電車の別の乗り方(想志視点)
第4話、緋色と小夜が颪駅で電車に乗る20分前、いつもの駅に想志は立っている。
「あぁ...」
俺は窓口に置いてある落とし物コーナーを見て落胆した。
水玉の折りたたみ傘が置いてある。
これが置いてある時は、隠しホームの入場制限が行われている、ということだ。
また誰か大人数で隠しホームに行ったんだな?
めんどくさいなぁ。
とりあえず颪駅行きの切符を買おう。
270円区間、大人4人、子ども6人、障害者がいます、QRコード。
よし、発券完了。
切符を改札に通すと駅員がこちらへ視線を向けてきた。
俺は駅員にウインクした。
これは、「別ルートで電車に乗ります」という小さなサインだ。
訓練所に行くと習うことだが、どうやらひいはまだ習っていないっぽい。
次の一番早い電車はどれだ?
6時32分発・渋山行きか。
きっともう術は施してるはずだ。
うぅ、朝のラッシュに入っていくのは嫌だなぁ。
でも不快なのは最初だけだが。
なぜなら、隠しホームの入場制限が行われた場合、その後60分以降の全ての電車に強力な錯乱の術がかけられるからだ。
でも錯乱の術は禁術だ。
だが、これは効率的に陰陽師路線に術者を乗せるために必要なシステムなので許可されている。
電車がやってきた。
うわぁ、人多い...
この錯乱の術では、一般人から見ると術者の人間は見えなくなる。
なぜ見えなくする必要があるかと言うとっ!
ふう、トイレについた。
トイレに入るとしよう。
ポケットから札を取り出してっと。
「転移」
すると札に奇妙な文字が刻まれた。
そしてその札を水に流す。
すると...
陰陽師路線の電車にワープした。
まあ理由はわかっただろう。
ワープしたらその人は永遠にトイレから出てこない。
しかも他の術者がどんどんトイレに入ってワープする。
一般人から見ればトイレで人がぎゅうぎゅうになって、しかも誰ひとり出てこないという矛盾が生まれる。
だから、錯乱の術が必要なんだ。
とりあえず、一般人の乗るぎゅうぎゅうの電車から出られたからそれでいいや。
「次は縦浜、縦浜です」
電車は止まり、ドアが開いた。
暗い様子のひいが乗り込んできた。
まったく、こんな美男子がこんな雰囲気出してちゃだめだろ。
励ましてやんねぇとな。
「よ、緋色。」




