ライオンと呼ばれた男 その2
それから、学年が一つ上のソラリス学校の三年のクラスで三時限の授業が終わった。やっとお昼休みの時間になったので、隣の席のデミニさんが席を立った。
「さ、珍しいお店へ行こうよ」
「うん。何て名前のお店なの?」
「レイのお店よ」
「レイのお店?」
「そう、レイって変わった名前でしょ。レイは、ハワイ語で花の首飾りとか、歓迎、祝福、愛情とかを意味するみたいよ」
ソラリス学校から西大通りを少し歩くと、南国の植木である立派なヤシの木が一本店先に生えてあるこじんまりしたレイのお店があった。けれども、ヤシの木があるのに、どこか西洋風でクラシックに感じていた。
「ねえ、登田くんってさあ? 凄いよね。学年が一つ上なんて。きっと、大学も、どこへ行くか既に決まっているんでしょ。こういうのを知能指数が高いっていうのよね」
「うん? え、ああ。たまたま試験を受けただけなんだけど……」
「ふんふん……登田 ファータくんは来年は大学生ね」
「え? あ、ああそうだけど。推薦が決まった大学は海外にあるってさ」
店内は、外観はこじんまりしていたけど、ほど良い奥行きのあるおかげで、ゆったりともできるところだった。
燭台のある適当なテーブルへ着くと、デミニさんがぼくの分も、パインのポトフと、それから、アヒポキとロミロミサーモン、カルアピッグを頼んでくれた。
そして、デザートは登校時に話していたメロンパイだった。
「ね、変わっているでしょ。なんでも、ここの外国人店主が昔、ハワイ旅行へ行った際に、ハワイ料理にとても感激したんだって」
「そうなんだ?」
「それでね、西洋の料理とハワイ料理をミックスしたのよ。で、どう? 味の方が登田くんさえ、よければこのお店を贔屓しましょうよ」
「ふーん。え? 確かに美味しいよね。ここの料理……」
「うん」
「あ、でも。ぼくたちはこれからアカシックレコードへ行くはずじゃ……」
デミニさんが、少しだけ困った顔をした。
と、同時に、外国人店主が、熱々のパインのポトフを二人分テーブルに置いた。
「うーん。そうねえー」
「あはっ、そうだよな」
「うんうん……」
「もう、二度と戻ってこれなくなるのかな?」
「えーっと、そうでもないわ。多分、いえ、きっと。戻ってこれるわ……」
ぼくの日常に、それも突然に発生した。アカシックレコードという世界。この街へ引っ越してからだ。古風な赤煉瓦の喫茶店で、レオおじさんがコーヒーカップ片手に気楽に言いだした。
「今からわしと、国際アストラルセンターへ行こうか?」
さんざ、エーテルの使い方を教えてもらった後だった。
レオおじさんは、そこで、アカシックレコードへ行けるとも言った。
アカシックレコード。
一体どんな世界だろう?




