5 駅前開発
24年ぶりに再会した元カレは不動産屋になっていた。15年ぶりに帰国した私(主人公・コト)は様々な社会問題を、不動産で解決してゆく。
そして、大人の恋のやり直しはできるのか。
チョコを食べると活性化する脳で、町の活性化からシングルマザーの疲弊、幼児虐待、老人の孤立にどんな解決策を出すのか。
誰にでもある青春のやり残しをやり直す、人生・社会問題解決バラエティ
チョコと不動産
5 駅前開発
アニメやの今日のまかないはお昼はナポリタン、お弁当はハンバーグ、軽食はホットドッグと大福に。買い物をしながら見渡すと、ご多分に漏れずここの駅前商店街もすっかりさびれてシャッター買いになっているし、駅前は再開発と反対派がもめているようだ。買い出し先のスーパーで和菓子フェアをしていたので大福を買ったがみんなの反応はどうなのか、明日聞いてみよう、どのくらいの人が甘党なのか
昼過ぎ、家に戻って新しくつながったパソコンに向かいちょっと書いてみた
やりたかったけどできなかったが今、やり直したいリストを
1 牛丼屋へ行く (約束したまま叶えられなかったけどこれはクリア)
2 ディナーを残さず食べる(いつも緊張して最後まで食べられなかったな)
3 手料理を作る(まあ、彼女らしいことできなかったもんな)
4 一晩中飲み明かす(門限で夜一緒にいるなんてできなかったもんな)
5 バックハグをしてもらう(寸前までいったのに、惜しかったな)
6 看病をする(なんか弱いとこ見たことなかったもんな)
7 胸の中で大泣きをする(一人でなら大泣きしたけどねえ)
8 旅行に行く(まあ、あの時代はそんなことできなかったもんな)
9 一夜を共にする(キスもしてないんだから無理だったよな)
10 プロポーズを・・・・ (これができたらコンプリートだな)
とりあえず10個にしとくか
そこへ元カレから電話がかかってきた
「今何してんの~」
「え~家に帰ってきて片づけの続きとか・・」
「じゃ、今すぐ商店街はずれの2階にある集会所に来てよ」
「来てよってなんでさ」
「来ればわかるから」
「もう、いつもそうなんだから」
電話を切って「でもそういう強引なとこスキ」とつぶやく
「駅前開発協議会第2回全体会議」
の告知が1階入り口に貼ってある。
第2回ということはすでに1回目があったということか、全体会議ということは各部会のようなものもあるということか・・などと思いながら会場に入ると、学校の教室の倍くらいの部屋に50人くらいが集まってすでに始まっているようだった。
元カレを探すと正面の主催者側の席に珍しくスーツ姿で着席していた。
町内会の副会長のような肩書で、地元代表の席にいた。
片や鉄道会社と行政なのか固そうな大人が5人ほどいて、真ん中に司会者風のどこかで見たような人だが、誰だか思い出せない人がこのミーティングを回していた。
空席の机の上にある資料をみると、駅の開発にそこにへばりつく飲み屋横丁の立ちのき問題らしい。
結構あちこちにある問題ではある。戦後のどさくさで行政の怠慢もあって、土地の線引きも怪しく、
なんとなく町が形成されてしまったようだ。
今回駅ビル建設に伴って駅周辺開発をすることになり、この横丁の立ち退きで
もめているようだ。
鉄道会社は自社の土地の不法占拠ということで今になって立ち退きを申し立て、
賠償もない飲み屋街は補償問題と今まで何も言われてこなかったことで行政の怠慢を糾弾する構え。
よくある構図だ。 たぶんこういうのはお互い紛糾しあって歩み寄りが見られず、強制代執行で結局弱者が泣き寝入りなんだよな。
でも、円満な解決策はないこともないんだが。まあ、あとは誰がそれをうまくまとめるかだな。同じ答えでも説得力のある人が言えば丸く収まることもある。
そんな好感度のあるやつは元カレしかいないんだが、あいつは不思議な雰囲気を持っていて、いつだったか知らない土地で店を探しているときに気が付くと現地の小友たちがまとわりついて笑っていたことがあったっけ。まるで妖のように、いつの間にか人の心をつかむのがうまい不思議な能力を持っている。
予想通り話し合いはもの別れに終わり3回目の会を持つことで解散した。
私は一足先に会場を出て、事務所にで要点をまとめた。途中で買ったコンビニのチョコスイーツが、私の頭の活性化を促し始めた
「時間がかかりそうだ」帰ってきた元カレが嘆く。
「でも解決策はないことはないよ」
「えっ。どんな?」食べ終えたコンビニスイーツの残骸を見てニヤリと笑った。
「一方は駅ビルを建て開発したい、片や自分の生活基盤を奪われたくない訳でしょ、うまくいくかは当事者のやる気と本気度具合いなんだけど、両方の希望を叶えて丸く収める方法がある」
「えっもうわかったの?」
「それは新しい駅ビルに横丁を再現したエリアを作ること」
「両方実現できればウィンウィンな訳でしょ」
「何そのウインくんとかって何?」
「両方が得するってこと、ウィンは勝利っていう意味だから、両者勝利負けなし」
「でも金がない」
「クラウドファンディングとかですればいいじゃん」
「クラウディングって何?」
「募金活動の一種で見返りに何かもらえる特典付き、これ半端なつくりじゃなくて、映画会社の大道具さんレベルの再現度じゃなきゃ安っぽい感じで失敗しちゃうんだけど。ラスベガスに行ったことある?なければネットでみてみ。室内なのにまるで屋外を再現してるの。日本でもあるよね、レジャーランドとかさ」
「でもそれうまくいく?」
「一歩づつ進めば、今は硬直状態なんでしょ。どこから手を付けていいかわからないと」
「うん」
「でもその前にまず駅前横丁の・・何軒だっけ?」
「17軒」
「その一人一人の意思確認からかな」
「たとえば」
「まず建て替えは時の流れに逆らえない訳だから、反対賛成の前に、自分の将来を含めて各々の人生を考えてもらうわけ。そうすればある人はこれを機に辞めようとか、引っ越そうとか、ある人は続けたいとか、ひとりづつの思惑は違うわけだから、それを聞き取りして、そこにファイナンシャルプランナーとか入ってもらってこれからの人生設計のアドバイスなんかをしてもらうと、将来が可視化ができて、より具体的に現実と向き合えるわけよ。
すると横丁の人たちが一枚岩でないことが分かるでしょ。そうしたら個々の対応も違ってくるし、鉄道会社へのアプローチもプレゼンも違ってくると思うの。
今硬直状態を打破するなら、まず現状をちゃんと調べて対策した方がいいと思う、
これが第一段階。それからはまた対応策が違ってくると思う。
私が今言ったビルの中に横丁を再現というのは最終段階の解決策だからね」
「なるほど、オマエやっぱり頭いいな」
「頭はそれほどでもないけど、 クリエイティビティがあるのかも」
「それから後で隣町の郵便局へ一緒に行ってくれる?ハワイからの荷物が届いているんだ」
「オマエの?」
「そう、どこへ落ち着くかわかんなかったから、郵便局留めにしといたの、段ボール3箱あるんで、車じゃないと」
「オキドキ~」
「え~知ってるの?その単語」
「へへへ・・・あっ、そうだ、お礼に温泉連れってやるから、あした。昼からなら、まかない終わって行けるだろ」
「あした~?また、急に、どこいくの?」
「そんな遠くじゃない、日帰り。風呂の支度と着替え持ってな」
「もう、本当にいつも強引なんだから」
(でもそういうサプライズ、スキ)




