Alternative 24
揺れが収まるも、部屋の外からは慌ただしく走る足音と困惑と悲鳴の声が聞える。
「な、なに今の大きな音と揺れは…」
「わ、分からない。一体外で何が起こっているんだ」
理解のできないその状況に二人も困惑して怯えているようで動けないでいる。
すると、再び爆発音が聞こえるなり銃声が鳴り響いた。
「銃声!?貴方早くここから抜け出しましょう」
そう女が振り向いた瞬間、赤い液体が飛んできた。急に飛び込んできたそれにびっくりし、瞼を閉じる。
「なに?」
そう目を開けて頬に垂れるそれを手で触れて見ると、その手が赤く染まっていた。
「へ…?」
恐る恐る、女は男の方を見る。そこには首からナイフの刃が貫通し口元から赤黒い液体をボタボタとこぼしている。
その背後には高さを合わせるようにベットに立ち背後から射したであろう、返り血のついたアルが右手を男の後ろ首に伸ばし立っていた
男は呆然と立っており何が起こったのかと、真っ赤な液体の滴る両手を内に向けて見ていた。ゆっくりゆっくりと異変を感じた首元を触れると、刃にその指が触れ切れる。
アルは刺したそれを引き抜くべく男の背中を押すように蹴ると、ナイフがゆっくりと抜けていき男は力なく床に叩きつけられるように倒れた。
「え…あなた?…」
女は男の首に手を当てる。
「し…死んでる…」
信じられないその様子にガクガクと足を震えさせ、崩れ落ちるように女は尻餅をついた。そしてゆっくりと見上げるように怯えた表情でアルを見る。
それを見下ろすアルのその表情は、先程までやんわりと表情豊かだったのが幻だったように、ただ何も興味などないような冷たい無表情をしていた。
何が起こっているのか分からないけど、そのおかげで気が行って難無くいったな。
外の様子を伺うように見るも直ぐに興味を無くし女の方を見る。
「な、なんで…?何してるの…アル」
「なんで…か…はぁ」
ため息を吐きながら呟きベットから降りて、女へ方へ近づいていく。
「そんなもの、自分の胸に聞いてみなよ」
その迷いのない瞳に女は怯えて腰が抜けているのもあり力が出ず無抵抗に、アルのナイフは容赦なく振り下ろされた。
部屋の外はすでに慌ただしい足音などや、爆音、銃声の音は止んだが、部屋の中はぐちゃっぐちゃっと生々しい音が響く。
ただ、ただ行うのはあの時見た線を、ただ、なぞるだけ。
一頻り満足し、アルは立ち上がり天井を見て息を吹く。
すると部屋の外から再び歩く音がきこえてくる。扉の方を見ると揺れなどの衝撃の影響かドアが半開きになっていた。
「やあやあ、待ってたよ」
セルベラの声が聞えた。
「あの噂の貴方とこういう形でやり合えるなんて夢みたいだよ」
独り言だろうか、こんな時に?いや、混乱でもしているのだろうか。
「無視は寂しいけど、語り合うことなんてないってことだもんね。いいよ、さっさとやり合おうか」
そう言うと、再び轟音が鳴り床が大きく揺れる。それはまるで、アニメとかで見るような戦っているような物音だった。
それは三分もせず鳴り止み、再び歩く音が聞こえてくる。
少しまた少しとその足音はこちらへと近づき、その音の主はこの部屋の扉を開き入ってきた。
それは一人の女性だった。
コツコツと足音を鳴らし、アルの近くまで歩き立ち止まる。
まるで、血に染まったような赤黒く、後ろは腰のあたりまであり前は左目を隠すように垂れいる。
服装はスーツなのかカッターシャツにパンツをはいており両肩にかけるようにコートを羽織っているのだが、その恰好は所々破れているというより、溶けているように見える。
煙草を吸いながら、まるで、死んでいるような、虚無を見るような深い赤黒い瞳でこちらと周囲の様子を見渡す。
その場の様子というのは、血だらけにナイフを持って女性を興味なさげに見る少年。喉から血が溢れ、心臓を一突きされた、身元が分からなくなるほど顔面をぐちゃぐちゃに切られた成人男女の遺体だ。そしてジッとその子供の目を見る。
暫く女はアルのその目を見る。
何を見ているのだろうとこちらも見ていると、微かに音が聞こえてくる。それは恐らく耳にインカムの様な物を付けているのだろうか。
すると、目を閉じて煙草の煙を吹く。
「私は何も見ていない…だから、好きにしろ…。だけど、生きたいなら早めにここから出ることだ」
そう言って。再び興味を失ったように振り向いて、部屋の外へ出ていった。




