Alternative 8
気が付き目を見開くと僕は横に寝ており、目の前にはこちらを見るフェルが横になっていた。
「おはようアル。よく眠れた?」
「おはよう……!?」
なんでフェルが僕のベットに?それにおはようって…確か僕は資料室で本を借りた後フェルと一緒に部屋に戻って…その後は…。
そう間抜けに呆然と考えているとフェルがクスッと微笑む。
「まだ寝ぼけちゃって早く支度しなよ」
そう言ってフェルは起き上がり部屋の外へ出て行く。
するとフェルが居なくなった事で先の視界が開けるその先にはいつも通り使われていない折りたたまれたベットがあるのだが、少し違和感がありそれが何なのかはすぐに理解する。いつもなら今向いている方には本来窓側のはずなのだ。
そう起き上がり周りを見渡す。
思った通りだ。いつもと景色が鏡合わせだ。つまり正面にある空いているベットがいつも自身が使っていた所であり、僕が眠っていたのはフェルのベットであるということだ。
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自身のベットへ戻り歯ブラシとコップを持って部屋を出て直ぐにある手洗い場で顔を洗い歯を磨く。
冷たい水を顔に浴びてスッキリさせて昨日の事を思い出す。
資料室からフェルに連れられ部屋に戻り、彼女のベットに横に座りVHSの映像を見ていた。
画面に映り出されたのはモノクロで、時折の画面端や音声にノイズが走ったり、下から上へ又は上から下へ波紋のように波が流れるという、自身のよく知る映像という認識からは信じられないものが映し出されていた。
言語からして他国の演劇で題材も男女の駆け落ちというもので結構大人向けのもので難しく感じられた。
だが、劇が進むにつれて映像に慣れたのもあるのか、それとも演劇というものを理解しつつあるのか役者さん達の動きや声などに意識が向いてそれなりに楽しむことが出来た。
一緒に見ていたフェルはと言うと、私よりもその演劇に集中しているのか、こちらの視線に全く気がつくことなく、意識がその映像と言うよりその劇の世界に入っているように思えた。
約一時間の演劇が終わり真っ暗な画面になった。
それからは…そうだ。確かフェルが次の映像を見るためにVHSからDVDを入れ替えていた時に急に眠気が襲いかかって来てから寝落ちしてしまったんだ。
…というより記憶力すごくいいな…。寝る前に見た映像の事がはっきりと思い出せる。一度しか見てないっていうのに。それなのに記憶喪失で思い出せないのは…仕方ないものか…。それにしても…。
服を匂うと微かにフェルの匂いがする。
それが何故かとても落ち着くし
「いい匂いだな…」
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部屋に戻るとフェルの姿はもう無く、代わりにセルベラが検査をする為に迎えに来た。
フェルも同じように検査があったようで先に行ったそうだ。
これからしばらく行う検査は脳波だけらしい。
だけど検査は約一時間使うからそれとなく疲れを感じてしまう。
検査を終えると食堂へ行き朝食となる。
特に問題が無いので好きなのを食べていいと言われたので朝食らしくパンとスープで済ませる。
部屋に戻るとフェルと知らない職員の人がいた。
退院後すぐに学校生活を送るだろうから、他の子達と差を付けられないようにする為に勉強を教わることになった。
記憶喪失ということで最初に何処からどこまで覚えているのかという事で軽い質問と問題を出されそれに答えることになった。
英語はそれなりに読み書きができるので問題ない。
算数はかけ算も割り算まで問題なくでき、百分率等々何となく理解出来ていた。それらのことで職員は「その年でそこまで…」と少し驚いていた。
だけど歴史と理科は全く分からなかった為その二つを重点的に英語と算数は忘れない為にも定期的に学ぶこととなった。
勉強の仕方は説明を受けながら書き込み、終わり前の二十五分を十分を自習、十五分で小テストをして十分であるか判断して進めるという形で行っている。
初日というのもあってか、それなりに簡単に狭い範囲をやったのでとりあえず全て満点をとることが出来た。
好奇心旺盛なのか新しい事を知る事がとても楽しく、勉強はあまり苦には感じることは無かった。
ちなみにフェルは自身より先にこういう事を行っていたようで、先の範囲を自習して自身とは別のテスト用紙を受け取ってやっていた。
休憩時間に彼女のテスト用紙を見せてもらうと彼女のやっていたテストは自身より数十問と多く、更に範囲がとても広いのか難しそうな問題ばかりだったのだが、流石と言うべきか、満点を揃えていた。
それに対して「すごいねフェルこんな難しいのを満点とるなんて」と賞賛すると、「ありがと」と誇らしげにしながらも嬉しそうに微笑んだ。




