Alternative 20
エドとメレンが退院する当日。
目を覚ますと既に二人も目を覚ましていたのかベットに姿は無く、顔を洗うために洗面所に向かうと二人がそこにおりその様子は少し暗かった。今日の午後にはお別れとなる故に気分が沈みそうなってしまうのも当然だ。
だけど、それで悔いを残すのは絶対後悔してしまう。
「おはよう二人とも」
そう明るくいつものように挨拶をすると、二人も少し間があったがいつものように
「ああ、おはよう」
「おはよう、アル」
と明るく挨拶を返してくれた。
病室に戻って今日は英会話の練習をしながら会話をしていると、扉かノックされ、フィカスが入ってくる。
「度々急で悪いが、午後つまり十五時までには別れを済ましておいてくれ。親御さんからのお願いで退院時までに精密検査等を済ませて置いて、個室で待機させて置いて欲しいと。その後親子水入らずで退院を済ませたいと言う事だ。だから、お見送りは十五時に僕が迎えに行くからその時という事にしてくれ」
と、何もかもが急すぎて文句を言いたいが、それはフィカスにぶつけてもいいものでも無く、ぶつけた所で何も変わらないのだから、どうしようもなさに少ししんどくなる。
「それと何だが」
まだ何かあるのかと
「残りの君達も三日後に同じ様に退院が決まったからね。体調には気をつけてくれたまえよ」
それを聞いてまるで時が止まったように静かになってしまう。「さて、邪魔者はさっさと退散するよ」
気を使ったのか、フィカスはそう言ってさっさと出て行った。
三日後に自分達も退院って事は…つまり。
「退院後もどうにかすれば直ぐに会えるってことだよな」
「そういう事だよね」
そう分かると嬉しそうになり、エドが肩を無理やり組ませて引き寄せられる。
少し苦しかったが、それほど彼にとって嬉しい事なのだと思い。これくらいは我慢しようと共に今の喜び分かち合う。
フェルは流石に入れないなぁとしながらも、まるで母が楽しそうに遊ぶ子達を見るような顔で微笑んでいた。
それからはまるで今朝の様子が嘘のように二人は高らかに笑いながら、勉強会を続け、これまでに無い充実した一時を過ごし、約束時間までもうすぐとなってしまった。
また、寂しげな空気になると思ったがそうでも無いようで。
「アル、フェル。俺たちは先に外に出るけど二人とも寂しがるんじゃねぇぞ」
「どの口が言ってるんだよw」
「ああ、うるせぇなメレン」
「最後の最後に喧嘩は辞めようよ」
「そうそう、それ私はアルがいるから寂しくなるなんて事ないから」
その一言にエドの笑みが止み、反対方向を向かせられ二人に小突かれる。
「このこの〜こんな時でもおアツいこって」
「ほんともぉ〜羨ましい限りですなぁ」
「別にそういう意味じゃ…ないと思うけど」
その言葉に更にダル絡みされるように小突かれ続け、やっと満足したのか、開放された。
「そうそう、別れを済ませる前に二人に受け取って欲しいものがあるんだ」
そう言って二人は首にかけているそれを取り出す。
それは緑色の葉っぱのようで、その二つを見るにそれは何処か見覚えのあるなにかに見える。
「僕達双子を繋ぐっていう意味で。それをこう近づけると」
するとその二つがピタリと元の形に戻るようにくっついた。
「四つ葉のクローバー?」
「そう、面白いだろこれ」
「それで実は二つまでじゃなくて四つまで分けれるんだ」
そう、パチッ、パチッと言った通り分かれた。
「それでこの二つを二人に受け取って欲しいんだ」
「それは良いけど、受け取ってもいいの?そんな大事そうなもの」
「いいよ。これは僕達の次の再会を願っての事だからね」
「それにこれフィカスの先生から貰ったやつだからな」
「まぁ、そう言ってくれるなら、有難く貰うよ」
差し出されたそれを受け取り、一つをフェルに渡すと、何か感慨深そうにそれを眺めていた。まぁ一つのアクセサリーが四つまで分かれるなんて珍しいよな。
すると、時間が来たことを知らせるようにドアがノックされ、セルベラとフィカスが入ってきた。
「さて、時間なんだが。大丈夫かな」
そう、少し気まずそうに尋ねられ
「おう」
「大丈夫です」
と二人が答える。
その返事に少し意外そうに眺めていたが、様子を見てなんとなく察したようで
「それじゃあ行こっか」
と廊下を歩いて行く。
それを見て二人は
「それじゃあな二人とも」
「また、会おうね」
と手を振る。
「うん、またいつか」
「またね」
答えるように手を振ると。二人は満面と笑みの様子を浮かべついて行くように廊下へと出て行った。
僕達はしばらくの間、二人の出て行ったその扉の前で佇んでいた。
やっぱり分かっていたけど、こうちゃんとした形で別れたとしても、寂しいものは寂しいものだな。
そう思っていると、不意に頭を撫でられる。
「慰めてくれてるの?」
「うん。別に泣いてもいいんだよ」
「いや、泣かないよ」
「そう…なら私との別れの時は泣いてくれるのかな?」
「それは…その時にならないと分かんないな」
「ふ〜ん、泣いてくれるかもしれないんだ」
「なんだよ」
「ううん、そう答えてくれた嬉しかっただけ。だけど、心配しなくてもいいよ。私はずっと側にいてあげるから」
彼女のその言葉の意味はよくは分からなかったが、ただその一言が安心でき嬉しく感じられたのは分かる。
二人が居なくなり、彼らの使っていたベットの片付けを行い。二人だった頃の時のように、いつもと変わらない日常を送る。
いつものように読書をして、いつものように物語を書き、食事を取り、風呂に入り、いつもより少し早く就寝時間となった。
だけど、何処かぽっかりと何かが抜けたように落ち着かず、寝ようにも眠れない。
そうしばらくしていると、落ち着かず催しできたのでトイレに行く。
用を済ませていると廊下の方から足音と話し声が聞こえる。
それが行き過ぎるのを待ち、廊下へと出て右側の方を見ると、数人の人影と話し声が聞こえてくる。
そっちは確か職員がよく出入りしている受付のような所だったか。
その場所がいつもより少し明るくなってるのが何となく分かる。
「うちの子がお世話になりありがとうございました。それでは、いつもの所に」
「いえいえ、こちらとしても色々協力助かりましたよ」
知らない人とフィカス先生が話しているのが分かる。うちの子という事は…エドとメレンの親か。
退院の受付をしているのだろうか?でもこんな時間に?
一目見たいが、別れはちゃんと済ませたし。先生からも親子水入らずって釘を刺されてたし、大人しく病室に戻ろう。
そう明かりと反対に病室の方へ足を伸ばすと、足に何かが引っかかるように当たった。
何だろうか…。と下にあるそれを手に取ると見覚えのある物がそこにあった。
それは二人と別れる時に受け取ったクローバーの一部だ。
自分が落としたのかと確認するがしっかりと持っており、フェルは確か無くさないようにと机のところに置いていたし、トイレに行く前に見かけている。
となるとコレはエドかメレンがここを通った時に落としたのだろうか?なら届けなくては、そう思い明かりの方へと向かう。
そう曲がり角に差し当たり、それを見て僕は立ち止まり呆然とそれを眺めていた。
え…。




