ライオンと呼ばれた男 その3
それにしても、この街へ引っ越してきてから、すぐのことだった。その日も、古風な赤煉瓦の喫茶店から国際アストラルセンターへ行ったんだ。
豪奢な中世ヨーロッパを彷彿させる社長室で、レオおじさんと美人の矢口女社長さんと話したんだけど、二言三言で、ぼくはメインの戦場では最も重要な後方支援になることになったんだ。
「あの。レオおじさん? ぼくはまだエーテルの使い方を覚えたいんだけど」
「ああ、それか。わしはあの時に何ていったかな? 普段通りに生活だけしていればいいといったんだぞ」
「うーんと、ああ。あの喫茶店でだね。確かにそうだけど……いや、そうじゃないんだけど……」
「ははっ、このエーテルの使い方をよく知っているのは君自身なんだぞ。エーテルとは、そういうものだ。きっと、普段通りに君が過ごしていればいつか気がつくだろうさ」
「……わかんないよ」
ソラリス学校の放課後になって、デミニさんと夕陽の空が映る大きなガラス窓の廊下へ出た。真新しい凹型になっている造りの廊下で、ぼくは、何気なく裏庭の方を覗くと、表向きは、クラシックな感もあったけど、裏庭側からは、きっとガラス張りのところとパネルが外壁を覆っているから、どこか近代的に観えるのではないか、という考えが頭を過った。
「あ?! ねえ、登田くん……裏庭ですごい喧嘩があるみたいよ?」
「え? あ、ほんとだ……真ん中の二人を中心に、みんな散り散りになって逃げているみたいだけど、どうしたのかな?」
「……どうする? 何が起きたか気になるわ。ちょっと野次馬でもしてくる? どうせ後は帰るだけなんだし?」
「え? 怖くないの? だって、喧嘩だよ」
「ううん。実際は、見てみないとわからない。だから、喧嘩とは限らないじゃない。そして、よく調べてもいないから、怖くはないわ」
「……それもそうだね」
ぼくとデミニさんは、お互い頷くと、階下へ裏庭側の階段を降りることにした。
ここは、三階だ。
「キシャアアアアアアーーー!!」
階段を降りている最中で、凄まじい奇声が耳をつんざく。
デミニさんが勢いよく、踊り場から20段もある階段を、ジャンプをして通り越していく。ジャンプを三回して一階の地面に着地すると、すぐさま裏庭へと走ったので、ぼくは、真っ青になって急いで階段を駆け降りた。




