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チョコと不動産屋  作者: 夢丸力丸


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2/12

2 マリーナ

24年ぶりに再会した元カレは不動産屋になっていた。15年ぶりに帰国した私(主人公・コト)は様々な社会問題を、不動産で解決してゆく。

そして、大人の恋のやり直しはできるのか。

チョコを食べると活性化する脳で、町の活性化からシングルマザーの疲弊、幼児虐待、老人の孤立にどんな解決策を出すのか。

誰にでもある青春のやり残しをやり直す、人生・社会問題解決バラエティ


帰国2日目、さっそく隣町の元カレの不動産屋のオフィスに向かった

「ここがオフィスか。思ったより小さいけど、マンション自体はそこそこ立派ね」赤レンガつくりの瀟洒な外観を見上げた。

オフィスに入ると机と応接セットのシンプルなレイアウトだった

「ここがシャチョーサンの城なのね」

「ああ、普通の不動産屋じゃなくて、主に管理とかだから殺風景だろ」

「ふ~ん、じゃ今は家賃収入で暮らしてるの? あまり忙しくないのでは?」

「そうでもないんだ。あちこちに頼まれた物件があるしね、じゃあの部屋に行こうか」

エレベーターに乗り「時差ぼけしてない?」と聞くと「すぐには出ないんだよな、

まだ若いからかもな」との返された。


3階の部屋を開けると今まで誰かが住んでいたような気配と仕事の幟や段ボールが積み上げられていた。

「ほんとに大丈夫なの?」

「大丈夫って?」

「例えば、知らない女が怒鳴り込んできて「あんた何なのよ」とか言って包丁で刺されるとか、あるかもでしょ?」

「ねえよ、そんなの」

「でもアンタには前科があるだけにねえ」

「今は付き合ってる女もいねえし、大体ここは息子がこの前まで使っていたの」

「へえ、そうなの、で、その息子はいずこに?」

「神戸の方の大学に行ってる。海関係の。寄宿舎生活だし、当分帰ってこないわけ」

「なるほど、ついでに前の奥さんとか愛人とかは?」

「前の奥さんは再婚して幸せに、愛人は病気で死んじまった」

「はあ、それはお気の毒に」

「安心したか?」

「まあ、シャチョーサンのお心遣いイタミイリマス」

「じゃ、片づけ始めるぞ」

「ところで海の方は今もヨットとかサーフィンとかやってるの?」

「あっ!そうだ、海で思い出した。今何時だ」

「10時だけど」

「ちょっと片づけ後だ。今から海に行くぞ、やることがあったんだ」

「何よ、いきなり、どうしたの?」

「いや道中説明する、まあ海までドライブってことで、何かおいしいもん食わせてやっからよ」

「もう、いつも突然だよね、昔から」

「そうだっけ?」

「そう、今思うといつも振り回されていたような気がする。まあいいけどね」

「玄関で待ってろな」

「まあ、そんな強引さが好きだったけどね」ひとり言のようにつぶやく。相手に聞こえようが聞こえまいが、昔だったら言えないこんなことも今なら口にできるのはやっぱり大人になって図々しくなったからだろうか。

でも何でも言える方が楽なのは間違いない


車に乗って海沿いを走る、久しぶりだな、こうやって助手席に乗るのとつぶやいたが風でかき消された。

「これから行くのは三浦のマリーナなんだけど、そこのマンションの一室も管理してて、外から写真撮るときにベランダに人が映っていないとどこの部屋かわからないので、それを頼まれてんだ」

