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チョコと不動産屋  作者: 夢丸力丸


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9/12

9 漢(おとこ)とは

24年ぶりに再会した元カレは不動産屋になっていた。15年ぶりに帰国した私(主人公・コト)は様々な社会問題を、不動産で解決してゆく。

そして、大人の恋のやり直しはできるのか。

チョコを食べると活性化する脳で、町の活性化からシングルマザーの疲弊、幼児虐待、老人の孤立にどんな解決策を出すのか。

誰にでもある青春のやり残しをやり直す、人生・社会問題解決バラエティ


チョコと不動産

9 おとことは


「ねえ、聞いてもいい?」

「何を」

「おっさんのどこに惹かれたの?」

この頃私の手伝いをしに寄ってくるトミーが好奇心丸出しで聞いてくる

「そうね、優しくて包容力があるところ、首が太くて胸板が厚くてがっしりしているところとか、でも一番は・・・あいつはおとこなんだよ。漢字の漢って書いてオトコって読むんだけど・・今までの人生でアイツしかいないな、おとこは」

おかずをつまみ食いしながら、

「おとこって?」

「ある時友達が店を出したら地元のヤクザがみかじめ代を取りに来たの、それであいつが組長のとこ行って直談判したのよ。そんなことできる? 20(はたち)そこそこの青年がさ。今の君の年だよ。できる?」

「できない」

「で、たまたま本で読んだとかで、腹に新聞紙巻いて行ったらしくて、「裸になれ」って言われたときに新聞紙を見て「覚悟ある、なかなか見込みがあるやつだって組長に気に入られて,最後には舎弟にならないかってリクルートされたんだって、すごくない?友達のために命がけになれるなんてさ」

「へえ~すごいんね、ただのエロオヤジかと思ってた」

「すごいよね」

「で、いつから付き合い出したの?」

「幼馴染みで、同じ町内だから顔見知りではあったんだけど、中学、高校と別々で

成人式で再会したのね。それから電話したりするようになったんだけど、

お互い最初の彼氏彼女だったから、ウブでね、付き合い方もわからずに、キスもしなかったと思うよ。

同じ20でも今の君より純粋だったかも。

で、向こうは大学生で麻雀とヨットやサーフィンとか海に夢中で忙しくて、私は社会人になって。少しずつズレがでてきてね。

女って大人になるのが早いのよ。私が結婚したくてしたくてたまらなかった時はまだあいつはおこちゃまで、社会人になっても一年生じゃまだ結婚なんて眼中になかったから、お互いタイミングがずれて、そのまま疎遠になったの。嫌いで別れたわけじゃないのよ。」

「ふ~ん。でまた25年ぶりに再会したんだ・・・デートとか何したの?」

「ドライブとか食事とか、でもいつも食事は最後まで食べられなかったな、何か緊張して、はずかしくて、今じゃ考えれないけどね。そういう時代もあったのよ」

「へ~」

「そうそうこんなこともあったな。私が免許取り立てでアイツの車で事故起こしちゃって、って言っても渋滞でちょこんと追突しただけなんだけど、知らない間にあいつが全部フォローしてくれて、挙句に先方に気に入られて、養子にならないかって、あいつあやかしかなんかかねえ。不思議な力を持ってんだよね。・・・・まあ女に対しては博愛主義で来るもの拒まずだから困るけどね」

