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チョコと不動産屋  作者: 夢丸力丸


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10/12

10 一泊旅行

24年ぶりに再会した元カレは不動産屋になっていた。15年ぶりに帰国した私(主人公・コト)は様々な社会問題を、不動産で解決してゆく。

そして、大人の恋のやり直しはできるのか。

チョコを食べると活性化する脳で、町の活性化からシングルマザーの疲弊、幼児虐待、老人の孤立にどんな解決策を出すのか。

誰にでもある青春のやり残しをやり直す、人生・社会問題解決バラエティ


チョコと不動産

10 一泊旅行 

病気もすっかり治った数日後ワインを抱えて元カレがやって来た

「快気祝い、やろうか?」

「うちで?つまみないよ、買ってくる?」

「いや持ってきた」そういうと後ろに隠していた紙袋を見せた。

「どうしたの? ダチがデパ地下で働いていて、もらったんだ」

ということはやり直しリストの 4の「一晩飲み明かす」もついに叶ったということか、頭の中にリストが浮かぶ。


あれやこれやと話し込んで12時を回っていた(日を跨いたんだから一晩になるよね)

「今度休みいつだっけ」

「えっと明後日かな、どうして?」

「ちょっと旅行へ行こうかと」覗き込まれる。

「私と?」

「誰と行くんだよ」

「いや、いろいろいるでしょうから」

「オ・マ・エ・と行きたいの !」

「そう真正面から来られましても、で、どこへ?」

「神戸へ。車じゃないよ。新幹線で。じつは息子に用があるんだ」

「日帰り?」

「いや一泊」

「え~もしや同衾?」

「イヤか?」

「いや断る理由はないけど・・・」(いいよ来たか。この日がって感じだな)

とまた「やり直しリストが浮んだ、確か9に一泊旅行へ行くとあったので2つクリアか。

「じゃ明日の夜出かけようか、予約はこっちでするから。ついて来ればいいよ」

「高級なレストランとか行かないよね。カジュアルな服でいいんだよね」

「ああ」そういって帰って行った。

やり直しリストに線を引きながら、「もう少しでコンプリートだな」とつぶやいてみた

・・・・・・・・

新幹線は走る。

「そういえば、はじめてだよね、二人で電車に乗るの」

「そうだっけ?」

「いや2,3、駅はあるけど、こんな長距離」

「あのさ」

「何?」

「息子と食事するんだけど一緒に来てくれるよな」

「えっ私が同席していいの? まあ、一人で残されても困るしな」

・・・・・・・・・・・

食事はホテルのレストランで3人でなごやかに終わった。

「じゃ、私は部屋に戻ってるから、あとは親子でゆっくりまったりしてください。

息子くん、またね」と部屋に戻った。


ひとりになった途端、なぜだか涙があふれてきた。

「私何やってんだろう、何やってきたんだろう」、元カレの息子は立派な青年だった。

あの頃のカレにそっくりだった。同じ年頃、あの時の分かれ道に戻ったような気がした。

私のつかみ損ねた愛と今までの25年の月日があの青年を立派に作り変えていたようで、

何だろうこの敗北感。そうだ敗北感だ、何に対しての? 誰に対しての?

私の中にやっぱり心残りが澱のようにたまっていたんだ。

わかってる、たとえ結婚できたとして、浮気される運命だったのなら不幸になっていたことを、でもそれでも結婚したかったんだな私、きっと。

何が悔しいのかな、あの青年の母は私だったかもと思ったからなのだろうか。

自分でもわからない感情が体の中から涙を押し出しているようで、涙がとまらなかった。

何で泣いているんだろう。


2時間ほどして戻ってきた元カレは、ベッドに腰かけて泣いている私を見てびっくりしたようだ

「どうしたんだ」

「なんだか、自分が情けなくて」

「なんで?」

「だって・・・息子さん、ちょうど私があなたのこと好きだったあの年齢と同じだし、

あの頃の自分に戻って、あの時の悔しさがこみあげてきて…うっ、うっ」

私を立たせると彼はそっと抱き寄せた。元カレ胸の中で泣きじゃくった

「オレも悪かったな」

「なんで」

「オマエの気持ち心わからなったし、オマエのおふくろさんに会わなかったら、知らないままだったし」

「えっ、何の事?」

「オマエのおふくろさんに道ばたでばったり会って言われたんだ「うちの娘は貴方と結婚したかったのよ」って

「えっ、いつ?」

「オレが入社3年目くらいだったかな」

「その時初めてオマエの気持ちを知ってさ、悪いことしたな、ごめん」

「あれは違うのよ。私たちが別れたのは「タイミングが悪かった」だけだったのよ。

私はあの時結婚したくてしたくて我慢できなかった。でもあなたはまだ大学生で、麻雀に夢中だったし、やっと社会人になったばかりで結婚なんて眼中になかったもの。

女は先に大人になるのよ。私もあなたが浮気して修羅場と聞いた時、ああ、やっぱり結婚できなくて正解だったんだと思ったんだけど。あれからもうあんなに結婚したいと思うような人には巡り合えなかった。それを今日、あんな形で見せられたんで、きっと心の奥底に封印してあった感情が出てきてしまったんだわ。あなたがあやまることは何もないわよ」

母親が私の心を見抜いていたこともショックだが、そんな話をここで挟んでくるなんてもう感情がぐちゃぐちゃだわ、そんなエピソード、ドラマすぎる。


私を抱きしめたまま頭の上で元カレが言う。

「ちょっと聞いてくれ、実は神戸に来たのは息子にオマエと結婚することを話すためだったんだ」

「えっ」

「結婚しよう」目を合わせることなくつぶやく

「えっ・・・・・・、ありがたいけど・・・、できない」

「なんで?」

「割れた鏡はつなぎ合わせても元には戻れない」

「・・・・・・」

「でも・・」

「でも?」

「私あなたが好きなの、大好きなの、だから離れたくない」

元カレの胸の中で泣きじゃくった。疲れてるのかな私、人生に。


「わかった今日はこれまでだ、また改めていつか話し合おう」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


次の日家に帰ってから、やり直しリストに線を引いた

一泊旅行へ行く、胸で大泣きする。と一夜を共にする、

そして最後の10プロポーズを・・・断る、リストにはそう書いてあった



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