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チョコと不動産屋  作者: 夢丸力丸


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1 帰国

24年ぶりに再会した元カレは不動産屋になっていた。15年ぶりに帰国した私(主人公・コト)は様々な社会問題を、不動産で解決してゆく。

そして、大人の恋のやり直しはできるのか。

チョコを食べると活性化する脳で、町の活性化からシングルマザーの疲弊、幼児虐待、老人の孤立にどんな解決策を出すのか。

誰にでもある青春のやり残しをやり直す、人生・社会問題解決バラエティ


大きなガラス窓の向こうにジャンボジェットがこちらを向いて翼を休めている。

ホノルル空港、東京行き搭乗口。

ほとんどが日本へ帰る観光客なのであちこちから日本語が聞こえている。

私にとっては15年ぶりの帰国だ。北米をさまよっていた15年はあっという間だった

これからは無理に英語で話さなくてもいい、それだけでもすごく楽だなと思う。

さてと、人生をリセットしての最終章はどうなることやら。

不安と期待が入り混じり、安堵と緊張と高揚の気持ちが心の中で渦巻いていた。


日本語のアナウンスが誰かが免税品を引き取りに来ていないことを告げていた。

とりあえずどこか住み込みで働く場所を探さなきゃ。まずは2年くらい働いて、徐々に自分の人生を考えていこうか、まあ何とかなるだろう。

「お客様にノモトシンイチ様はいらっしゃいませんか。お急ぎ入り口横の免税品交換カウンターまでお越しください」

「ノモトシンイチ? 昔の元カレと同じ名前・・・でもまあ、どこにでもある名前だものあの人ではないわよね」 心の中でそう思っても気になるので入り口付近を遠目で見てみる。

太った中年の男が頭をかいている風景があった。「やっぱり違ったわ、でも同じ年だから、今はもうおじさんか。私もおばさんだしね。あれからもう24年か25年か、あの人どうしているかな」


そんなことをぼんやり考えていたら搭乗が始まった。

私はいつもフライトアテンダントの向かいのドアサイドシートの2人掛けを指定するのだけど幸運にも今回そこが取れたようだ。荷物をしまって座っていると、隣に若い女性が座った。機内はあちこちで荷物をしまう人や遅れて入って来る人などでガサゴソしていたが、なんとなく一応皆がそれぞれのシートに収まったようだ。

すると後ろの方から男性が来て隣の女性に「席代わってくれるって、行こう」と連れて行った。後ろの方で「どうもすみません」とか「ありがとうございます」などの会話が聞こえる。


そして私の隣に座ったのは「25年前の元カレ「ノモトシンイチ」だった。

「あっ、ノモト君」

「えっ」

「久しぶりね、コトよ、アマネコト。覚えてる?」

「あっ、オマエ、久しぶりだな」

オマエと呼ばれて一気に25年前へと時間が戻ったような気がした。

相変わらず誰にでもやさしい、がっしりした元カレがそこにいた。


「ひとりか?」

「ええ、私15年ぶりに日本に帰るの。今までここで暮らしていたんだけどね」

「ハワイで?」

「というかアメリカのあちこちにね」

「何してたんだ?」

「まあいろいろとね、最後は日本食レストランが長かったけれど」

「へえ~そうか、知らなかったな」

「そういえばさっき免税品で呼び出しされてなかった?」

「ああ、知り合いに頼まれて買ったんだけど、そいつがすっかり忘れていて」

「団体旅行なのね」

「ああ、業界のツアーで、あっ,オレ今不動産屋やってんだ」

と言って名刺を出した。

「へえ~あの大企業やめて?もったいない」(私と付き合ってた頃はエリート新入社員だったのに・・・)

「いや、実はオヤジが晩年アパート経営やっていて、他にも不動産管理をしていて

それを引き継いだっていうか、まあいろいろあって」

「そう、私もいろいろあったわ。24年、25年ぶりだものね」

「変わってないな」「そう、ありがと。あなたもよ」


機内は水平飛行に入り、ドリンクサービスが始まった

まさかの出会いに、かつて好きだった人とこんなに冷静に話せる自分に驚いたし、

お互い大人になった元カレ元カノは昔言えなかったことも、自然にスラスラと

緊張せずに話せる関係性にこんなに素早く戻れるとは、とそれにも驚いた。

(まあ、嫌いで別れたわけじゃないからね)心の中であの若い日々が蘇ってきた。


「私は30歳手前で会社辞めて、イギリスに語学留学に行ったの、半年ね。そしたらなんかもっと知りたいっていうか、やり直したくなって、いったん日本に帰って3年間必死に働いてお金をためて、今度はアメリカに渡ったの、あちこち旅してたら、アリゾナである日本食レストラン関係者に出会って、そこを手伝って、二人でハワイに移住したの。でハワイで10年くらい暮らしてたんだけど、父が死んで母が去年から入退院や施設に入ったりして、ちょくちょく日本には戻っていたのよ。

で先月母が亡くなって、自分も老後や終活を考えて、人生の最後は日本で生活しようと、今こうして帰国便に乗っているわけ」

「ふ~ん、いろいろあったな、オレは結婚して別れて、会社辞めて、オヤジの後を継いで4年前から不動産屋だ」

「そういえば、浮気して離婚したって、風の噂にきいたことがあるわ」

「何だよ?」ちょっと驚いて元カレは身を引いた。

「まあ同じ町内だからね。 実家に帰ればそんな話もでるわな。結婚してもあそこの実家に暮らしていたの?」

「いや、離婚して子供の世話とかおふくろに頼んだりしてたんでその時、実家に帰っって、そのまま、今は隣町に住んでるけど」

「そうね、この名刺の住所は隣の学区だものね、どこらへん?」

「商店街の端の方で、5階建てのマンション。一階が事務所で5階が自宅」

「あそこの商店街までは行ったことあるけどその先は違う学区だし、行ったことないかも、実家の周りもどんどんマンションとか建って、ずいぶん変わっちゃったよね」


「そういえば、オマエ帰ったらどうすんの?」

「まだ決めてなくて、どこか住み込みで働けるとこ探そうかと思ってる」

「じゃあ、オレのマンションへ来いよ。3階に倉庫にしている部屋があるんだけど

片づければ充分住めるよ。2LDK」

「えっ~、ほんと?それはありがたい。最初の2泊は駅前のホテル予約してあるんだけど、その間に探そうかなと思ってたところなんだ」

「じゃ、決まりな」

「ほんといいの?ありがとう」

「着いたらホテルか」

「そう、母の支払いの残りとか挨拶とかちょっとした雑用が残っているんで」

「じゃ、こういうのどう?家賃いらないから、しばらくオレの仕事手伝ってくんない?」

「えっ、私何もわかんないよ」

「いいのいいの、空き部屋の見回りとか掃除とか、書類整理とかだし」

「そうね、仕事が見つかるまででいいなら、やらせていただきますよ、シャチョーサン(と外人ホステスみたいに言う)」

「それ人前で言うなよな」

「でも社長なんだからいいじゃん」


なんだか私の最終章は楽しんだか暗雲なんだかわからない展開になってきた


お断り・個人的に介護などで多忙のためメールのチェック・返信ができません。

お返事なくてもおこらないでね

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