訪問の準備(無葵校長視点)
これは第3話で無葵校長と緋色が面談する1時間前のお話...
私は今日も学校の出金を整理している。
そして評議会との面談のスケジュールを合わせたりと。
めんどくさい毎日じゃな。
そう思いながら私はスケジュール帳を開いた。
おや、今日は苑との面談か。
全く可哀想な苑の息子よ。
少しでも苑には緊張をほぐしてもらわなければならぬな。
湯呑みはどこに置いたかな。
ここの棚に置いたかな。
私は棚の戸を開けた。
おや、ここは、すみっこ奈良平安鎌倉史全18巻をおいた棚だったか。
記憶がよく飛ぶなぁ。
老いとは怖いものよ。
隣の部屋の教頭に聞いてみるかの。
ガチャ。
「教頭。」
「うわっ、無葵校長。おはようございます。」
「お前はいつまで私が来ると驚くかね」
「ノックしないからですよ」
「校長が教頭にノックなどするか?」
教頭は考え込んだ。そしてこう言った。
「否定できません。」
少し間をあけて、教頭が聞いた。
「それで。どうしてこちらへ?」
「あぁ、それだが、湯呑みを置いた場所を忘れてしまってな。覚えてるか?」
「あぁ、はい。まぁ。」
教頭は教頭室を出て、校長室へ入った。
「おそらく、最近ここで面会があったのは、評議会の平部様との話でしたよね」
教頭は校長室の棚を見回しながら言った。
「そうだな。全く弦刀はなにがしたいのやら。」
教頭がある一つの棚の戸を開けた。
「あ、ここです。ありました。」
「3つ取ってくれんか」
「探すだけじゃないんですか?」
「気の利かんやつめ、減給も視野に入れるぞ」
「取ります」
教頭は即答した。
「まったく、この世の中は金の亡者だらけで気味が悪いわ...」
私は小声でそういった。
「どうぞ」
「ありがとう、教頭。」
そう言って私は湯呑みを2つのソファーの間にある机においた。
「何をするんですか?」
教頭はまったく興味本意で何でも首を突っ込んでくるの。
そう思いながら私は札を取り出した。
「隠蔽」
すると、机の上の3つの湯呑みは見事に透明になった。
「そんな子供だましをするんですか、校長。苑家にそんなことをしては...」
「私は天氏でも鴉氏でもない。上下関係を超越した家系じゃぞ」
「ごもっともです。」
「さぁ、執務に戻り給え。私は面談のシミュレーションをしておきたいのでな」
私はシミュレーションで様々な事が起きても対応できるようにシミュレーションするのがお決まりだ。
「分かりました。それでは」
そう言って教頭は教頭室に戻っていった。
ふう、邪魔者がいなくなった。
まあ私から呼んだがな。
さて、神力に身を委ね、深い瞑想をするとしよう。
そして第3話はじまりのノックから返事に時間がかかったのは瞑想から目覚めるのに時間がかかったからだったのである。
めでたしめでたし。




