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チョコと不動産屋  作者: 夢丸力丸


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7/12

7 老人の主張

24年ぶりに再会した元カレは不動産屋になっていた。15年ぶりに帰国した私(主人公・コト)は様々な社会問題を、不動産で解決してゆく。

そして、大人の恋のやり直しはできるのか。

チョコを食べると活性化する脳で、町の活性化からシングルマザーの疲弊、幼児虐待、老人の孤立にどんな解決策を出すのか。

誰にでもある青春のやり残しをやり直す、人生・社会問題解決バラエティ


チョコと不動産

6 老人の主張


今日のアニメやの賄いは・・・

11時の食事は消化の良い麺類にしている。がっつり系は眠くなるかもしれないから、少し気の早い冷やし中華と煮物、お弁当とサンドイッチ。おやつはチョコマフィンに。


お昼頃もろもろ済ませて部屋を出ると、隣の部屋でリフォームをしていた。

何気なく覗くと元カレがいた。

「あれ、何してるの?」と聞くと

「ここの物件リフォームする前のチェックしてるの」

「掃除なら手伝うよ」

「いや、そこまでいってない、そっちはもう仕事終わったのか?」

「うん、今日は不動産屋お休みでしょ。私は荷物の片づけが残ってるから」

「じゃ、ちょっと付き合ってよ」

「どこ?」

「近所。売りたい物件見に来てっていわれて」

「まあ、家見るの好きだからいいけど」

「オマエがいるとちょうどいいんだ」

「なぜに?」

「まあ、人生の経験者っていうか」

「なんだその下から目線は」

「1時にオマエの好きなファミレスで待ち合わせなんだ、チョコパフェ食べろよ」

「なんだその、チョコパフェさえ食わしておけばっていう姿勢は」

「ああ、それ食べて行った方がいいんだが」

「え、また、難題満載の予感?」


ファミレスにて紹介されたのはあの駅前開発のミーティングの時司会をやってた人だ、どこかで見たんだよなこの人、まだ思い出せない。

「これオレの幼馴染で時々仕事手伝ってもらってるコトちゃん。こちら高山さん」

「はじめまして」

「実は今から僕の実家を見てもらうんだけど、あくまで表面上はリフォームの必要性っていうことで話をしてほしいんだ。

でも正直、年老いた母親一人暮らしだから、あそこを売って、施設に入れようかと思ってるんで、売ったらどのくらいの値段になるかを査定してほしいんだ。

おふくろは絶対施設に入らないって言い張るんだけど、やっぱり一人暮らしは何かと不安で火事でも出されたらと思うと心配だし」

「一軒家なんですか?」

「うん、昔は商人宿っていうか割烹もやっていたんだけど10年前にオヤジが死んでそれからは何もせず一人暮らしなんだ、部屋はやたらあるけど手が回らないし、もう築40年だから、リフォームするより売却の方がいいと思うんだ」

「引き継いで住むことは考えてないんですか?」

「住むにしてもリフォームが必要だと思うので、でも今のマンションの方が便利だし」

「とにかく行ってみましょう」

「おふくろにはくれぐれもばれないようにお願いな」

・・・・・・・・・・・

たしかに古い和風建築で2階建てで部屋は6畳間が4つとやや大きめの浴室、広い台所と宿屋の面影があった。

お母さんは思ったより若く70代でひとりでちゃんと生活でき、あちこち習い事などもして交友関係も多く、とても施設に入れるような深刻な状況でもないように見えた。

家は腕のいい大工が建てたとかで今までの大きな地震にもびくともしなかったらしい。

お風呂は時々近所の人が入りに来ているようで、一つしか使っていなかった。

料理も昔は作っていたので、自炊には問題はなかったし、時々友達を集めては食事会もするほどで、この状況で施設に入れたらすることがなくかえって悪くなる気がした。

「特にリフォームしたいところはどこですか」と聞くと「玄関のドアだという」

理由は和風ならではの引き戸なので、門を作りインターホンをつけて、顔を合わせる前に誰だか知りたいという、防犯上も引き戸は今のご時世危険だと私も不安に思う。


ひと通り話を聞いて物件を見た後オフィスに戻り、撮ってきた写真をパソコンに移した。

こんな実務も時々手伝うようにはなっていた。

「どう思う?」

「そうね、息子さんの心配はわかるけど、あれだけ自立した人を施設に入れると途端に生気が失われるよ。もう料理はさせてもらえないし、柔らかいものしか食べさせてもらえないわけだから。でも一人暮らしは心配も大きいよね。息子は一緒に住まないの?」

