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WH/Alternative  作者: KIKP
15/25

Alternative 15

ベットの組み立てや布団などの準備をしながら軽く会話をしていると、二人は双子の兄弟でのようだ。フェルが言うに、顔だけ見ると全く見分けつかないけど立ち姿や声質で何とか分かるらしい。僕の視点では顔自体違うからそこで見分けが付けられるから、唯一この点においてこの病が利点に感じられた。

二人は二ヶ月程前から別の階の病室で暮らしていたらしい。別の階だとしてもこれまで一度もすれ違うことが無かったとは不思議なものだ。

そうベット等の準備を終えるとまるでその時を見計らっていたようにセルベラが病室に戻ってきて、「唐突でごめんけど、先生から言われたので今からテストを行いま〜す」と言って筆記テストを受けさせられる。

あまりに唐突だし、今日は学習の無い休みの日だったので少し不満だったが、明日の学習の日を振り替えにすると言ってくれた。

テストというのも英語に数学、歴史に化学とこれまで習ったものの復讐のようなもので、事前学習が無かった為に所々と少々厳しかったがそれなりには手応えは感じられた。


テストを終えると昼食の時間なのだが、どうやら体力テストを行うようで体重や身長を測った後にバナナ等の軽食でエネルギー補給を済ませて行う事となった。


体力テストを行う場所は体育館なのだが、そこは初めて訪れた場所で、真っ白でバカにでかい場所だった。

セルベラが言うに高さ五十メートル強に横百メートル、縦二百メートルある言う。

それ故に、真っ白のもあって端がとても遠く感じられる。

なんでこんなにも広い空間があるのかと尋ねると、緊急時に周囲にいる住民が避難できるようにした緊急シェルターの役割もあるとフィカスが言っていたそうだ。

確かにこの広さなら沢山の人が避難はできるだろうけど、この高さは無駄じゃないだろうかと疑問に思う。


そう職員達が体力テストの準備をしているのを見ていると、エドが手招きして呼び出す。

「どうしたの?」

「せっかくの体力テストなんだし勝負しようぜ」

「ええ〜…」

とメレンが少し複雑に嫌な感じに呟く。そういうのは苦手なのだろうか。

「勝負?まぁ競おうとすればいい結果が出そうだからいいけど。勝ったら何かあるの?」

「う〜ん、それは特に考えてなかった。まぁ勝ったらとか負けたらとかどうでもいいだろ。ただ、勝負ってなると燃えるだろ」

エドはメレンと少し違い熱血系だな。双子だと言ってたけどそこは真反対だな。

すると、二人はチラリと何処かを見ている。

ああ、そういう事か…。

と思っていると、何だか胸の辺りに何かを感じた。これは…。


「じゃあ最初は五十メートル走やろっか。じゃあそこの黄色いテープからで二人ずつね。手を挙げた合図の後に笛が鳴ったらスタートだから」

そう言って恐らくゴールであろう所までセルベラが向かう。

「じゃあ俺らからやるから」

とやる気満々に双子がスタート位置について、合図の後の笛の音でスタートする。

スタートの反応はメレンが少し早く有利を持っていたが、直ぐにエドが追い越してゴールした。

記録はエドがン七秒六、メレンが八秒四と二人共が記録用紙の裏面に書かれている平均を大きく上回る記録を出していた。

先に走った二人の記録が凄く、更にはこれまでランニングマシンで軽く走る事はあっても、全力で走るといったことが無かった為に、自分はどんな記録が出るのだろうという不安と期待に、少しばかり鼓動が高鳴る。

相変わらずフェルは落ち着いてるな、まあ最近は体を動かしていることが多いし緊張とかないんだろうな。

と、セルベラが合図の手を挙げるのが見え準備をし音が聞えたスタートを切る。

自分で言うのもなんだが、それなりに反射神経がよくいいスタートを切ったと思う。そのままゴールへ向かって走るのだが、

え…。

真横を走るフェルがすぐさま自分を追い抜いき、徐々に距離が引き離されていく。

負けじと力を振り絞って走るのだが、距離は全く縮まることは無くゴールを過ぎる。

…フェルってこんなにも早かったのか…いや、自分の運動神経が無かったのか。

そう疲労に膝に手をついて息を整える。

その様子を見ていた双子はフェルの意外な走りに驚いていたが、それでも恐らくアルの走りが遅かったのだろうと思っており。

「おいおい、女子に負けんなよ」

とエドがアルを小突いき、メレンも少しうれし気に頬が緩んでいた。

「はぁ…はぁ…それで記録は?」

そうセルベラに聞くと。

「ん~アルくんの記録は八秒ちょうどだね」

「「「え?」」」

それを聞き三人は揃って驚愕の声が漏れた。

「それで私の記録は?」

そう、まだ体力に余裕があるようで既に息を整い終えたフェルが聞く。

「ん~六秒九だよ」

そうシレッとセルベラが告げる。

六秒九…!?

