ライオンと呼ばれた男 その4
ぼくが裏庭へ着くと同時に、デミニさんが一人の生徒に見えない壁を発生させて、動けないようにしているみたいだった。
その生徒は男子で、身体を必死に動かそうとしてもがいている。ぼくは、何が起きているのか、まったく理解できずにひたすら頭を回転させようとして、普通に混乱しだす。
気が付くと、もう一人。男子生徒がぼくの足元から近くに倒れていた。
ぼくは、裏庭の奥。デミニさんがいるところまで、用心して歩いて行こうとすると……。
「そこにいて! こっちへ近づいちゃダメ!」
「え?!」
男子生徒が見る見るうちに、身体の動きを取り戻している。
ぼくは、何が起きているのか正直さっぱりわからなかったけど、何かの異常な事態が起きているんだと、本能的な危機感をつのらせてもいた。
と、突然に、ぼくの足元の傍にいる倒れていた男子生徒が、むっくりと起き上がった。
ぼくの方へ男子生徒が振り向く。
「ひえっ?!」
何か異様な感じを受けて、後ろへ飛び跳ねた。
その顔は、何かが変だった。
「……?!」
その男子生徒の顔をよく見ても、最初違和感を覚えるだけだったけど……。
「え?!」
ぼくは、気が付いた。
よく見てみると男子生徒の顔には、口がないのだ。当然あるべきなのに、口の部分には息を吸ったり吐いたりするための開口部がなかったのだ。
急に、怖くなって身体が震えだす。
ぼくは震えによって、硬直してしまった身体をどうにか無理をしてでも動かそうとして、その場から逃げ出そうとした。
すると、その口がない男子生徒が、勢いをつけてぼく目掛けて襲いかかってきた。




