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チョコと不動産屋  作者: 夢丸力丸


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4/12

4 アニメや(後編)

24年ぶりに再会した元カレは不動産屋になっていた。15年ぶりに帰国した私(主人公・コト)は様々な社会問題を、不動産で解決してゆく。

そして、大人の恋のやり直しはできるのか。

チョコを食べると活性化する脳で、町の活性化からシングルマザーの疲弊、幼児虐待、老人の孤立にどんな解決策を出すのか。

誰にでもある青春のやり残しをやり直す、人生・社会問題解決バラエティ


チョコと不動産

3 アニメや (後編)


「なりすましってことですか?」

「事情はあとで話すから。」というと社長はどこかに電話をかけた


「そうなんだ、悪いんだけど4時ごろまでに仕上げてくれない? 今から行くからさ。

うん、うんそれでいい、それも任すわ、あっ、そうだね、ちょっと待って。

コトちゃん靴のサイズいくつ? 23.5でおねがい、うん、黒ベースで、じゃ頼むわ、いつもすまない、この借りはいつか・・・・」

何が何だかわからないまま、私は社長に連れられとある場所へ届けられた。


マンションの一室に入るとそこは個人宅でやっているエステのようで、派手なピンクのスパッツとTシャツのオカマの中年が出てきた。マリリンと呼ばれてはいたがちょっとイメージとはかけ離れていた

「そういうわけで、僕が来週と勘違いしてさ、光陰矢の如しだね、助かるよ。じゃ4時過ぎに迎えにくるからよろしくね」 と言って社長は帰っていった。

マリリンは私を上から下まで見た上で、「まずはドレスを着てみようかしら」といって別室に連れて行った。

「私コトです、よろしく」

「おいくつなの?」

「40半ばくらいでしょうか」

「そう、じゃこれから3時間であなたを大変身させるから楽しみにね」

「はあ、まだ事情がよくわからないのですが、私は社長の恋人役になるんですね・・」

「まあ、エステをしながら事情を話すわ、でもオフレコだからね」

「はい」

「じゃ服を脱いで、この矯正下着をつけるわよ。それからこのドレスと靴を履いてみて」

胸とおしりがやたら膨らんだ矯正下着と割とぴっちりしたロングドレスにパンプスをはいてぎこちない形で鏡の前に立った。

「まあ、なんとか、ね、ちょっと歩いてみて、背筋を伸ばしてね。靴きつくない?」

「大丈夫です」

「じゃちょっとしゃがんで、下に落ちてるもの拾う体勢をしてみて」

「こうですか?」

「どこかきつくない?」

「えっと、この矯正下着が苦しいです」

「まあ3時間の我慢だと思って、じゃ脱いでこのバスローブになって、エステベッドの方へ来て。自分の着替えはこのバックに入れておいて、あとで届けるから」


エステなんて何年ぶりだろう。ハワイにもロミロミマッサージってものがあって

一度だけ友達価格で行ったことがあるけど、もう体形なんかに構っていられなかったしなこの数年は、母親のこととかいろいろあったから。

マリリンは「じゃ、最初はまず背中をちょっとだけマッサージ程度で、あとはフェイシャルを2時間ほどかけてするからね。

「ここにうつ伏せになって、始めるわね、最初は香油を塗るからちょっとひんやりとべったりするけど、すぐ終わるから」

むき出しになった背中に柔らかい手がマッサージを始めると、身をゆだねるように力が抜ける自分がいた。ここ数日の知らぬ間の緊張と時差ぼけの疲労もあるのだろう、もうどうにでもなれという開き直りができるようになったのも、日本に帰ってきた安心感もあるのかもしれない。


「社長はね、実はゲイなのよ」

「ああ、やっぱり、昨日初めてお会いした時にそう感じました」

「あらわかってたの?」

「私は先週までアメリカに住んでいて、ゲイコミュニティエリアにもいたのでわかるんです。姿や服装の嗜好やちょっとしたしぐさとかで」

「でも内緒よ、トップシークレットね」

「日本では理解がまだまだですよね、私はゲイの友達もいましたし偏見は全くありません、もしかしてあの事務所のスタッフもそうですよね」

「今何人いるんだっけ?」「4人です」「まあ3人はそうね」

「だから社長はパーティーの時こうやって偽装恋人を雇うわけですか」

「それもあるけど、そのパーティーに社長狙いの人が3人いるのよ、で、社長はそれをいやがって、女性の恋人を見せて、バイセクシャルをアピールすれば諦めてくれるんじゃないかとね」

「ということは、もしかして私がその人たちの嫉妬で刺されるってこともあるかもしれませんね」

「まあ、今までのところそんな事件は起きてないからね、大丈夫っていいたいとこだけどね、わからないもんよね、痴情のもつれって」

(否定はしてくれないんか)と心の中で叫んだ。


メイクに入る前にマリリンが気を利かせて「何かお腹に入れとかないと今夜はたぶん何も食べられないから」と冷凍の焼きおにぎりをホカホカにして持ってきてくれた。

さすがこういうふうに気が利くのは女性以上なんだよなといつも感心してしまう。

4時に迎えに来た社長は私を見てびっくりした様子で「見違えるってこのことだよね。さすがマリリン、立派な作品だ」と褒めていた。

とはいえ、本人は最近体調が思わしくなく、またフリーゆえの不安定な職業に加え、昨今乱立するメイクやスタイリストの学校から毎年送り出される若い卒業生たちに自分たちのテリトリーが侵食されている危機感がストレスになり悩んでいたが。


