ライオンと呼ばれた男 その6
男子生徒の身体が後方へ吹っ飛んだ。
まるで、見えない拳に殴り飛ばされたみたいに。
デミニさんが、「こっちもお願い!」と不思議な力で拘束していたもう一人の男子生徒を解放した。
だが、すぐさま、男子生徒は解放されたと同時に黒い翼が生え、空高く飛んでしまった。
「え?! 飛んだ??」
「デミニさん! この人たちは一体何者なの?」
デミニさんが、ぼくの傍へ来た。
だいぶ疲れているようだけど、まだ体力的には余裕がありそうだ。
「この人たちは、アンブラルに寄生されているのよ。だから、奇怪な生物になってしまってるんだわ」
「これがアンブラルに寄生されてしまった人たち……」
アンブラルに憑りつかれてしまった人は、狂ったように暴れ出し四日後に死ぬ。そうパンフレットに書いてあった……。
ぼくは、少し目を閉じてから、空高く飛んでいる男子生徒に向かって、右手の掌をかざした。
「あ!」
だけど、直感的にわかってしまった。
この見えない拳のような不思議な力は、命中率が壊滅的なんじゃないかと……。
男子生徒は空を自由自在というより、あたかも、もがき苦しんでいるかのように、空中で暴れ回り、あっちこっちに飛んでいた。
こちらに目を向け、恐らく攻撃? というよりも、寄生しようと必死のようだった。
「えーいっ!」
ぼくは、それでも掛け声と共に掌から不思議な力を放った。
ドーンっと、大きな音とともに、男子生徒からは遠い空気が捻れ、無色透明な爆発が起きた。
だけど、空を飛んでいる男子生徒はもちろん全然無事。
掠り傷すらない。
「あ、それ! 当たらないの? もっと正確に狙って!」
「う、うん!」
ぼくじゃない、隣のデミニさんが顔を真っ赤にして焦り出した。