「ふ~んすごいね」

「不思議な力を持ったヤツなんだよね」

「もうおっさんとは結婚しないの?」

「あのね、大人になればわかるけど、っていうか大人にならないとわかんないだろうけど、一度割れた鏡はくっつけても元には戻らないのと同じなの」

「でも、おっさんのこと好きなんでしょ」

「うん、大好きだよ・・さあこれを煮込んで終わり」

その時トミーの電話が鳴った。

「うん、うん、いるよ、ここに、代わろうか、うん、わかった」と電話を切った


「どうしたの?」

「おっさん寝込んでるんで助けに来てくれって」

「私は家政婦か」

「奥さんってお金のいらない家政婦なんでしょ」

「誰が、そんなこと言ったの」

「昔のとうちゃん」


・・・・・・・

「熱あるの?」額にさわるとそんなでもなかった

「時差ぼけが今頃出たのかも、疲れがたまってるだけかも。なんかだるい」

「医者には?」

「そんな深刻じゃない気がする」

「じゃ、ちょっと様子見ようか、何食べたい?おかゆにしようか」

ベッドに腰かけてのぞきこむと元カレが腰に手を回してきた

「そういう元気があるんじゃ、大丈夫だね」

「え~もっと心配してくれるかと思ったのに」

「私はあなたのおかあさんではありません」


「でもあの子の母になってよ」

「誰の?」

「トミー」

「なんで?」

「あいつ、浮気相手の子供なんだ、でも血はつながってないんだ」

「はあ~何?・・・ど~ういうこと?」

「うちに置き去りにして行っちゃたんだけど、裁判でもめたけどDNA鑑定したら他人だったんだ」

「でも、浮気したのでてっきり自分の子だと、思ったわけね」

「まあ、いろいろあったんだけど、向こうは母が死んじゃったから、高校卒業して俺を頼ってきたんだ。」

「本人は他人だと知ってるの?」

「たぶん、でも見捨てるわけにもいかずにオレんとこに居候したり、親せきの家に泊まったりしてるんだ、アニメやもオレの紹介で働いてるの、でも将来何になりたいかわからないようなんだ」

「今まではどこにいたの?」

「寄宿制の高校だったから」

「どうするの?今後」

「本人次第だけど」 

月がもうすぐ満月だと教えてくれた。

「とりあえずトミーと話してみようか」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ねえ、アメリカってどんな国?」トミーがまた食器を洗いを手伝いながら聞いてきた。

「面白く変な国だよ」

「僕お金貯めて外国行ってみたいんだ」

「いいね、それ。私も24の時に初めてイギリス行って、面白くなってさ、帰ってきて3年間昼も夜もがむしゃらに働いてお金貯めて、で、カナダ・アメリカを旅したの」

「行きたいな」

「じゃバイトしながら、まず英語の勉強しなくちゃね」

「できるかな」

「大丈夫よ、だってまだ20歳でしょ、2,3、回失敗したって人生やり直しがきくじゃない。

私は40半ばでやり直ししているんだから、がんばれ」

「僕もオトコ(漢)になれるかな」

「なれる、なれるよ。」

「海外なんて行ったことないから不安だよ」

「そうだ、じゃ、こんど私と海外旅行いこうか、まず安い国のアジアあたりにさ。

とにかく一度日本を出てみて外から見ることが大事なのよ」

(ああ、私に子供ができたら、こうしてあげたかったな、でもこんな形で叶うとはなと思った)

「ねえ、ツトム君は将来何になりたいの?」

「まだ、わからない」

「大学には行きたいの?」

「わからないまま行ってもしょうがないでしょ」

「たしかに」

「ねえ、人生で一番大事なことって何かな?今まで生きてきて何が役に立った?」

「まあ、それはズバリ 創造力かな」

「創造力?」

「そう、クリエイティビティ。例えばお金がないという時にどうする?」

「う~ん、借りるとか?」

「ほかには?」

「働くとか?」

「ほかには?」

「ほかに?思い当たらないなあ」

「うん、それじゃダメなんだ。そんなときにこそ創造力なのよ」

「どうするの?」

「アイディアを考えるの、知恵をだして選択肢を広げるの、これが欠落すると、盗むとか殺して奪うとか短絡思考になっちゃうわけ」

「じゃ、どうするの?」

「借りるにしても、いろいろあるよね、友人知人、カード、行政、質屋。お金がなければ、身近なものを売るとか、即できる日払いのバイトもあるし、即興で大道芸人になって稼ぐとか、直談判で定食屋で働くとか、いろいろあるのよ、創造力があればいろいろ思い浮かぶでしょ。そもそもクリエイティビティがあれば、お金無くなる前に対処してると思う。仕事だって、創造力があれば将来の拓きかたが違ってくるものなのよ」

「どうしたら、身につくの?」

「まあ、今は若いからとにかくいろんな経験して色々な人に会って、色々な本を読んだり、情報を得たり、学ぶことかな。だから海外行くのも一つの手だよ。視野も広がるし、違う価値観を体験できるし、いろいろやってみることかな」

「そうか、じゃ、早く海外旅行行こうよ」

「うふふ、旅行代、パパからせびるか?」


・・・・・・・・・

パジャマ姿で私の手料理を食べながら元カレが聞く

「どうだった?」

「という訳で、君の心配も一旦は無しになったし、私も自分の子供がいたら旅させてあげたかったから、一度一緒に海外旅行へ行こうかと思う」

「いつ?」

「いや、まだ先の話。色々準備もあるしね、その前にやることもあるからね」

「オレはあいつを守る、そして・・・」

「そして?・・何?真剣なまなざしで」

「オマエ、オレのそばを離れるなよ」ぽつりとつぶやく

やっぱりこの男は「漢」なんだなと思った。

窓の外には満月が輝いていた


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