その記録を聞くなりフェルはこっちを見て嬉しそうにピースを向けて笑っていた。


記録で言えば自分たちよりも一回り大きい十二歳やそれより年上達の最高記録に近い記録であり、意外過ぎるその記録に驚きながらも、着々と種目を終えていく。

握力に上体起こし、反復横跳び立ち幅跳びにボール投げと皆、それになりに平均より少し上の記録で、勝負という点でいえば順位はエドが少し上に抜けておりその次にメレン最後にアルと言う順番である。

そしてフェルの記録はと言うと握力を除いてそれ以外の種目は三人を圧倒し一番を取り続けていた。


「なあ…フェルってナニモンだよ…」

「超人じゃんこれ…」

二人が隣で呆然と疑問に問うのだが。

「僕にもわからないよ…ただすごいってことしか」

その身体能力の高さに失礼ながらフェルって本当に同じ人間なのだろうか?、と三人で休憩をしながら眺めていた。


残す種目は二十メートルシャトルランで、流石に負けたくないと目つきが変わる。記録で言えば八十以上取れたらそれ以上行う必要はないからそこで終えるとセルベラが言っていたのだが三人して、限界までやらせてほしいと頼み、頼まれるのがうれしかったのか、上機嫌で了承してくれた。

周囲にいた職員たちは少し困惑気味に「えぇ」っとこぼしていたが、セルベラが「なぁに」と言いながらそっちを向くと、少し焦り気味に「何でもありません」と口をそろえて言っていた。どうやらセルベラは見かけのわりにそれなりに上の立場の人物であるようだ。


十分に休憩を取り、シャトルランが始まった。

皆それなりに体力があり、容易に八十を超えてしまい、ここからはテストとかではなく持久力と根気勝負となる。

それまでは互いに様子を伺うと言って顔を見合わせたりしていたが九十、百と記録が伸びていくと流石にテンポと体力的にも辛くなってきており、その余裕は一切なく皆次の前だけを見ていた。

そして百四の所で最初にメレンが脱落した。

そして百十を超えた辺りで下半身の感覚がおかしくなってきたのを感じる。

これはヤバいのだろうかと思いながらも、負けたくないという一心に走り続けた。

そして百二十三を超えて反転し中央辺まで行ったところで視点がガクッと崩れ地面が襲い掛かってきて顔面を主に体の前面に衝撃が走る。

それに驚いて職員達が駆け寄る。

最初こそ一体何が起こったのか分からなかったが体を起こされ自分の足を見て理解した。

足の限界を知らせるように足がガクガクと痙攣を起こしていたのだ。

それを見かねて職員の人達が急いで運ばれマッサージなどの応急処置を行われた。


そういえば二人は…と周りを見ていると既にエドはリタイアしており、膝と手を着いて息を整えようと呼吸してるのが見える。

そしてフェルはと言うと音声によると既に百四十を超えており、百五十を区切りにこれ以上は無理だと判断したのか辞めてしまった。

それでも演劇の為に体力をつけないとって運動の時間張り切っていたのは見ていたが、いつの間にかこんなにも差が着く程に頑張ってたんだなと感心してしまう。


「ぷっひどい顔してるね」

すでに止まっているが顔面を強打したことで鼻血を出していたので鼻元が少しだけ血で汚れていた。

「それにしてもやったね。アル」

そうフェルがこちらによってきてそう告げるのだが、なんの事か分からず

「何が?」

と聞き返すと、フェルは真横に座る。

「何って二人に勝ったじゃん」

「へ…勝った?」

「うん、と言ってもエドとは一往復差だったけどね」

そうか、無我夢中で走ってたから気が付かなかったけど…勝てたんだ。というより、勝負してた事に気がついてたんだ

「どうしたの?嬉しくないの」

「いや、まあ…そんなことよりフェルの活躍が強烈すぎて」

「えへへ、ありがとう。でもそれはこれまで体作りとかで走ってたりしたから当たり前だよ。私より凄いのはアルだよ」

「お世辞なんていらないよ」

「ううん、お世辞なんかじゃないよ。

人ってのはね強くもあるけど、とても弱い生き物なの。特に心身的部分がね。だから辛ければ楽になろうと直ぐに諦めようとしてしまう。勿論皆が皆そういう人ではないよ。でも、頑張ってるけどこれ以上は出来ないと、これくらいでいいだろうって体を思ったりしてやめる事の方が多いい。

勿論それは恥じる事でも責められるものでも全く無いからね。時には引くこと、辞めることも大事だから。

だけどアルは、そうやめることは無く足がそうなってしまうまで、限界を超えるまで自分の意思を貫いたのだから。それは誰もがやろうと思っても、できることじゃないんだよ」

「そう言ってくれるなら、頑張った甲斐があったよ」

「一応聞いておきたいのだけど、なんでそんなにも頑張ったの?」

「単純な事だよ。あの二人にもフェルにもただ負けたくないって思ってただけ」

「そう…。なら待ってるからね」

「待ってるって?」

「アルが私に並びに来るのを、そして追い越しちゃう時を。勿論私もこの先成長していくだろうから手は抜かないけどね」

そう立ち上がりながら言って数歩進み振り向いて言う。

「うん、きっと…いつか追いついて、抜いて見せるよ」

そして…君を…君と…。



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