「そういえば、海の続き。ヨットとかウィンドサーフィンとか夢中だったよね?」

「ああ、でもなんか体調壊すんだ、海入ると」

「ふ~ん、それもしかしてアレじゃない?」

「アレって」

「納豆好きじゃなかった?」

「うん」

「じゃそれだよ。納豆アレルギー」

「納豆アレルギー?」

「交差反応ってやつだね。サーファーは納豆で発症するんだ」

「でも、若い時はなんでもなかったのに?」

「そう、花粉症もそうだよね。あるときアレルギーの免疫力が負けて発症するじゃん」

「たしか、くらげに刺された人でアナフィラキーショックが起きるとか」

「なんで知ってるんだ?」

「ハワイの日系人サーファーでそんな事件があったの思い出した」

「まあ、今は仕事が忙しくて、全然行けてないし・・・・・さあ、着いたぞ」


部屋の窓を開けるとレースのカーテンが風に揺れてかすかに潮の香りがした。

じゃ、オレ下に行くから手をあげたら、ベランダから手を振って、その後窓しめて普通の外観をとるから、よろしく」

といって降りて行った。

さっそくベランダから見下ろすと、マリーナにウエディングドレスの人が見えた

「何かの撮影かな、ここでウエディングもよろしいな」とふと思う。

「今までの人生で一番好きな人だったな、アイツ。そして一番結婚したかった人だったな」

そうひとり言をつぶやく、

「でも浮気事件を聞いたらやっぱり結婚しなくて正解だったんだなと思うよ」

歩いて行く元カレに指鉄砲で「バーン」と打ち抜く真似をした。


帰りのドライブで「おいしい店に連れていく」が結局、定休日でナシになってしまった。

「何、食いたい?」

「なんでもいいよ、日本はどこでもおいしいからね」

「じゃ手っ取り早く、牛丼にすっか」

「牛丼!」

「いやか?」

「ううん、覚えてないでしょうけど、前もそういって叶わなかったことがあるから、

今回は是非リベンジで、お願いします、シャチョーサン」


そうだな、昔、やりたかったけれどできなかったこと色々あったな。

でも今ならも一度できるかもしれない。

今夜「やり直しリスト」作ってみよう。ふとそう思い浮かんだ

「ねえ、それからチョコレートパフェかチョコレートケーキが食べたいんだけど

シャチョーサン」

「御意」と元カレはへりくだった返事をした


次の日ホテルから荷物を運んでもらい、部屋の片づけをやっていると、

「ちょっとオレの部屋からタオルとかシーツとか使えるもの選んでよ」

と言われて、初めて元カレ部屋に入った。最上階のベランダある3LDKだった。

「へえ~、ここがシャチョーサンの家なんだ、もうどれくらいひとりなの?」

「う~ん1年くらいかな、息子が一緒に住んでたから」

「えっ、じゃ私が借りる部屋は?」

「あそこは勉強部屋とかゲーム部屋みたいに使ってた、メシとか一緒に食うからこっちが母屋みたいな感じ」

「食事はだれが作ってたの?」

「おふくろが逝ってからは家政婦さんに週2で掃除と料理で入ってもらってたから」

「は~ん、だから小ぎれいなのね。この部屋」

「そう、あっちのベッドルームのクローゼットにシーツとかあるから選んでみ~」

「ほう~、前は部屋なんかに入るなんてことなかったから、男の部屋に入るのは何かキンチョーするね。なんか変なもん見つけたらどうしようか」

「何だよ、変なもんって」

「色々口にできないものとか見ちゃいけないものとかさ」

「オマエ、いちいち心配性なんだかわかんないけどさ、たとえだよ、今さら、なんかヤバイもの見つけたからって、それで人生どうなるってもんじゃないだろ」

「まあ、そうだけど、でもなんかドキドキするじゃん、見てはいけないもの見つけたらさ」

「なんもねえよ、でもあったら教えろや」

とここで電話が鳴る


「あっ、どうも、そうだった、忘れてねえよ。いや、(となぜか私の方を見る)見つけた見つけたんだ、連れて行くよ、じゃ午後ね」と言って電話を切った。

「オマエにぴったりの仕事あるんだが、ちょっと行ってみる?」

「何?」

「この近くなんだけど、マンションの一室で漫画家のオフィスがあって、そこでメシを作ってくれっていうんだ、どう?行ってみない、一応見るだけでもあとで」

ああ、その電話だったのね。

漫画家の仕事場か、風呂に入っていない、もじゃもじゃ頭のオタクの汗臭い部屋。資料が積み重ねられてる隙間でひたすら漫画を描く。そんなイメージが浮かんだ。

「それ、もしかしてエロ漫画?」

「いや、戦隊ものみたいだったと思うけど、詳しくは行ってみたらわかるから」

「昼食ったら行こう。どこがいい?」

「ファミレスか回転ずし!」

「オマエ金かからなくていいな」

「そんなにお金かかる女と付き合ってたわけね」

「いや、いや、いや、」

「まあ、チョコパフェかチョコデザートが食べられれば」

「子供か」

「いや、チョコパフェの店出そうかと、まあ他の意味もあるんだけどね」

「どんな?」

「ヒ・ミ・ツ・・」



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