「ああ、嫁さんとうまくいかないらしい」

「なるほどね、遠くの家族より近くの他人てか」

「今のままの方が幸せそうだけど」

「そのとおり、私も最後は母を施設に預けていまだに後悔してるのよ。面倒みきれなかったって言う罪悪感。息子は親のためと思っても、親は意外にもまだ大丈夫っていう意地もあるしね、人間どこで死のうが死ぬときは一人なんだから」

「なんかいい方法ない?」

「ないことないけど、まず問題を整理すると・・・」オフィスにあるホワイトボードに書いていく、①息子の心配は親の安否→見守りだよね

②母親は施設に入りたくない→自宅で死んだほうがいい

③施設はあたりはずれがある→親が今より生きがいを失くし早死にする


「私も施設を決めるとき200くらいの中から厳選に厳選を重ねて現地にも足を運んだし、お試し体験入居もさせたんだけど、いざ入ったら看護婦にいじめられて、違う薬を投与されて殺されかけたことがあったの、そこはケアマネがとてもしっかりした人でこの人なら信頼できるって思ったんだけどね。結局一から探し直しで最後はいい人に出会えたけど。今思い出してもあの時期つらかったし、追い詰められたね」

「そうか、大変だったな、うちのおふくろは家で死んだから、心臓まひで、救急車で運ばれたけど病院でも生き返らなかった」

「そうなの、だから私もうすでに自分の終活考えてるの、海洋散骨とかね」

「そんな、悲しいこと言うなよ」

「やはり一番はお母さんの気持ちじゃないかな、息子がいくら心配しても、いつかはどこかで死ぬわけだかから、その瞬間までお母さんが思うとおりにやらせるべきだとは思うよ。」

「じゃ、見守りは」

「うん、2つ考えがあるんだけど・・・」

「効いてきた?チョコパワー」

「いや、前から思っていたことなんだけど・・・ 一つはあの大きなお風呂と台所があるわけだから、デイサービスの場所として貸し出すとか、そうすれば自分も面倒見てもらえるし」

「まあ、選考とか書類とかめんどくさそうだけど、2つ目は」

「あのお母さんはまだ10年くらいは元気だと思うのよ、で、息子は見守りが欲しいわけよね。

そして、料理も得意、お風呂も広い、だったら答えはこれしかないでしょ」

「何だよ。早く言ってくれ」

「つまりは下宿屋をするのよ」

「下宿?」

「たとえばシングルマザーを2組、保育士か看護師をひとり、体育系かガタイのよい男子学生を一人住まわせるの。

それで、お母さんは朝食とお弁当を作ってあげるの下宿人のためにね、夕食はオプションで。

子供たちは幼稚園に行くなり、まだ幼児なら家に置いといて、働きに出られるでしょ。残業があってもみんなで面倒みられるし、お風呂も入れてあげられる。

シングルマザーは食事の支度や片付けなどしない代わりに子供との時間が増える。

保育士か看護師はいざという時の助け舟、ガタイのいい男子はいわば用心棒代わり。

で、こうすれば皆でお母さんの見守りになるし、お母さんは生きがいとして料理作ったり、子供の世話したりで、それこそウィンウィンになるかもしれないわね」

「なるほど、例のういんういんな」

「もちろん、人選によってうまくいくかどうかは分かれるけど、最初は女学生二人くらいでもいいかもしれないし、とにかく下宿で見守りの心配は解消。家の活用もOK。あとは個別の部屋に鍵を付けられるようにリフォームするとかかな」

「そうだな、そういう手もあるってことが分かっただけでもいいかもしんない。

またオマエの勝ちだな」

「えっ?誰と勝負してんの私」

「寿司おごるかどうかと勝負してんの」

「はあ?」

「回転すしでいいんだよな、オマエは」

「チョコデザートがあれば」

「じゃ、ナイトドライブを兼ねて隣町まで行くか?」

「ナイトドライブ!断る理由などなかろう」

やり直しリストからまた1行クリアになるなと思った


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