私と社長は、マリリンの家の中で腕を組んで歩いたり、想定されるカメラ目線のツーショットなどの予行練習をして、社長が最後の仕上げにと太い黒ぶちの眼鏡を私にかけた。「これで身元が特定される可能性が低くなるからね」

「じゃ、うまくやってね」マリリンに送り出され、私たちはホテルへ向かった

車の中で「なんて呼び合いましょうか」とか「なれそめとか私の職業とかはどうします?」などのすり合わせを行いながら自然な親密度を醸し出すために表情の練習を重ねた。

.なるべく歯を見せないようにしないと、身バレするらしい。最新の技術は怖い。


パーティー会場では私が思った以上に社長は有名人らしく、たくさんのフラッシュを浴びた、何かの授賞式らしく、社長本人が出席しなくてはならない理由もわかった。

カクテルパーティーではつかず離れず社長の横で初お披露目の謎のパートナーとして、言葉少なに上品な笑みを振りまいた。どんどん女優になっていく自分に驚いた。「私ってやるじゃん」と心の中でガッツポーズをした。

寄ってくる様々な人の中で極めて嫌な視線を送ってくる数人がいて、きっとこの人たちが社長を狙っているのだなと感じた。すると私の中で社長を守らなければという不思議な正義感が生まれて、パートナーというよりSPのような感覚にもなった。


ふいに誰かがたぶん故意に私のドレスに酒をこぼし、私の太ももが濡れた。

それに気が付いた社長は私をエスコートしながら隅の方へ移動し、私を壁際に、自分は客に背を向ける形でささやいた。

「大丈夫?」 「ええ、平気です」

「これを言い訳に引き上げることにしよう」そう言うと関係者の一番偉い人あたりの集団を見つけ、私を横にして、帰る挨拶をした。出口で誰かが呼び止めた気がしたがそれを無視して玄関に急いだ

バレットがすでに用意した車に乗り込むと社長は意外なことを言った。

「まだ油断しちゃだめだよ、家の玄関の前でわざと写真を撮らせるからそれまではまだ恋人のフリしててね」

「大変ですね、世論づくりも」 「マリリンから聞いた?」

「ええ、でも私は持論があるので偏見はありませんよ」 「というと・・」

「人間の性別はXXと XYで男女に分かれるって習ったけど、今の科学はもっと解明していて、WWY とかWYYとか性別は6種類くらいあるそうなんです。ゲイの人はその性別のひとつで、それがすごく希少なので、今の人間社会では知られてないだけなんですって。まあ本の受け売りですけど・・」

「僕、稀少生物なんだね」


マンションに到着すると、玄関で足取りをわざと遅くして、「ちょっと腰に手を回すからね」とささやいて、最後の恋人らしいツーショットのポーズをとった

「それにしてもどこから撮っているんだろう、不審な車や人は見えなかったけど」

エレベーターの中でそう聞くと「今はリモコンなんだよ、ライターくらいのカメラがどこかに仕込んであって、シャッターはリモコンで押すの」

「ひえ~大変ですね」

「さてと、もう一度変身してもらうよ、君の身の安全のためにね」


部屋に戻ると、トミーと元カレがいた

「お疲れ~」といって元カレが振り向くと、口をあんぐりさせて

「オマエ・・・・か」と驚いていた。まあ私も驚くくらいだからね。

「そうですが何か」私はわざと言った

社長がトミーに「用意はできてる?」と言い「ばっちりです」と答えが返ってきた。

「じゃ、あっちの部屋で今度はコスプレで帰ってね」と社長が私に言った。

すると元カレは

「あっ、その前に写真とっていい?こんなこともうないよね」と少し興奮してスマホを構えた。


コスプレルームと呼ばれるウォークインクロゼットの中はアニメ関係の戦士の衣装などさまざまなものが詰め込まれていた。

トミーが金髪の長いカツラを持ってきて、「まずシャワーを浴びて、香水の香りを消して、化粧とつけ爪も落として、頭は洗わなくてもいいよ、キャップしてかつらかぶるから」

「あー疲れた、やっと解放されるのね」

「で、ドレスや下着はこの袋に入れて、今度はこのジャージをきて、自分の着替えはこのバックに入っているから、で、僕と一緒にここを出るの、自宅まで一緒に行くから、僕とアベックのテイでね」

「その後は?」「今夜はおやっさんとこに泊まるから」

「おやっさんって?」「コトさんの元カレんとこ」

「にしてもすごい一日だったわ、二人の男を手玉に取るってか、気持ちいいね」

金髪のロングヘアのジャージ女は若い男と通りに消えていった

こうして長い一日が終わった


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