

緋色のいるところは高いところで、左右に下り階段がある。

下った先には評議会メンバーが議論をするO字型の大きな机がある。

そこで今評議会メンバーはざわついている。


「とりあえず降りてこい、苑くん。」

ロボットが平部様と言っていたあの声の人が言った。

「苑くん、君はどうやってここに来たのかね?」

「颪駅から雅羅駅行きの電車に乗って、颪駅の次の駅で降りました。名前は、聴き取れませんでした。そこで商店街のような場所を目にしました。その後エレベーターを見つけ、最上階につきました。最後に、あのロボットがここに案内してくれました。」


「鴉丸弦刀、お前は苑の管理をどうしているのだね」

鴉丸オジイの下の名前は弦刀だったのか。

初耳だ。

「娘の小夜に任せているが。」

「それだけでは不十分だろう、まったく…」

「たしかにお前の娘は実技が素晴らしいので任せても安心だと思うが、お前の監視も付ける必要があるだろう。万一のことがあってからでは遅いのだ。」

「反省いたします。」


「ところで苑くんはどこまで評議会のことを知っているのだね?」

「明治天皇に術者隠蔽法を迫られて、嫌だったので人を動かして喧嘩して勝手に抜け出した、というのを習いました。」

「そこらへんが最初に歴史の授業を受けた人の知ってる範囲だよなぁ」

「それがどうかしたのですか?」

「いや、なんでもない。」

<天(あま)の側が鴉(からす)の側に入るなんてな!>

別の評議会メンバーがガヤを言ったようだ。

天氏と鴉氏のことを指しているのだろうか。

だが歴史が大嫌いな緋色はこれ以上を知ると頭が痛くなりそうなので詮索するのはやめた。


「ところで、陰陽師の路線は山手線方式ですか?」

ぶはっ

水を飲んでいた鴉丸オジイが吹き出した。

「そんなわけなかろう!路線図を見てみろ」

たしかに、緋色が降りた駅の一つ先が雅羅駅で、その先は車両基地だった。

萬駅は思ったよりも先にあった。

なんと県外にある。


じゃあ俺はとんだ思い込みをしていたのか。

「それが分かったところで、そろそろ帰ったほうがいいんじゃないか。もう19:30だぞ。」

「はい、急に失礼しました。申し訳ございません。」

「いや、君が謝ることじゃない。気にせず帰りたまえ。」

緋色は一礼した後、部屋を出た。


エレベーターを降り、遊歩道を逆戻りして、駅にたどり着いた。

すると萬駅行きが停車していた。

緋色はそれに乗り込んで、不思議な場所からおさらばした。


◇


<まもなく、颪、颪です>

停車した列車はドアを開けて、クラブ終わりの生徒を乗せた。

その中に想志がいた。

「ひい、その落ち着きよう、さては颪の先に行ったな!?」

「正解」

緋色は落ち着いて言った。


列車は騒ぐ訓練所の生徒を乗せて走り出した。



◇



その頃、評議会では張り詰めた空気が流れていた。

「ここに剛鉄の天が訪れし時、天と鴉の均衡が崩れ、古の飛鳥が再びやってくるだろう…」

評議会メンバーは古い書を見つめていた。

「飛鳥時代、鴉氏は天氏陰陽師を裏切って反乱を起こし、数々の陰陽師を葬った…」

「その歴史が今、再び繰り返される…!」

あとがき


どうもこんにちは、ヤサイローリングです。

今回の第8話で、今回の作品の序盤1つ目の回、苑緋色覚醒編が完結しました!

完結という言葉を聞くと、もうこの作品が終わる!と早とちりしそうな人がいるので言っておきますが、

まだ終わりません!

まだまだ序盤です。

序盤のzも言う前です。


苑緋色覚醒編を簡単におさらいしましょうか。


苑緋色が鴉丸オジイに拾われる。

小夜と出会う。

颪陰陽訓練所の神力度数測定で倒れる。

翌日、本格的に授業開始。

実技で取り残される。

無葵校長と話す。

評議会にたどり着く。


最後が不穏な空気です。

これからどうなってしまうのでしょうか!?(知ってるくせに)


ちなみにこれを書いているのは8/26で、なろうで第1話を投稿した翌日なんです!(ストックの多さ...)

なんと第1話のPVが初日で26を達成いたしました!

第1話投稿の日になろうに登録した完全無名のヤサイローリングでしたが、まさか初日でここまでPVしてくれるとは思っても見ませんでした。

読んでくれた皆さんに心より感謝申し上げます!


これからも誠心誠意執筆を頑張ってまいります!

と言いたいところですが、リアル都合で2週間ほど投稿をお休みしたいと思います。

第2シーズンは最初から波乱の幕開けになる予定です!

ハロウィンは公開日の前日になりますが、お菓子の代わりにそちらをプレゼントしますので、11月1日の18:20にまたお会いしましょう!

それでは안년!

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